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新首都圏ネットワーク


東京都立大学・短期大学教職員組合『手から手へ』第2268号(2004年3月10日付)

信じがたい対話拒否と破廉恥な現大学切り捨て
─道理のない管理本部長、学長予定者の対応を糾弾する!!―

 3月8日に都立大学茂木総長と管理本部の会談が行われ、添付のような書類
が管理本部側から提示されたと聞いています。都立大学評議会が、この文書の
内容に対して「受け入れることができない」との見解を示したことや、「同時
に、ここに重ねて、 早急に新大学準備のための開かれた協議を開始するよう」
求めたことは、新大学に責任を負うものとしての当然の態度表明です。

 この管理本部の文章は冷静に読めばすぐわかるように、自己矛盾を多く含ん
でいますし、また、真に都民や国民に開かれた新大学を作るために努力してき
た都立の4大学の教員の努力を完全に踏みにじる内容になっています。管理本
部側が真剣に「新大学」を作る意思があるのかさえ疑わざるを得ない内容であ
り、憤りを通り越して呆れ果ててしまいます。

 1の本文の5行目に「改革である以上、現大学との対話、協議に基づく妥協
はありえない」と言う文章がありますが、これは日本語として意味をなしませ
ん。「改革である以上、・・・対話、協議に基づく検討が必要」な筈です。したがっ
て、「現大学との対話、協議に基づく妥協はありえない」と言っているのは、
もはや「4大学の教員の英知を結集して改革を行うという気は全くない」と言
い放っていることであり、管理本部は4大学がこれまで長年培ってきた英知
(教育・研究)を無視し、かつ破壊し、真に都民や国民に開かれた大学を作る
意思がないことを明言しているわけです。つまりこれは、憲法で保障されてい
る「大学の自治」や「学問の自由」を敵視し、無視する態度であります。

 2では、新大学の大学院も学部と同様、現行の組織を無視して管理本部と西
澤学長予定者の恣意のままに設計することを宣言し、都立大評議会の道理ある
要望を真っ向から否定しています。

 「意思確認書」に関して、みずから2月18日付けで人文、経済、理の学部
長、研究科長に対して提出を要請したにもかかわらず、3の2行目で3月になっ
てからの提出を「同様の取り扱いをする訳にはいかない。何らかの仕切が必要
である。」というのは良い大学を作ろうと譲歩した教員の意思を完全に踏みに
じっています。それに続く「なんらかの担保がない限り、新大学には参加すべ
きでない」も具体的にどういう「担保」を期待しているのか全く理解に苦しむ
内容で、低劣なやくざまがいの脅しです。最後から2行目分はもっと問題です。
「総長、学部長(研究科長)、教授クラスの教員にあっては、混乱を招いた社
会的、道義的責任を自覚すべきである。」とはよくもこういうことが言えると
驚かざるを得ません。この間、真に都民や国民に開かれた大学を作るために誠
実に協議を要請し、提案をしてきたのは、都立大総長であり、学部長(研究科
長)であり、かたくなに協議を拒否し、計画を河合塾に丸投げし、大企業や秋
葉原再開発などで利益を得るほんの一握りの人たちのために大学を利用する計
画を秘密裏に進めて、「混乱を招いた社会的、道義的責任を自覚すべき」なの
はまさに管理本部の方なのです。

 今重要なのは、管理本部が1月の評議会声明を真摯に受け止め、4大学と民
主的に話し合う機会を再構築すべき点です。

 既に「意思確認書」を提出した教員も、まだ出していない教員も、良い大学
を作ろうという点では思いは同じです。管理本部がこのように乱暴に現大学を
切り捨て、対話の拒否に出ようとしている今こそ、既に出したかどうかに関わ
らず一致団結して新大学を作るために奮闘しましょう。


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 3月8日に都立大学総長に対して大学管理本部長として3点にわたるコメン
トを申し上げました。その内容を、西澤学長予定者にも確かめたところ、考え
方が一致しておりましたのでお知らせいたします。

平成16年3月9日
学 長 予 定 者 西澤 潤一
大学管理本部長 山口 一久

1 今後の改革の進め方
 第1回都議会定例会での知事の施政方針のとおり、知事にはまったく新しい
大学として「首都大学東京」を17年度に断固として開学する強い思いがある。
 改革の本旨に従い、引き続き教学準備委員会を中心に検討・準備を進める。
 改革に積極的に取り組む先生方とともに、「首都大学東京」を創る。
 改革である以上、現大学との対話、協議に基づく妥協はありえない。
 「首都大学東京」は、東京都がそこに学ぶ学生や東京で活躍するさまざまな
人々のために設置するものであり、教員のためではないことを再確認して欲し
い。

2 大学院の検討
 大学院の重要性は認識している。
 教学準備委員会の下に、現状追認でない新しい大学院を検討するWGを設置
する。
・メンバーは西澤学長予定者が指名する。
・第3回教学準備委員会で提示した、座長叩き台案、川勝専門委員案を出発点
に検討を進める。

3 意思確認書提出の取扱い、混乱の責任
 新大学に前向きな姿勢で期限を守って提出頂いた方々と3月に入ってから提
出された方々を同様の取扱いとする訳にはいかない。何らかの仕切が必要であ
る。
 また、公に改革に批判を繰り返す人たち、意思確認書の提出を妨害する人た
ちには、意思確認書が提出されたからといって、建設的な議論が出来る保障が
ない。なんらかの担保がないかぎり、新大学には参加すべきでない。
 学内を主導する立場にある、総長、学部長(研究科長)、教授クラスの教員
にあっては、混乱を招いた社会的、道義的責任を自覚すべきである。

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3月8日の総長と大学管理本部長の会見に係る評議会見解

   2004年3月9日
   東京都立大学評議会

 3月8日、総長と大学管理本部長の会見が行われ、本部長は別紙(翌9日学
長予定者との連盟で大学宛送付)の内容を基本とする発言を行った。

 評議会は、本年1月27日付け評議会の「見解と要請」に照らしても、これ
を受け入れることはできない。

 同時に、ここに重ねて、早急に新大学準備のための開かれた協議を開始する
よう求める。