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新首都圏ネットワーク


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Academia e-Network Letter No 66 (2004.03.05 Fri)
http://letter.ac-net.org/04/03/05-66.php

━┫AcNet Letter 66 目次┣━━━━━━━━━ 2004.03.05 ━━━

【1】法学者54名の抗議声明3/3:自衛官宅へのビラ配布者逮捕について
http://www.geocities.jp/chikushijiro2002/Default.html

【2】衆議院文部科学委員会2004年2月27日
都立大の危機ーやさしいFAQ より
 http://www.bcomp.metro-u.ac.jp/~jok/kiki-o.html#monka-daijin

【3】日比谷集会報告 < 都立大「改革・合併・廃校」問題検討wiki
http://wata909.cool.ne.jp/cgi-bin/yukiwiki/wiki.cgi

 【3-1】お便り紹介
 Delivery-date: Sun, 29 Feb 2004 18:42:38 -0500

【4】佐藤真彦氏「中田市長の“東京新聞報道は『完全に誤報』
発言”を検証する」
  『カメリア通信』第16号 2004年3月3日(不定期刊メールマガジン)
  http://satou-labo.sci.yokohama-cu.ac.jp/040303gohou.html

【5】「成果主義」導入は誤り 働く動機にはならない
北海道新聞2004/02/28 <いんたびゅー>
田中伸夫さん(46)=東大大学院経済学研究科教授

━ AcNet Letter 66 【1】━━━━━━━━━━ 2004.03.05 ━━━

法学者54名の抗議声明3/3:自衛官宅へのビラ配布者逮捕について
http://www.geocities.jp/chikushijiro2002/Default.html

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立川自衛隊監視テント村への弾圧に抗議する法学者声明
2004.3.3

2004年2月27日、市民団体「立川自衛隊監視テント村」の市
民3人が、自衛隊のイラク派兵に反対するビラを配布するた
めに自衛隊員の住む官舎へ立ち入ったとの容疑で、住居不法
侵入罪で逮捕され、さらに団体の事務所とメンバーの自宅等
6箇所が家宅捜索を受け、団体に関する書類やパソコンなど
を押収されました。

わたしたち法学者は、この事態が、市民の正当な表現活動を
抑圧し、民主主義社会を萎縮させるのではないかという危機
感を抱いています。

まず、当該行為が刑法130条の住居侵入罪に当たるかどうか
について疑問があります。近代法は、「公」と「私」の領域
を区切ることで、「私」の自由な領域を保護することを主要
な任務としてきたのであり、本条の保護法益も、部外者の侵
入を許さずプライバシーの享有を期待できる区画された場所
内の平穏な利用である、というのが通説的見解です。ここで
郵便受けは、私人が住居という本質的に私的な空間を確保し
ながら、外から内部に向けて発せられる情報を受けとるため
に自ら設置した限定された空間だと考えられます。つまり、
それは、法によって遮断された「私」と「公」の領域をつな
ぐための通路であり、外部との遮断を目的とするドアや門と
は逆に、外に向かって開かれた性質を持つものです。したがっ
て、チラシを郵便受けに配布するために他人の敷地に立ち入
ることは、「プライバシーの享有を期待できる区画された場
所」の「平穏」を害する行為にはあたりません。

当該行為が刑法130条の構成要件に該当しない上、今回の措
置には別の目的があるということを疑うだけの十分な理由に
なります。考えうるのは、イラクへの自衛隊派兵に際して、
市民と自衛官及びその家族との直接的接触を禁じることです。
そうであれば、これは、憲法21条で保障される表現の自由の
問題になります。憲法21条は、市民の間の自由なコミュニケー
ションは、正当な手段でなされる限り違法とされることがな
いことを保障しています。当該行為は、自衛隊のイラク派兵
というそれ自体憲法上疑義がある事態を憂慮する市民が、自
衛隊員とその家族に対して、市民として共に考えることを直
接促すために行われたものであり、その手段も、ビラという
通常の媒体を使用して、郵便受けという外に開かれた空間に
それを投函したという極めて穏健なものです。つけ加えるな
らば、ビラの内容も、自衛隊員とその家族に対して「共に考
え、反対しよう」と呼びかけたものであり、その個人的法益
を侵害するようなものではありません。自衛隊員とその家族
は、市民としてこのような情報を受けとり、その内容につい
て自分で判断する権利があるのであり、「住居侵入」という
通常考えられない刑罰をもって両者のコミュニケーションを
遮断しようというのは、法の明確性、安定性、予見性を著し
く害し、市民の間の自由なコミュニケーションを萎縮させ、
ひいては民主主義というコンセプトを傷つける危険性を孕ん
でいます。

さらに、このような正当な表現行為に対して、当該行為を行っ
た市民団体のメンバーの逮捕、拘束にとどまらず、市民団体
の構成員の自宅の捜索、関連するパソコンや書類の押収、と
いう非常に強硬な手段が取られました。わたしたちは、ここ
で対象とされているのは、ビラの投函という一個の行為では
なく、当該市民団体の活動そのものであると考えざるをえま
せん。もしそうであるならば、今回の措置は、結社の自由と
いう憲法の基本的価値を揺るがす事態であり、市民が自由に
結合し、自由に意見を表明できることでなりたっている民主
主義社会に対して、深刻な傷を負わせる危険性があります。

以上のように、今回の措置には、自衛隊のイラク派兵に反対
する市民団体を狙い撃ちにし、その正当な表現活動を制限す
ることに真の目的があると言わざるを得ません。表現の自由、
結社の自由、身体の自由は日本が民主主義国家である限り、
最大限の価値がおかれるべきものです。わたしたち法学者は、
今回の措置が自由な民主主義社会の基礎を揺るがす深刻な事
態と考え、一連の言論弾圧を行った立川警察署および警視庁
に強く抗議するとともに、三人の即時釈放を求めます。  
                      
            2004年3月3日 賛同者一同

声明発起人:石埼学(亜細亜大学・憲法)

賛同者(50音順)

愛敬浩二(名古屋大学・憲法)/足立英郎(大阪電気通信大学・憲法)/
石川裕一郎(麻布大学・非常勤・憲法)/石埼学(亜細亜大学・憲法)/
市川正人(立命館大学・憲法)/稲正樹(亜細亜大学・憲法)/
井端正幸(沖縄国際大学・憲法)/植松健一(島根大学・憲法)/
植村勝慶(國學院大學・憲法)/浦田賢治(早稲田大学・憲法)/
遠藤歩(東京都立大学・民法)/大田肇(津山高専・憲法)/
奥平康弘(憲法学者)/小栗実(鹿児島大学・憲法)/
小澤隆一(静岡大学・憲法)/北川善英(横浜国立大学・憲法)/
木下智史(関西大学・憲法)/君島東彦(北海学園大学・憲法)/
葛野尋之(立命館大学・刑事法)/小林武(南山大学・憲法)/
小松浩(三重短期大学・憲法)/木幡洋子(愛知県立大学・憲法)/
近藤充代(日本福祉大学・経済法・消費者法)/阪口正二郎(一橋大学・憲法)/
佐々木潤子(金沢大学・税法)/佐々木光明(三重短期大学・刑事法)/
笹沼弘志(静岡大学・憲法)/清水雅彦(和光大学・憲法)/
杉原弘修(宇都宮大学・行政法)/高橋利安(広島修道大学・憲法)/
多田一路(大分大学・憲法)/只野雅人(一橋大学・憲法)/
田村武夫(茨城大学・憲法)/塚田哲之(福井大学・憲法)/
豊崎七絵(龍谷大学・刑事法)/中里見博(福島大学・憲法)/
中島茂樹(立命館大学・憲法)/中島徹(早稲田大学・憲法)/
永山茂樹(東亜大学・憲法)/成澤孝人(宇都宮大学・憲法)/
新倉修(青山学院大学・刑法)/西原博史(早稲田大学・憲法)/
根森健(新潟大学・憲法)/松宮孝明(立命館大学・刑法)/
水島朝穂(早稲田大学・憲法)/三輪隆(埼玉大学・憲法)/
元山健(龍谷大学・憲法)/山口和秀(岡山大学・憲法)/
吉田省三(長崎大学・経済法)/和田進(神戸大学・憲法)/
渡辺洋(神戸学院大学・憲法)                  
      以上51名

記者会見後の賛同者:長岡徹(関西学院大学・憲法)/
上脇博之(北九州市立大学・憲法)/飯田泰雄(鹿児島大学・経済法)/
近藤真(岐阜大学)/増田栄作(広島修道大学・民法)

━ AcNet Letter 66 【2】━━━━━━━━━━ 2004.03.05 ━━━

衆議院文部科学委員会2004年2月27日
都立大の危機ーやさしいFAQ より
http://www.bcomp.metro-u.ac.jp/~jok/kiki-o.html#monka-daijin
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O-11 2004年2月27日の衆議院文部科学委員会で都立大の問題が取り
あげられたようですが,文部科学大臣はどんな意見を述べたのです
か?
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ポーカス博士

そう,衆議院文部科学委員会で共産党の石井郁子議員が質問した。
結論から言うと,1勝2敗というところかなと思う。質問の第1点
は意思確認書の問題(L-4)だ。これはすでに報道されているように,
「文部科学省がこのような文書を出せと求めてはいない」と河村文
部科学大臣は明言した(1勝)。事実関係の説明の後,文部科学省
が言っていないことを,あたかも言ったかのように扱った大学管理
本部に対して,抗議をすべきだと指摘すると,大臣はすでに抗議は
していると発言した。しかし,管理本部のホームページには,謝罪
の言葉はまったくないと,石井議員が詰め寄ったが,抗議はしたの
一点張りで,謝罪を求める様子はまるでなかった(1敗)。

第2点。石井議員は,文部科学省も都立の4大学の統廃合問題に対
して,適切な指導をすべきではないかと迫ったのだが,河村文部科
学大臣は:

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管理本部は教学準備委員会を設置して、大学の学長、学部長、教
員の意見を聞きながらきちんと協議を行っていると聞いている。

公立大学の統合、改廃の問題については、設置者の主体性、意向
を尊重するべきであり、文科省はとやかく言う立場にない。
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と答えた(1敗)。文部科学省が,都立4大学改変問題で何の情報
もつかんでいないわけはない。さまざまな団体の抗議声明も,直接
文部科学省に送付されているはず。また,鬼界氏の2004年1月26日
に出された要望書は,河村文部科学大臣宛だったはずじゃ。さまざ
まなマスコミでも報じられているように,教学準備委員会(XX-7)は,
現存の都立4大学の代表者が集まって話し合いをしている場ではな
い。それにもかかわらず,<管理本部と大学側でちゃんとした話し
合いが持たれている>という認識だとしたら,一般的おとなの認知
能力欠如,一般常識の欠如という理由で,大臣どころか国会議員も
辞職してもらわねばなるまい。「学問の自由」や「大学の自治」と
いう,国家で考えなければならない問題に目をつむるというのは大
臣のすることではない。日本の教育行政全体に責任を持っていると
いうことを自覚し,与党議員であるということとは離れて「一人の
日本の政治家」として自覚し,責任ある行動・発言して欲しい。都
議会文教委員会でも起ったことだが,与党議員であるというだけで,
事の真意を吟味せずに賛成するとか,反対するということが起って
はならない!

━ AcNet Letter 66 【3】━━━━━━━━━━ 2004.03.05 ━━━

日比谷集会報告 < 都立大「改革・合併・廃校」問題検討wiki
http://wata909.cool.ne.jp/cgi-bin/yukiwiki/wiki.cgi
───────────────────────────────
http://wata909.cool.ne.jp/cgi-bin/yukiwiki/wiki.cgi?%c6%fc%c8%e6%c3%ab%bd%b8%b2%f1%ca%f3%b9%f0

当日、1800人(以上?)の方が会場に訪れました。また、会場
で寄せられたカンパの額も150万という、ちょっと想像を絶する
額になりました。

この手の集会には、「動員」という形で関心の無い方が来られる場
合がままあります。例えば、デモ行進などでなんとなくやる気無さ
げに歩いてる方々とかです。本当にそういう方だけだったら、そう
いう人さえ集まればいいということで人を集めていたら、これだけ
の額は集まらないとおもいます。

そういう意味で、この問題に足を運ぼうと思うほど関心を持ってる
方が1800人もいるということは、大きな事実ですし、それ以上
に足を運ぼうとしないながらも関心を持ってる人間がその倍、否、
10倍はいるかもしれません。

それでも、10倍の人間がいるとしても1万8千人です。都知事が
寄って立つ得票数は300万です。この数に、少しでも近づくよう
に、そして都立の大学だけでなく、東京で起きている様々な形での
人を大切にしないやり方を、少しでも変えていけるきっかけに、火
口になればと思います。

以下、報道関係へのリンクになります。
・・・・・・

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【3-1】お便り紹介
Delivery-date: Sun, 29 Feb 2004 18:42:38 -0500
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・・・・・・
「二十八日の都民の会に参加したものですが、主催者の閉会ご挨拶
では参加者総数1800名ということでしたが・・・。とにかく公会堂
の二階も含めてほぼ全席がうめつくされました。それにしても報道
関係者が取材しておりましたが、ニュースの一つぐらいはどこかに
出されておりましたのでしょうか。翌日のテレビ、朝日新聞ではお
目にかかりませんでしたが…。この参加の実態を都管理局の野蛮人
どもに知らしめる方策はいかに? これらのことについてのさらな
るご発信あらばと期待しております。勝手な願いご寛容ください。」


━ AcNet Letter 66 【4】━━━━━━━━━━ 2004.03.05 ━━━

佐藤真彦氏
「中田市長の“東京新聞報道は『完全に誤報』発言”を検証する」
『カメリア通信』第16号 2004年3月3日
Camellia News No. 16, by the Committee for Concerned YCU Scholars
http://www5.big.or.jp/~s-yabuki/doc03/came-16.pdf
html 形式:
http://satou-labo.sci.yokohama-cu.ac.jp/040303gohou.html
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#(証拠文書等30件へのリンク掲載)


━ AcNet Letter 66 【5】━━━━━━━━━━ 2004.03.05 ━━━

「成果主義」導入は誤り働く動機にはならない
北海道新聞<いんたびゅー>2004/02/28
田中伸夫さん(46)=東大大学院経済学研究科教授

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「年功制を廃止し、業績に応じて賃金を決める「成果主義」
を導入する企業が増えている。近著「虚妄の成果主義」(*)
で、この傾向に異論を唱えている東大大学院経済学研究科の
田中伸夫教授に主張のポイントを聞いた。

(聞き手・佐藤宏光)


--成果主義導入は間違いですか。

「間違いです。導入済みの企業の関係者から、後悔している
という話を数多く聞いています。導入を検討している企業は
やめるべきです」

--どこが間違っているのですか。

「賃金に差をつけたら社員が働くようになるという発想です。
それよりも、大きな仕事を任せられるとか希望の部署に行け
るなどの方が働く動機としては大きいのです。経営者は成果
主義ではなく、従業員の生活を守り、従業員の働きに対して
は仕事の内容と面白さで報いる日本型の年功制を大事にすべ
きだというのが私の主張です」

--成果主義導入によって企業にどんな問題が起きていますか。

「一番多いのは評価の問題。成果主義では客観的基準に基づ
いて社員の業績を評価します。導入した企業の関係者の多く
は『想定外の人が高い評価になり、違和感がある』と言いま
す。評価を気にして、言いたいことが言えなくなる弊害もあ
ります。評価は本来、上司が自らの主観に基づいて重い責任
を背負いながら行う仕事。客観性を装い、マニュアルに従っ
て点数をつけておしまいというのでは無責任です」


--間違った考え方だとしても、導入する企業は増えています。

「成果主義を導入しないのはだめな経営者だという風潮のせ
いでしょう。本当に経営者が取り組むべきなのはどうやって
収益を上げるのか、会社の長期的な姿を考えて示すこと。そ
れが難しいから制度をいじって改革したつもりになっている
のです」


--働いても働かなくても給料にあまり差が出ない年功制は不
公平だとの指摘もあります。

「年功制は年齢別で生活費を補償するという側面があり、賃
金は年齢とともに上昇します。ただ従業員には賃金に見合っ
た業績を求める圧力がかかります。業績を上げなければ重要
な業務から外され賃金にも差が出ます。年功制は実は非常に
厳しいシステムなのです」


--年功制では、不況下で企業が生き残るため必要とされる人
件費削減は難しいのでは。

「経営が本当に苦しいなら従業員に事情を説明し、役員報酬
を下げた上で賃下げを提案したらいい。年功制でも人件費削
減はできます。制度のせいにして別のシステム導入で済ませ
ようとする姿勢が問題なのです」

・・・・・・
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http://www.ac-net.org/dgh/blog/archives/000528.html
(*)「虚妄の成果主義−日本型年功制復活のススメ」
高橋伸夫 2004.1.19発行1600円 日経BP社 ISBN 4822243729
http://bpstore.nikkeibp.co.jp/item/main/148222437290.html
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4822243729/

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編集発行人:辻下 徹 admin@letter.ac-net.org
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