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http://www.tfpu.or.jp/ 石原都知事による横暴な都立4大学つぶし等の「大学破壊」に抗議する声明 2004年2月28日 東京私大教連中央執行委員会 (東京地区私立大学教職員組合連合) 2003年8月1日、石原東京都知事は、東京都と都立4大学(東京都立大学、都 立科学技術大学、都立保健科学大学、都立短期大学)がそれまで協議し、準備 をすすめてきた改革案を一方的に覆し、4大学を「廃止」し、新大学を「設立」 するとの方針を発表しました。「新大学」は、2005年4月に開校(大学院は06年) し、新学部(都市教養学部、都市環境学部、システムデザイン学部、保健福祉 学部の4学部)を設置する、現都立大学の文学5専攻(国文・英文・独文・仏 文・中文)等は廃止する、文学・外国語担当教員は教員定数のつかない基礎教 育センターなどに配属する(現在の教員の退職後は補充しない)、外国語教育 は外部委託する、「単位バンク制」をとる、教員に任期制・年俸制を導入する、 というものです。 <大学の意思を無視した暴挙は断じて許されない> 「都立4大学の廃止・新大学設立」の最大の問題点は、 石原都知事が独裁者 のように「設置者権限」を振りかざし、大学側の意思を無視して強行しようと している暴挙であるということです。もしこのようなことが許されるならば、 公立・国立・私立の別なく、「設置者」による一方的な廃止等の暴挙が私たち にも襲いかかってくるということを意味します。私たちは私立大学で働いてい る者ですが、この問題はひとり都立4大学だけの問題ではなく、私たち私立大 学の問題でもあり、大学教育全体の問題であるととらえ、都立4大学と連帯し て闘う決意です。 <「新大学」構想の問題点> 「新大学」 構想には、いくつもの問題点があります。 第1に、「新大学」には「都市教養学部」を設置するとしながら、その理念・ 教育課程の設計を自分たちで提案することができず、受験予備校の河合塾に都 民の血税3000万円をつぎこんで作成を委託したのです。これは恥を知らぬ行為 であり、税金の不当使用の疑いさえあります。第2に、文学5専攻の一方的廃止 は、これらの学問の存立・継承・発展を否定する暴挙です。第3に、語学教育の 外部委託や大量の単位を他大学に委ねる「単位バンク」制の導入は、教育に大 学が責任を負わないシステムをつくるものです。第4に、全教員に任期制・年俸 制を導入しようとしていますが、「准教授」(助教授)の任期は5年で再任は1 回まで、つまり2回目に教授に昇任しなければ解雇となるというものです。教授 も任期5年で「主任教授」にならなければ雇用は保障されません。現行の給与体 系を選択することもできますが、その場合には、定年まで給与はまったく据え 置かれたままで昇任もありません。これでは、将来不安から、優秀な人材は大 学に集まらなくなってしまいます。このほかにも多数の問題があり、問題だら けの構想だと言わなければなりません。一方的な大学の「廃止・新設」や労働 条件の不利益変更等は、関連法規(学校教育法、教育公務員特例法、大学教員 等任期制法、地方独立行政法人法、都立大学条例、労働基準法等)に照らして、 重大な疑義があります <「廃止・新設」の手続き、一方的労働条件の変更をめぐる問題> また、手続にも重大な問題があります。東京都は、大学や都議会・都民には 「廃止・新設」と説明しながら、文部科学省への手続きは「改組・転換」で進 めようとするなど二枚舌的手口を使っています。これは、都民・国民を欺くも のです。このようなでたらめな手続きを文部科学省はそのまま認めるのかどう か、私たちは重大な関心をもって監視する必要があります。 さらに、石原都知事は2月6日、新大学の名称を「首都大学東京」と決め、大 学管理本部は「首都大学東京就任承諾にあたっての意思確認書」をすべての教 員に送付しました。都は、「新大学」の賃金・労働条件、教育課程、教育研究 体制などの策定を大学に相談することなく進めてきており、こうした中での 「意思確認書」の提出は、「新大学」での身分を白紙委任せよと迫るものであ り、著しく不当です。 <石原都知事は都立4大学への支配介入を直ちにやめよ> こうした大学教育を危うくする動きは、都立4大学だけではなく、横浜市立 大学や他の公立大学にも起こっています。ここには、知事・市長・行政当局が 意のままに大学を支配しようとしている点に共通の問題があります。 都立4大学は、世界に誇れる都民の宝、国民の宝です。私たちは、石原都知事・ 行政当局が国民の知的財産である大学を破壊しようとする暴挙に強く抗議し、 大学への支配介入を直ちにやめるよう要求するものです。同時に、都立4大学 の教職員・学生・院生を含む広範な都民・国民と連帯し、都民・国民のための 大学教育を守り、大学の自治・学問の自由、教職員の権利と自由を守るために 奮闘することを表明するものです。 |