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新首都圏ネットワーク


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Academia e-Network Letter No 63 (2004.02.28 Sat)
http://letter.ac-net.org/04/02/28-63.php

━┫AcNet Letter 63 目次┣━━━━━━━━━ 2004.02.28 ━━━

【1】豊島耕一氏のメッセージ 2004.2.26

【2】中田宏横浜市長の「誤報」発言に対する見解
横浜市立大学を考える市民の会
平成16年2月25日
http://www.shutoken-net.jp/web040226_3yokohama.html

 【2-1】「病院以外の横浜市大予算120億の内50億は地方交付金」
横浜市立大学の未来を考える
『カメリア通信』第15号 2004年2月27日より
http://www5.big.or.jp/~s-yabuki/doc03/came-15.pdf
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軍事政権下にあるアジアの某国では、権力を掌握した人たちが大学
の教員を自分に近い人たちに置き換えることが、過去に何回かあっ
たそうです。そのようなことを続ければ学問の多くの分野が失われ
ることは自明ですが、実際に失われてしまった分野もあるようです。

第二次大戦後に作られた日本の国公立大学制度は、種々の法律群に
より、政治権力の変動が大学に直接的影響を及ぼすことを防いでき
ました。しかし、国立大学制度が廃止され、公立大学制度も選択肢
としては残っているものの、多くの自治体が放棄しようという流れ
の中で、政治権力を持つに到った人たちが、個人的信念に基づき、
気の合った仲間と一緒に、大学全体をオーバーホールすることが可
能になりました。そのような極端なことは起きない、と、国公立大
学の人々は楽観的でしたし、今でも国立大学の人々は楽観的のよう
ですが、国公立大学制度の変更が国会で決って3週間も経過しない
内に、懸念されていた最悪のケースが東京都立4 大学において発生
してしまいました。

文部科学大臣に現都知事と同じタイプの人が就任すれば、国立大学
でも同様のことが起きるでしょう。それに対抗できる法的装置がほ
とんど失われてしまった以上、教育と研究の現場における独立性を
維持しようとする気概以外に希望の材料はありません。

都立大学では、過半数の方々が、大きな巧妙な圧力の下で、大学の
自立性を維持すべく奮闘されています。そのことは、日本の大学全
体の将来に大きな希望を与えるものです。

本日午後3時から日比谷公開堂で都民の会が主催する、都立大学を
支援する集会があります。首都圏の国公私立大学の方々は、日本の
大学全体の問題ととらえ参加されますように。

━ AcNet Letter 63 【1】━━━━━━━━━━ 2004.02.28 ━━━

豊島耕一氏のメッセージ 2004.2.26

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                     2004年2月26日
独法化阻止全国ネット
会員,賛同者各位,賛同団体各位
友人の皆様
                         豊島耕一

都立大,横浜私立大をめぐる情勢が重大な局面になっています.都
立大では,法的根拠のない都側が求めた新大学への移行の「意思確
認書」を,都立大教員の61%が提出しませんでした.これによっ
て都側は23日、3月上旬に予定されていた予備審査を先送りするよ
う文部科学省に要請する事態に追い込まれています.

国立大学の独法化問題は,そのXデーが迫りつつありますが,違憲
の就業規則が作られようとしており,実質上その「制定権」を持つ
評議会や教員の責任が注目されます.

目次 (1)都立大問題 (2)横浜市立大学「法人化」問題
   (3)国立大学独法化問題


(1)都立大問題

今週末,都立大に関して重要な集会が開かれますので,首都圏また
は近くの方はぜひご参加下さるようお願いします.(AcNet Letter
60から転載.重複受信の際はご容赦下さい.)


「東京都の教育『改革』でいま起こっていること
〜これでいいのか?都立の大学「改革」」

日時:2004.2.28(土)開場/15:00 開会/15:30(約3時間)
会場:日比谷公会堂 http://www.tokyo-park.or.jp/hibiya/
内容:http://www.geocities.co.jp/CollegeLife-Lounge/3113/feb_kikaku.html
連絡先:〒194-0298 東京都町田市相原町4342 法政大学 社会学部
      荒井容子研究室気付け「都立の大学を考える都民の会」
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 「・・・・・・今回の集会は、2月25日から始まる都議会の会期中
 に開かれます。今年4月には「新大学」の設置申請が文科省に対し
 て行われる予定であることを考えますと、この期の都議会で、都立
 4 大学をめぐる審議が大詰めを迎えることは必至の状況です。従っ
 て、今回の集会は、私たちの声を東京都・大学管理本部に目に見え
 る形で伝えることのできる、最後の機会であると考えています。

 日比谷公会堂は2000人が入る大きな集会場ですが、この会場に1000
 人、2000 人と集まって大きな声をあげることができなければ、東
 京都が進めようとしているいまの「改革」の流れを止めることはで
 きません。どうかみなさん、2月28日には是非日比谷公会堂に足を
 お運びください。できればお一人ではなく、まわりの方々に声をか
 けて、連れだってご参加ください。・・・・・・」

 「集会成功のために、是非カンパをお寄せください。今回の集会で
 は、チラシ・ポスター印刷費や当日会場費、また大学OBへの案内発
 送費などで、約300万円の予算が必要です。甚だ勝手なお願いでは
 ありますが、2口、3口、さらに条件のある方は10口程度(10,000
 円)のカンパをお寄せ頂ければ幸いです。」

 振込先 郵便局口座名義 都立の大学を考える都民の会
  口座番号 00190−5−481324
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(2)横浜市立大学「法人化」問題

中田市長は2月18日に定款案を市議会に提出しましたが,同大の永
岑三千輝氏は「これでは大学ではない」と批判しています.また,
同大教員組合によると,国立大学の独法化を上回る理事長専決体制
のように思われます.その批判をうちいくつか紹介します.

 - 理事長の権限が強大すぎる
 - 教員人事の権限が教育研究審議会にない
 - 教育研究審議会のメンバーに学部長が入っていない,学外者が含まれる
 - 学則その他について教育研究審議会に審議権がない
 - 教育研究組織の設置・廃止,教育課程などが経営審議会の審議事項とされている

詳しくは次の文書をご覧下さい.

 横浜市議会議案111号:公立大学法人横浜市立大学定款(案)
  http://homepage3.nifty.com/ycukumiai/shiryo/k040218-1.pdf

  公立大学法人横浜市立大学定款(案)の問題点
  横浜市立大学教員組合 2004.2.12
  http://homepage3.nifty.com/ycukumiai/shiryo/k040212-1.pdf

(3)国立大学独法化問題

(3-1) 12月22日のメールでお伝えしたように,多くの大
学で言論,表現,集会の自由を否定するとんでもない就業規則案が
作られています.これについて各大学で批判と修正の活動が行われ
ています.佐賀大学では,当初の案が修正され,このような違憲条
項は撤回されました.
 各大学の案は次に集められています.
 http://ha4.seikyou.ne.jp/home/kinkyo/Alink_daigakushin.htm#syugyo

(3-2) 国立大学の独法化は憲法違反である,教育基本法違反
であるということが,多くの方,団体によって言われました.それ
を簡単な表にして次にまとめていますので,ご覧下さい.法廷への
何らかのアクションが必要なのではないでしょうか.
http://www.geocities.jp/chikushijiro2002/UniversityIssues/unconstitutional.html

(3-3)「中期目標」案に対する法的根拠のない評価委員会の事
前チェック(数値目標要求など)に対して,何ら批判がされていな
いように思われます.対策が必要です.この件について,国会で世
話になった議員,元議員3名に問い合わせのメール/ファクスを送
りました.

豊島耕一
http://pegasus.phys.saga-u.ac.jp
http://www.geocities.jp/chikushijiro2002/Default.html
佐賀大学理工学部物理科学科


━ AcNet Letter 63 【2】━━━━━━━━━━ 2004.02.28 ━━━

中田宏横浜市長の「誤報」発言に対する見解
横浜市立大学を考える市民の会
平成16年2月25日
http://www.shutoken-net.jp/web040226_3yokohama.html

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横浜市政記者室報道機関各位
横浜市金沢区洲崎町5-52
横浜市立大学を考える市民の会
代表  長谷川 洋

1 市長が言うとおり、形式上は大学が改革案(「横浜市立大学の
新たな大学像について」)を策定し、それを市が認めたことになっ
ている。しかし、これまで「市民の会」が知り得た情報を総合する
と、実態はまったく異なる。

2 大学のホームページには、教員組合のホームページに掲載され
ている各学部教授会(一部有志)の決議・意見・見解等(約20)が
掲載されていない。一方、「市立大学改革推進・プラン策定委員会」
および「同幹事会」の議事内容に関しても外部からうかがうよしも
なく、各教授会の決議・意見・見解等がいかなるかたちで論議され、
あるいは改革案に反映されたのかも定かではない。これでは反対の
声がまったく無視され、密室で改革案が作られたと言われてもいた
しかたないと思われる。

3 「市民の会」が、横浜市立大学の教員(複数)のホームページ
から知り得たところでは、「市立大学改革推進・プラン策定委員会
幹事会」は学内に対してさえ非公開(傍聴を許さず)であったばか
りか、委員には箝口令がしかれ、会議内容は学内にさえ秘密とされ
た。また、最終的に評議会でも異論が続出した改革案を学長が強引
に大学の案として横浜市に提出したもののようである。もしこれが
事実であるなら、改革案の策定が密室の中で行われたと言わざるを
得ない。東京新聞の記事が誤報であるとし、「密室で決めたことは
一度もない」「市大自身が改革案を出した」と言う以上、市長は、
当該ホームページの記述が偽りであるとの証拠を示す必要がある。

4 現在コース案やカリキュラム内容を検討中の「コース案等検討
プロジェクト部会」は、昨年12月に横浜市大学推進本部から横浜
市立大学の各教員にあてて「参加申込書」が送られ、教員は個人の
資格で参加している模様である。この「コース案等検討プロジェク
ト部会」は大学ではなく市の大学改革推進本部に設置されたもので
あって、大学の組織とはいえず、ここでコース、カリキュラムが検
討されるとすれば、その案は大学の案とは言えない。また、この
「部会」の論議の実質的内容に関してもまったくうかがい知ること
ができない。

5 当初、3月末までの予定であったカリキュラム案の策定が6月
まで遅れるという情報がある。これでは文部科学省への申請までの
時間的余裕が全くなく、行政組織の中に作られた「コース案等検討
プロジェクト部会」で策定したコース・カリキュラム案を大学が検
討する時間が残されないことになる。したがって、このタイムスケ
ジュールでは、「いきなり公表、トップダウン」となるのは避けら
れない。もし、市長が「密室で決めたことは一度もない」「市大自
身が改革案を出した」「トップダウンではない」というなら、この
「コース案等検討プロジェクト部会」の審議の詳細をただちに公開
するとともに、タイムスケジュールを見直すべきである。

以上

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【2-1】「病院以外の横浜市大予算120億の内50億は地方交付金」
横浜市立大学の未来を考える
『カメリア通信』第15号 2004年2月27日より
Camellia News No. 15, by the Committee for Concerned YCU Scholars
http://www5.big.or.jp/~s-yabuki/doc03/came-15.pdf
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#(一楽教授から東京新聞記者への書簡より抜粋)

「・・・・・・さて、19日の記者会見での中田市長の「東京新聞誤
報」という発言の最後に末尾に示した部分があります。ここで、市
長は「大学への市からの繰り入れが240億(大学)+240億(病院)」
と言っていますが、これは誤りで「120億(大学)+120億(病院)」
が正しいのです。

誤報でもないものを誤報と言い、市大への繰り入れを2倍に言うと
いうことは、許されないことです。しかも、こういう議論のときに
は、決して国からの地方交付税に言及しません。70億円弱は、大学
があることによって国から交付されているのですから市民の負担と
は言えないものです。正確な金額を記しておきます。

市立大学を設置している財政需要        49億8700万円

付属病院の運営経費及び地方債元利償還金    18億6800万円

合計            68億5500万円

・・・・・・」

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編集発行人:辻下 徹 admin@letter.ac-net.org
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趣旨:http://letter.ac-net.org/index.php
#( )の中は編集人コメント、「・・・・・」は編集時省略部分