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新首都圏ネットワーク


『朝日新聞』2004年2月21日付

 国立大の出張管理 JTBが初の受託
 法人化控え 第1号は鳥取大


 旅行業界最大手のJTBは、鳥取大学との間で、教職員の出張について切符
の手配から精算の処理まで一括して請け負う契約を結ぶことを明らかにした。
国立大学が出張管理業務を外部の民間企業に委託する先駆けとなる。旅行のプ
ロの手腕を活用することで、大学側は年間約1億円の県外出張旅費を最低でも2
割は節約できるという。4月に法人化を控えた国立大学にとって経費削減は急務
だけに、新たなビジネス機会ととらえた旅行業界各社は受託の競争に拍車をか
けている。

 民間企業の出張手配と精算業務で実績のあるJTBは、国立大学からの受託
を狙って「公務版システム」を開発した。民間企業向けの仕組みに、私立大学
向けのノウハウを加味。さらに、公務員に課せられている旅費計算の妥当性証
明機能も付けた。

 鳥取大は同システムを活用する第1号となる。上司への出張申請から、列車や
航空券、宿泊先の手配、さらに帰国後の旅費精算まで扱う。国立大ではこれま
で、教職員の出張は法令に基づき、正規運賃を事前に支給しており、外部委託
になじまなかった。

 委託で大学側は事務を効率化できるほか、ネット割引の格安切符や宿泊割引
などで旅費が削減できる。

 ビジネス関連旅行の市場規模は年間1兆4千億円前後とされ、ここ数年は横ば
いが続いている。しかし、リストラで企業が事務の外部委託化を進め、旅行会
社による出張管理業務は急成長しており、JTBは04年度の売上高を前年度比
2.2倍の94億円と見込む。