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新首都圏ネットワーク


日経BP BizTech 2004年2月19日付

経産省、大学が整備すべき営業秘密管理ガイドライン案を公表


 経済産業省産業技術環境局は、大学が産学連携を推進する際に整備すべき営
業秘密管理体制づくりに必要な「大学における営業秘密管理指針作成のための
ガイドライン案」を2004年2月19日に公表した。

 大学が産学連携を推進する環境整備の一環として、大学が適切な営業秘密管
理指針を作成し、その管理体制を整えることが不可欠になるからだ。

 従来の大学教員・職員や学生は、企業の営業秘密に触れる機会が実質的にほ
とんどなかったが、今後は企業との共同研究や委託研究が増え、企業の営業秘
密に触れる機会が急増すると想定される。また、産学連携活動を実施する過程
などで、大学の研究成果の中に企業の営業秘密に相当するものが増えてくる。

 2003年5月23日に「不正競争防止法の一部を改正する法律」が公布され、営
業秘密の侵害に対して刑事罰などが盛り込まれるなどの環境変化に、大学も対
応することが求められている。このため、大学も営業秘密管理体制を持つこと
が必要になっている。管理体制を持たないと、営業秘密に関する訴訟に対応で
きないケースが想定される。

 同ガイドライン案は、経産省内に設けられた「大学における秘密管理指針検
討委員会」(委員長は経営法友会の斉藤憲道副代表幹事)が検討し、産業技術
環境局大学連携推進課が知的財産政策室と共同で取りまとめたもの。

 ガイドライン案の内容は、まず大学の営業秘密と考えられるものを解説し、
刑事罰の対象となる行為を説明する。続いて大学での営業秘密管理の考え方を
解説し、営業秘密として成立する3条件を提示する。ガイドライン案のポイント
は、大学で想定される事例集。教員・職員の不正行為に当たる事例や、学生が
共同研究先企業で知った営業秘密に関する不正行為などを詳細に解説している。
さらに補遺として、大学での営業秘密管理の具体的方法を解説する。物理的・
技術的管理から始まり、組織管理、人的管理なども具体的に説明する。

 2004年4月に国立大学の独立行政法人化すると、教員などの研究成果から生ま
れる知的財産は大学組織が所有(帰属)する。この際に、適切な営業秘密管理
指針を教員や職員、学生に示し、管理体制の整備が必要になる。産学連携を進
める大学は、国立大学をはじめ公立大学、私立大学もしっかりした営業秘密管
理体制を求められている。(丸山 正明=編集委員室編集委員)