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非常勤職員の雇用、3年雇い止め廃止について


 こんにちは、奈良教育大学組合連合の山室です。わたしたちは、非常勤職員の雇用について学長と交渉をおこないました。

 その結果、
◆3年で雇い止めする慣例は廃止する。
◆雇用期間は、1年以内とする。(ただし、雇用の更新については、業務量、職員の勤務成績、及び経営状況等を勘案して大学として決定する。はじめから回数を決めることはしない。)
◆非常勤の事務職員・技官は定年を60歳とし、用務員は63歳とする。(常勤に準じる。その誕生日以後の年度末)
◆特例として、すでに雇用されている用務員の定年は65歳とする。
◆夏期休暇などを前向きに検討する。
との回答を得ました。

 これらの回答を引き出すことができたのは、

1.どの非常員職員さんも日々誠実に勤務されており、その評価が高い。
2.非常勤職員さん自身が、雇い止めなどのデメリットを直接学長に訴えた。
3.全教職員署名を224筆集めた。教職員が本気で願っているのだということを、数でも示した。
4.奈良県国公の協力を得て、地域の労働基準監督署や労働局に出向き、法的な学習をした。資料・『有期労働契約の締結、更新及び雇い止めに関する基準』(発行−厚生労働省・都道府県労働局・労働基準監督署)がたいへん役に立った。とりわけ、「契約の締結時にその契約の更新の有無を明示しなければならず」、その明示は、「自動更新」「更新する場合あり」「更新しない」などであり、更新の回数を云々することはおかしいこと。また、「更新する」とした場合には、必ず、「更新する場合又はしない場合の判断の基準を明示しなければならない」こと。

などが力になったと思います。
 
 交渉の主なやりとりは次のとおりです。

≪組合側の要求≫
◆非常勤職員の削減反対・・・事務職員の多くが超過勤務、毎日8時、9時まで。1ヶ月平均12時間の超勤手当てしか出ていない。38-40時間はサービス残業。もし非常勤職員が削減されたら、常勤がフォロー。残業が増加すること必至。
◆3年で雇い止めする慣例の廃止・・・3年で人がかわるたびに、必ず初期低下(交代時の効率低下)が起こる。初期低下をわかりながら、なぜ3年でかえるのか。付小用務員(非常勤)の仕事は、指示待ちではダメ。「自分で気がつく」ための観点をしっかり持っておかなければならない。定形的な仕事もあれば、その都度考えて行う仕事もある。事前に予測して、抜かりなく準備しておくことも求められる。また、事故が起きてから対処するのではなく、事故が起きないようにすることも大事。ガラスが割れるような遊びをしていないか、壊れかけている所はないか、との視点で子どもたちの暮らしや校舎を見ている。雇い止め廃止全学署名も、現在すでに224筆。
◆休暇制度などの改善・・・夏期休暇、忌引き、病気休暇などを設けること。

≪どうして廃止できないのか?≫
【大学】 この問題は、現在、未着手、未検討であり、最善に近いものをまだ協議、決定できていない。移行にあたっては、非常勤職員についても不利益変更はしない。現行どおりの仕組み(3年雇い止めを含む)を、まずは引継ぐ。そして、16年度の早い時期に検討するつもり。その場合、パートタイム労働法、同指針を視野に入れた検討を行うことは必要と考えている。
【組合】 本学にとって不利益が生じている実態がある。法人化を機に、一度リセットすることができないのか。
【大学】 単純リセットはできない。人件費削減の対応はいろいろあるが、継続雇用の人が増える中で責任のある人員管理ができるのか。
【組合】 それを言うなら、「契約を継続する場合もあり得る」という表現にして、継続しない場合の条件を明らかにしていく方が有益ではないか、モラルも高まるのではないか。非常勤の人たちは、得難い存在。皆、その職場になじんで、いいものにしていこうとしてやってきている。それを形式的に、非常勤だからと切るのは残念なこと。

≪これまでの雇い止めの根拠は?≫
【組合】 これまでは、どういう根拠で?
【大学】 慣例である。去年までは1年を超える期間での契約はダメ。その中で、1年契約を更新2回までは継続雇用と判断されないということが大きい大学から伝わってきて、本学にも。「更新2回まで」は、許されることと理解してきた。
【組合】 奈良教育大学の慣例か、国の慣例か?他大学では、30時間については3年で切っていない人もいる。
【大学】 この大学の慣例である。
【組合】 岡山地裁で公務員についても違法だという判断も出た。裁判になったら負けるかも知れない、と、以前大学側も言っていた。大学という場において、そうした内容を「慣例」の名で押し通すことは、真理真実に背かないのか。
【大学】 すっきりした慣例ではない。
【組合】 皆でがんばらなければいけない局面なのに、なぜ効率を悪くするのか。いい人はヘッドハンティングしてでも雇ったらよい。また、非常勤でいい仕事をしてくれる人は、常勤として採用してもよい。いい人はなるべくとっていくことで経営効率が上がる。これからシステムを変えることもできるし、そこが経営手腕が問われる。3年は慣例、噂が伝わってきたからそうやったでは???みんなでがんばらねばならないときになぜ効率の悪いところにすすむのか。「更新可能」として動き出したらよいではないか。人件費のシュミレーションを全部出した上でならわかるが、ダメだという根拠がない。

≪今後のこと=雇い止めにする理由の明記は?≫
【組合】 雇用契約や就業規則は、これからはどうするのか?
【大学】 「1年雇用で、それを2回以内更新する。」と明記する方向である。
【組合】 回数を決めることは違法ではないか?
【大学】 こちらも専門家に訊いている。
【組合】 更新をしない理由を契約書や就業規則に明記することが法律で決められている。どのような文章にするのか?そもそも、大学にとって不利益なことが文章にできるのか?
【大学】 ・・・まだ考えていない。
【組合】 「2回までは更新するが、3回目はしない」というやり方についての合法的な「理由」は、見つからないのではないか。こちらも労働局などに事実を正しく伝えるつもりである。

≪現時点での妥結、譲歩は?≫
【大学】 意見は出尽くした。この案件はこのあたりで。
【組合】 この案件は重たい問題。全教職員で大学を支えている。その中に非常勤は入っていないと認識しているのか?
【大学】 非常勤職員さんの働きは理解している。
【組合】 われわれは、今後、労使協定を結ばなければならない間柄。同じ考えを共有することが大事。労使協定を棒に振ってでも3年は譲れない、というのが理解できない。
【組合】 大学側での議論が熟していないのなら、移行にあたっては、
@2004年3月末までに雇用期限が切れない者は全員承継する。
A2004年度中に期限が切れる者については、まずは2004年度末まで延長する。(ただし、法人化準備のために臨時に雇用されている者は、、、?)
B2004年3月末で期限が切れる者については、そのポストが残る場合は、4月からも最低1年間は雇用する。
C2004年度の早い時期に今後のこと(非常勤職員雇用の最善の在り方)を検討する。
【大学】 @以外は、今すぐには回答できない。検討する時間がほしい。近日中に再度話し合いたい。

≪18日の第2ラウンドでの回答≫
【大学】 次の内容を非常勤職員就業規則に明記する。
◆3年で雇い止めする慣例は廃止する。
◆事務職・技官は定年を60歳とし、用務員は63歳とする。(その誕生日以後の年度末)
◆特例として、すでに雇用されている用務員の定年は65歳とする。
◆夏期休暇などを前向きに検討する。
【組合】 誠実に検討いただいたと思う。回答を受け入れる。

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山室光生 yamamuro@nara-edu.ac.jp
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