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新首都圏ネットワーク


『岩手日報』2004年2月8日付

県立大学長 西澤氏が来春退任


 県立大初代学長の西澤潤一氏(77)が来年3月末に学長任期を1年残して
退任することが7日分かった。東京都が都立の4大学を統合し、来年4月に開
設する「首都大学東京」の初代学長に就任することが同日までに固まった。電
子工学の世界的権威で実績、知名度を備えた西澤氏が離れることになり、法人
化など多くの課題を抱える県立大に大きな影響を与えそうだ。

 西澤氏は1998年4月の県立大開学時に学長に就任。2002年に再任さ
れ、2期目の任期は06年3月まで。

 西澤氏は、屋外の電光表示に使われる発光ダイオードや静電誘導トランジス
タなどを発明した電子工学の第一人者。東北大教授を経て、90年から東北大
総長を2期6年務めた。

 県立大には、東北大総長当時から基本構想検討委員会や開設準備委員会の委
員として、構想段階から中心人物として深く関わってきた。

 「人間性を培う教養教育」や「地域に根ざした実学実践」といった教育研究
の理念を掲げ、県立大の立ち上げから草創期の基盤づくりに力を発揮してきた。

 昨年11月には、県立大アクション・プランをまとめ、少子化の中で生き残
りをかけた大学改革の道筋を付けた。05年度に予定している公立大法人化に
向け、準備作業を本格化させていた。

 9月に東京都の新大学設立のための教学準備委員会の座長に就任。新大学の
構成や教育内容、入試などの検討に携わっていた。

地元のために退任まで全力

西澤潤一県立大学長の話 岩手に不平や不満があるわけではなく、気持ちよく
過ごさせてもらった。(教育だけでなく研究を進める上で)難しい問題があり、
岩手にいるといろいろとご迷惑が掛かるので移ろうと考えた。公立大の役割は
地元の役に立つこと。(退任まで県立大の)あるべき姿を目指して頑張りたい。

先生には熱意がある

増田知事の話 一昨年から話があり、何度かお会いして話し合った。2期8年
を一つの区切りに、ぜひこちら(県立大)で頑張っていただきたいと思ったが、
西澤先生は熱意を持っておられ、やるならばスタートの時期からがいいと判断
して昨年暮れまでに内諾した。準備段階から携わっていただいた県立大では、
基礎固めをしっかり務めてもらい感謝に堪えない。日本の大学全体のためには
いいことだと思う。