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新首都圏ネットワーク

就業規則に見る勤務時間・休憩に関する問題

各位       2/6/04

       山形大学職員組合書記長 品川敦紀

ようやく多くの大学で就業規則本則が明らかにされつつあります。
今回は,各就業規則に規定されている勤務時間と休憩時間について,若干述べさせていた
だきます。
(なお,先般,山形大就業規則の管理職手当に夜勤手当を含むとした規定が労基法違反だ
と紹介しましたが,その規定は,修正の手続きの中で削除されました。)

山形大学職員就業規則をはじめとして,多くの大学就業規則(下記参照)で,まるで判で
押したように,勤務時間は,1日8時間,週40時間,始業8時30分,終業5時15分
,休憩午後0時15分から午後1時の45分となっています。ただし,大学によっては,
この他に12時から12時15分の15分間を,休息時間を勤務時間においている大学も
見られます。

この勤務時間,休憩時間の設定には,二つの問題が含まれれています。

第1は,労働時間の実質的延長の問題です。
 これまでは,8時間勤務,30分休憩とはいえ,休息時間が勤務時間の一部として30
分与えられ,厳密な定義でいえば,休憩と休息は異なりますが,実態は,事実上7時間3
0分の勤務時間に対して1時間の休憩であったといえます。実際,昼休みの1時間が,実
は,30分の休憩と30分の休息だということは,ほとんどの教職員は知らなかったので
はないかと思います。
 今回の法人化に当たっての各大学終業規則案を見ると,そうした実態に目をつむり,法
律上の数字だけでつじつま合わせをしているようで,実態からすれば,30分の勤務時間
延長になっているといえます。あきらかに,労働条件の一方的切り下げといわざるを得ま
せん。
 この点で,以下に紹介している独立行政法人国立健康・栄養研究所就業規則は,厳密に
言うと労基法に抵触する恐れもなく七位ですが,この問題の一つの解決策として参考にな
るかと思います。同規則では,勤務時間は8時間とするものの,そのうちの30分を含め
て休憩時間として1時間付与する措置をとっているようです。

第2の問題は,時間外労働と休憩に関する問題です。
 下記のような,45分休憩8時間勤務の形態をとる場合,労基法により,8時間を超え
る労働をさせようとすれば,1時間の休憩を与えなければならないので,当然ながら終業
時刻である17時15分から,休憩時間の不足分である15分間の休憩を,まず与えなけ
ればならないことになります。
 たとえば,教授会が17時15分で終了しなかった場合,まず15分休憩をしてから,
再開をしなければなりません。あと5分で終わるようであってもそのまま続行すれば直ち
に労基法違反となるわけです。こんな馬鹿げた話はありません。
 こうした問題をクリアするには,やはり休憩を1時間与え,勤務時間はきっぱり7時間
30分とすべきだと思います。

<参考 各大学就業規則に見る勤務時間,休憩時間>

勤務時間 休憩
北見工業大 8時30分〜17時15分 12時15分〜13時
山形大学 8時30分〜17時15分 12時15分〜13時
東京大学 8時30分〜17時15分 12時15分〜13時
茨城大学 8時30分〜17時15分 12時15分〜13時
新潟大学 8時30分〜17時15分 12時15分〜13時
富山大学 8時30分〜17時15分 12時〜12時45分
京都工繊大 8時30分〜17時15分 12時15分〜13時
九州大学 8時30分〜17時15分 12時15分〜13時
熊本大学 8時30分〜17時15分 12時15分〜13時

<参考 独立行政法人国立健康・栄養研究所職員就業規則>

(勤務時間)
第16条職員の勤務時間は、午前9時から午後5時30分までとする。
(休憩時間)
第17条休憩時間は、午後0時から午後1時までとする。
2 前項の休憩時間のうち、午後0時30分から午後1時までの30分は正規の勤務時間
に含まれ、これに対しては給与を支給する。