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新首都圏ネットワーク

非常勤の雇い止めについて


 非常勤職員の3年打ち切りについて、秋田の監督官の方に、「 こちらの就業規則案で
は、非常勤は1年ごとに契約し、3年で打ちきりとなっています。これを、2年ごとや3
年ごとの契約で、最長6年や9年にすることは可能でしょうか。」とたずねたところ、以
下のような回答がメールでありましたので、紹介します。


    有期契約は、本来、臨時の必要のため締結されるべきもので、更新を予定す
るというのはおかしな話です。むろん、現実には、有期契約を反復更新する例が多々
(と言うよりは一般的とまで言えます。)ありますが。
    法改正で、有期契約の期間の上限は、原則3年、医師等5年となりました。
    上限以下なら期間の長さは自由に決められますので、1年や2年の契約も可
能ですが、3年必要なら3年契約を結べば良いのであって、1年契約を2回更新する
契約の意味はありません(同じ法改正で、有期契約であっても1年経過後は労働者は
自由に退職可能になりました。)。 「1年契約、3年で打ち切り」というやり方
は、使用者にとってはハイリスク(雇い止めの争いで、負ける可能性が高い。)なも
ので、わたしが使用者なら喜んで「3年契約、更新無し」にします。(今回の法改正
における経営側の目論見は、まさしくこれでしょう。)
    また、上限が3年の場合、例えば2年契約を1回だけ更新するという契約
は、実質的に4年契約と変わらず、脱法行為と言えると思います。当局から相談があ
れば、脱法的だからやめろと回答するでしょう。
    「(予定外に)更新することがある」のは仕方がないにしても、更新回数を
予定するというのは問題が多く、不適当です。 (「60歳定年後、1年契約で65
歳まで再雇用する」という、更新回数を予定する就業規則はありますが、これには高
齢者の雇用確保という大義名分(社会的、政策的な要請)があります。) 
    雇用保障という意味では労働者の利益(少なくとも現状よりは有利)になり
そうですが、使用者が一方的に回数制限をしてきたと言うのであればまだしも、従事
すべき業務の終期が予定されないようなものについて、更新回数を制限するような提
案(合意)を労働者側がわざわざすべきではないと思います。(期間の定めのない契
約あるいは有期契約であっても事実上の終身雇用、を要求するのであればわかります
が、雇用期間を6年や9年にするというのは、組合の要求としてはおかしいのでは。
 3年よりは6年、9年の雇用が保障されれば確かに前進ですから、「終身雇用を要
求しているが、とりあえず当面の扱いとして譲歩した」、なら筋は通るか? ただ、
脱法的ですから、当局が受け入れたとしてもあまり表沙汰にはできないし、例えば6
年経過して雇い止めを争う労働者が現れた場合、組合の対応が難しいと思いますがい
かがでしょうか。)
    


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佐藤修司(Shuji SATO)
秋田大学教育文化学部
010-8502
秋田市手形学園町1-1
ssato@ipc.akita-u.ac.jp
TEL/FAX 018-889-2541
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