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新首都圏ネットワーク


『科学新聞』2004年1月16日付

国大法人等運営費交付金 競争原理導入へ


 国立大学法人や国立大学共同利用機関法人の運営費交付金の算定ルールが明
らかになってきた。6日から始まった国立大学協会の各地区ブロック会議や大
学共同利用機関所長会議などで、具体的な内容の説明が行われた。効率化係数
は一般管理費など一部の種目のみにとどまり、増額ルールも設定されるなど、
心配されていた国立大学法人の運営が危機的状況になることはなさそうだ。
 
算定ルート明らかに
効率化係数 一般管理費等、一部のみ

 各大学の運営費交付金は、学部教育等標準運営費交付金、特定運営費交付金、
附属病院運営費交付金で構成される。それぞれの1部に効率化係数はかけられ
ることになるが、現在の財務省との折衝状況では、職員給与や事務費などの一
般管理費には3%、教育研究に必要な経費には1%の効率化係数がかけられる
ことになるものの、基幹教員の人件費などは除かれることになっている。

 また、新たに運営費交付金の増額ルール「特別教育研究経費」が盛り込まれ
ることになった。教育研究施設や附置研究所の附属センターの新設(人件費相
当額を含む事業費で複数年にわたる支援も可能)、教育・学術研究の進展等に
対応した各大学のプロジェクト経費(教育システム支援事業、先端的基礎研究
事業、拠点型共同利用研究促進事業など)、学部・大学院・附置研等の教育研
究環境の充実・高度化経費(実験実習用設備、先端研究用設備等)、各大学の
研究教育環境の充実を図るための経費(競争的資金の獲得や地域社会貢献状況
等に応じて措置)などが含まれる。

 さらに、人材養成に対応した学部・研究科の増設などについては、必要な事
業費を運営費交付金を算定する際の教育研究組織係数を使って増額するため、
特殊な研究プロジェクトなどを行っていなくとも運営費交付金を増やすことが
可能だ。

 16年度予算案では国立大学法人の事業規模は2兆2,341億6,000万円になる。
そのうち運営費交付金は1兆1,511億7,000万円、施設整備補助金が558億500万
円、施設費貸付事業収入が618億円、財務・経営センター交付金が100億円で、
その他が自己収入となっている。現在のところ、効率化係数によって毎年減ら
される分は60億から百億円程度になりそうだが、増額ルールの新設によって全
体としては同程度の予算は確保できそうだ。

 全体を切りつめながら、活発に活動している大学の運営費交付金は増やして
いくという競争的な環境が整えられることで、過去の護送船団方式が終えんを
迎えることになる。