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新首都圏ネットワーク

【都立四大学助手共同声明】
http://www.geocities.co.jp/CollegeLife-Lounge/5201/4seimei.html

東京都と大学管理本部の推進する「新大学構想」に抗議します

 2003年8月1日の記者会見で、東京都知事は、都立四大学を廃止して新
大学を設立する「新大学構想」を発表しました。その内容は、都立四大学統合
に向けて7月31日まで進められてきた大学改革案を完全に覆すものでしたが、
それにもかかわらず、大学側には会見の直前に通告しただけで、双方の協議は
一切ありませんでした。これによって、文部科学省への認可申請に向けて九分
通りできあがっていた大学改革案は,全面的に否定されてしまいました。しか
し、代案として一方的に公表された「新大学構想」は、十分な検討を経て作ら
れてはおらず、研究と教育の質の低下を招く危険性の高いものです。このこと
は、文部科学省と認可申請に向けた協議を進める段階になってなお、「新大学
構想」の看板である「都市教養学部」のうちの2コースに関する教育理念の構
築について、大学とは社会の中で果たす役割も目指すものも全く異なる予備校
に「業務委託」するという行為が象徴的に示しています。

 大学管理本部は、大学改革に関する大学側の真摯な呼びかけや、学生、都民
からの質問・抗議を無視し、独断的に改革を押し進めています。私たち、東京
都立大学工学研究科助手会・理学研究科助手会・文系助手会、東京都立科学技
術大学助手有志、東京都立保健科学大学助手有志、東京都立短期大学助手有志
は、大学教員の一員としてこのような大学管理本部の姿勢に抗議すると同時に、
これまでの改革を巡る議論の中で殆ど検討されていない、新大学に於ける助手
のあり方について、ここに意見を表明する次第です。

 大学における助手の存在は、学校教育法第58条に定められたものであり、そ
の意義は、研究者養成、学生教育、資格職者養成のための実践的実習指導、先
端的研究の推進など、多岐にわたっています。とくに学生の教育に助手が果た
す役割は非常に大きく、今後の助手のあり方は、新大学が都民に提供する教育
の質、水準に関わる重要な問題であると言えるでしょう。よって、この問題に
ついて大学の構成員と開かれた議論を持つことは、大学設置者として教育条件
整備の責務を負った大学管理本部の当然の義務ではないでしょうか。

 しかしながら、再三の私たちの呼びかけにもかかわらず、対話と協議を拒絶
した大学管理本部のこれまでの助手問題に関する対応は、私たち助手に対して
も、都民に対しても不誠実であると言わざるを得ません。なかでも管理本部資
料「新大学の教員の人事・給与制度(任期制・年俸制)の概要について」によっ
て示された管理本部案は、私たちのこれまでの質問書に対する回答になってい
ないどころか、きちんとした調査や開かれた議論を持つことなく作成されたた
めに、研究・教育の実質に対する理解を全く欠いたものであり、これに則った
大学運営は事実上不可能です。新大学の将来を担うものとして、私たち助手は
こうした事態を大変憂慮しています。

 そこで、人事・給与制度を含めて、「新大学構想」の中身を今一度見直し、
あらためて私たち助手を含む四大学の構成員に対し詳細な調査と開かれた議論
を行った上で、実現可能な大学改革案を作成するよう、東京都と大学管理本部
にお願い致します。

 なお、今後も私たち助手は大学、学部、専攻を越えて連携し、この大学改革
が生み出している諸問題に対処し、真の意味で都民、学生、研究者が誇れる総
合大学の構築を目指して邁進する所存です。

2004年1月15日 
東京都立大学工学研究科助手会 
東京都立大学理学研究科助手会 
東京都立大学文系助手会 
東京都立科学技術大学助手有志 
東京都立保健科学大学助手有志 
東京都立短期大学助手有志 
計 134 名