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新首都圏ネットワーク

過半数代表選出と労使協定に関して

各位        1/6/04

     山形大学職員組合書記長 品川敦紀

新年あけましておめでとうございます。今年も、よろしくお願いいたします。

さて、現在、多くの大学で、組合がまだ労働者の過半数を組織していないため、別途、過
半数代表者を選出する準備がなされているようです。そうして選ばれた過半数代表者は、
まず、就業規則作成における意見聴取の対象となることを予定しているものと思いますが
、36協定、24協定などの労使協定の締結対象にもなろうかと思います。

そこで、いくつか気になっている点をご紹介いたします。

<過半数代表者の選出は、対象条項の明示・列挙を>

労基法、同施行規則の規程などによれば、事業場に過半数の労働者を組織する組合がない
場合、いわゆる過半数代表者を選出して、sの代表者を対象として就業規則への意見聴取
を行ったり、労使協定を締結したりしなければなりません。

そこで、注意しなければならないのは、選出しようとしている代表者が、何を対象として
いるのかということを明確にしておかなければならないことです。過半数代表者を選出す
る場合、就業規則への意見提出なのか、どの労使協定締結なのか、育児介護休業法の適用
除外なのか、いちいち対象とするものを全て明らかにしておかなければなりません。選出
時点で対象として明示していなかった協定は締結する資格がありません。

このことは、注意してみておく必要がありそうです。

<全ての労使協定に有効期限を>

皆様ご承知のように、同じ労使協定といいましても、36協定(法定外労働)のように、
事業場ごとに選出された過半数代表者との間で、最長1年の有効期限をつけて締結し、所
轄の労基署に提出しなければならない協定、32協定(1週間単位の変形労働)のように
、過半数代表者との協定書の締結と労基署への提出は必要だが、有効期限の定めを必要と
しない協定、また、24協定(賃金からの控除)のように、協定の締結だけで労基署への
提出を必要としない協定、の3種類があります。

有効期限の設定を必要としない協定に関しては、通常、有効期限無しで締結されているよ
うです。ところが、そこで問題になることがあります。

仮に、2004年4月1日のAさんという方が、過半数代表者となって有効期限無しで2
4協定や、32協定を結んだとしましょう。この場合、後になって、これらの24協定や
32協定は不必要と、労働者の過半数が思うようになったとき、Aさんがすでに退職して
いて職場にいなかったり、管理職になっていたり、その他の理由で締結書の取り消しを申
し出ない状況のとき、永遠に協定が有効となりかねません。

不思議には思いますが、Aさん以外のものが、Aさんとしよう者が結んだ協定を取り消すこ
とが出来るかどうかについては、確立した見解がないそうです。

また、24協定の締結と引き替えに、組合費のチェックオフを使用者に認めさせる労働協
約を結んだとしましょう。このとき、24協定が有効期限無しの場合、労働協約は必ず3
年を上限とする有効期限が必要ですから、ある時点で、使用者側が組合費チェックオフに
関する労働協約の更新拒否をしてきた場合、組合としては対抗手段が無いことになります


そういっう意味で、全ての労使協定に有効期限を付けておくことが是非必要に思われます


<過半数代表者資格の有効期限は、1回の労使協定締結のみ>

一部の大学での過半数代表者の選出規程を拝見しますと、中に、任期が1年を越える設定
になっているものがあるようです。しかし、有効期限の設定が必要とされる協定は、厚生
労働省の指導によって最長1年とされています。そして、過半数代表者は、協定の締結の
時点での事業場の労働者の過半数の意志を反映しなければならないので、1年ごとに選出
し直されなければなりません。同じ労働者が選出されても構いませんが、選挙は労使協定
を締結し直す1年ごとに行わなければなりません。

したがって、当然ながら1年を越えての任期を付けるということは、1回の選挙で2回労
使協定を締結することになり、労基法上許されないと言うことになります。

<過半数代表者は、使用者作成の規程によらなくても良い>

職場に過半数の労働者を組織する組合がない場合、過半数代表者を選出しなければならな
いことが労基法で規定されています。そして、その際、選出の方法として、使用者による
指名や親睦会などの代表の自動的指名などではなく、挙手や選挙によって民主的に行われ
なければならないこと、選出されるものは管理監督的立場にない労働者であること、を規
定しています。

逆に言いますと、上記の制限を満足する限り、誰が、どういう手続きで過半数代表者を選
出するのかについては、自由であるということです。

したがって、仮に、使用者が一方的に過半数代表者の選出規程を作ったとしても、それに
は拘束されず、組合が中心となって自主的に選挙管理委員会あるいは選出委員会などを作
って、全労働者を対象にして民主的手続きによって過半数から支持・信任を受けられれば
、その労働者が過半数代表者としての資格を持つと言うことです。

ただし、仮に、労使が別々に選挙を行って別の過半数代表者を選出した場合は、どちらが
その権限を有するかに付いては、よくわかりません。一般的には、より後、すなわち労使
協定締結により近い時点で選出されたものが代表者としての権限を有すると考えるべきだ
と思いますが。