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  新首都圏ネットワーク


「石原流」に教員ら反発 都立の新大学設立構想


共同通信ニュース速報

 東京都立四大学を統合再編し二○○五年四月に新大学を開校する
構想に、都立大の教員、学生らが反発している。「石原流トップダ
ウン」ともいえる進め方への不満が一因で、来春開設予定の都立大
法科大学院の試験が教授ら四人の「抗議」の辞表提出で延期を余儀
なくされる事態も。石原慎太郎知事が公約にした「日本にないまっ
たく新しい大学」づくりに、キャンパスは揺れている。
 「知事は大学を解体しようとしている」「大学と名前は付いても
大学ではない」。辞表を提出した法学部教授らが十七日、約五百人
の学生、同僚を前に新大学への不信感をあらわにした。一人は都の
審議会委員などをしばしば務め「都庁寄り」との見方もされていた
という教授。同僚の一人は「あの先生ですら辞めざるをえないほど
問題は深刻なんだ」と話した。
 新大学の設立計画は、四大学の学長らを中心に具体化が進められ
ていたが「改革より現状維持の方向に流れていた」(大学管理本部
)として知事の意向で外部の有識者らが別の案を検討。八月、「都
市教養」「都市環境」など学際的な学部創設や教員の任期制導入な
どそれまでの計画を一新した構想を知事が発表した。
 これが「大学自治の侵害」と受け止められた。茂木俊彦都立大総
長が十月「トップダウンで強行している」と声明を発表したのをは
じめ学生や教職員からも抗議や撤回申し入れが相次いだ。当初は文
科系の一部の動きとみられたが、今月二十六日には理科系の教授ら
が「もう黙っていられない」と構想の見直しを求める声明を発表す
るなど広がる気配も見せている。
 都は新大学のカリキュラムづくりを急ぐが、一部教員の協力が得
られず作業は遅れ気味だという。大手予備校河合塾に資料収集を外
注したことが「受験産業に任せるのか」とさらに不評を買うなど“
悪循環”が続く一方、学内では他大学へ移る教員のうわさが複数の
学部で出ているという。
 「自分のやりたい研究の先生がいるので都立大に来た」という人
文科学研究科博士課程の女子大学院生は「教官がいなくなればこれ
までの研究は一からやり直さなければならない。大学管理本部から
直接説明を聞きたいのに『分からない』ばかり」と不満を漏らす。
 こうした事態に知事は「象牙の塔にこもっている人は発想力がな
い」「批判的な人たちの主張は現状の温存でしかない」と発言。「
年明けに発表する具体案は学生、受験生、その父兄に強い共感を持
っていただける」と自信をのぞかせている。
(了)
[2003-12-29-17:58]