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新首都圏ネットワーク


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Academia e-Network Letter No 45 (2003.12.25 Thur)
http://letter.ac-net.org/03/12/25-45.php
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元防衛庁教育訓練局長・新潟県加茂市長 小池清彦氏の警告【4-2】

自衛隊は内閣総理大臣が命令すればどこへでも行きます。
シビリアンコントロールをいいことに、「イラクへ行って
命を落とせ」などとやっていると、シビリアンコントロー
ルに対する信頼が失われます。やがてシビリアンコントロー
ルの根幹が崩れ、武力集団を統括することができなくなり
ます。今、二十四万自衛隊の中に、小泉総理に対する不満
が浸透しています。ほとんどの自衛隊員が小泉総理を信頼
していません。これは大変危険なことです。


鬼界彰夫氏から日本社会と大学界への警告【1】

  このように学問の自由の破壊は常に学者に対する知的屈辱
の強制という形をとって現れます。そして今回都によるそ
うした学問の自由の破壊を象徴するのが予備校への理念委
託です。12月12日の東京都文教委員会で明らかになったよ
うに、都は再編される都立大の主要部分となる「都市教養
学部」の理念設計を予備校の河合塾に3千万円で委託しま
した。大学で研究にたずさわる学者に対する知的屈辱とし
てこれより大きなものを想像するのは困難でしょう。明ら
かに石原都知事は都立大の学者に対して、プライドと学問
的良心を捨てて自らの前にひざまづくことを要求していま
す。そして都立大における学問の自由の破壊を日本の社会
と学者が容認するということは、早晩同様の運命が日本の
大学全体を襲うことだといってもよいでしょう。


━┫AcNet Letter 45 目次┣━━━━━━━━━ 2003.12.25 ━━━━

【1】鬼界彰夫氏:抗議辞職の都立大4教授支持声明
「すべての大学人は都立大法学部四教授の行動を断固支持し、
学問の自由を守る意志表示をしよう!」
http://www.ac-net.org/dgh/blog/archives/000403.html

 【1-1】『東京新聞』2003年12月24日付 特報
『新大学構想』 対立の構図
http://www.shutoken-net.jp/web031224_6tokyo.html

 【1-2】日本文学協会声明(「日本文学」12月号)
文学研究、文学教育の場を守るために、東京都立大学の「改革」に反対する
http://www.ac-net.org/dgh/blog/archives/000398.html

 【1-3】日本史研究会:都立四大学の統廃合について民主的改革と
教育環境の保障を要望する声明2003.12.1、
http://www.ac-net.org/dgh/blog/archives/000397.html

【2】朝日新聞 2003.12.22 私の視点
阿部泰隆氏(神戸大学大学院法学研究科教授)
「教員任期制 大学研究の活性化は疑問」

【3】櫻井よしこ 新世紀の風をおこすオピニオン縦横無尽
「国会決議を反古にする国立大学への予算削減案審議自体に根源的矛盾あり」
週刊ダイヤモンド2003年11月29日号
http://www.shutoken-net.jp/web031224_5diamond.html

【4】ac-net/dgh/blog より

 【4-1】山梨日日新聞2003.12.24 教基法改正反対に4000人 
組合の枠超え市民集会 教基法改正反対市民集会12/23に4000人が参加
  http://www.ac-net.org/dgh/blog/archives/000401.html

 【4-2】元防衛庁教育訓練局長の警告
「シビリアンコントロールに対する信頼が失われます」
小池 清彦氏(元防衛庁教育訓練局長・新潟県加茂市長)
  http://www.ac-net.org/dgh/blog/archives/000400.html

 【4-3】中国から日本への留学を事実上禁止する規制強化
  http://www.ac-net.org/dgh/blog/archives/000399.html

 【4-4】山口二郎氏「イラクへの自衛隊派遣に反対する」
山陽新聞 20.12.7
http://www.juris.hokudai.ac.jp/~jyam/library/sonotashinbun/sanyo2003-12.html

【5】総合規制改革会議「国立大学法人の民営化スケージュールの策定」
平成15年12月22日
http://www8.cao.go.jp/kisei/siryo/031222/2-05.pdf
抜粋:http://www.ac-net.org/dgh/blog/archives/000391.html

 【5-1】国立大学協会の対応:
  国立大学協会 第18回国立大学法人化特別委員会2003.10.23 議事概要
  http://www.kokudaikyo.gr.jp/katsudo/txt_houjin/h15_10_23.txt

 【5-2】文部科学省の対応:
  規制改革会議「教育委員会の必置規制の廃止について」
  構造改革特区・官製市場改革WG 第8回議事次第2003.11.25
  http://www8.cao.go.jp/kisei/giji/03/wg/tokku/05/sidai.html 

#(10/23 に国立大学協会に対し文部科学省は「同ワーキング
グループのヒアリングを受けるが、文部科学省としては法人化
は民営化へのステップではなく新しい「国立大学法人」像によ
る改革を進めていることを主張したい。」と説明している
【5-1】。しかし、11/25 のヒアリング(これ以外には公式な
ものはない)の記録には、「教育委員会の必置規制の廃止につ
いて」に対する反論だけで、国立大学法人の民営化については
言及がない。文部科学省にとって、国立大学法人の民営化問題
は、教育委員会廃止問題に比べればそれほど重要なものではな
い、ということであろうか。あるいは、もはや防戦できないと
認識したのであろうか。)

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━ AcNet Letter 45 【1】━━━━━━━━━━ 2003.12.25 ━━━━━━
意見広告の会ニュース No 76(2003.12.24) より転載

鬼界彰夫氏:抗議辞職の都立大4教授支持声明
http://ac-net.org/dgh/blog/archives/000403.html

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すべての大学人は都立大法学部四教授の行動を断固支持し、
学問の自由を守る意志表示をしよう!

2003年12月23日
筑波大学 鬼界彰夫

 日本全国の大学で教育・研究にたずさわるすべての皆さん。石原
都知事が強引に進めつつある都立大学の再編計画に抗議して四名の
法学部教授が辞職されたことはすでにご承知だと思います。私もこ
の「事件」には強い関心を持って注目していましたが、新聞報道で
伝えられる辞職理由が「トップダウンに抗議して」とか「健康上の
理由」といった曖昧なものだったため、事態の真の意味を完全には
理解しかね静観していました。しかし12月17日都立大で開かれ
た説明会の模様の報道を通じ、四教授の行動が学問の自由を守るた
めの勇気ある行動であることを知り、彼らの行動を今断固として支
持し、いかなる形においても彼らを社会的に孤立させてはならない
と考えこのメールを皆さんに書いています。御一読頂き、それぞれ
の方が、学問の自由を守ることが自分の学者しての命を守ることで
あり、四教授の行動を支持することがそのために極めて重要である
ことを認識頂ければ幸いです。



<我々はなぜ学問の自由を守らなければならないのか>

 大学人に対して学問の自由の必要性を改めて説くのは、文字通り
「釈迦に説法」のそしりを免れないことは十分に承知しています。
しかしながらかつての「遠山プラン」に象徴される「社会のニーズ」
という名のもとに為されてきた「大学批判」に対する大学人の時に
は迎合的な対応や、国立大学法人法に対する傍観者的態度は、大学
は学問の自由を売り渡しても生き延びようとしているのではないか
という疑いを起こさせるのに十分なものであり、それが典型的なポ
ピュリストである石原都知事の今回の強引な試みを誘発する遠因と
なったと考えられるため、学問の自由の意味を再確認したいと思い
ます。

 ある社会が学問の自由を尊ぶとは、その社会が真理(事実)を自
体的価値として尊重し、他のいかなる重要な価値にも従属させない
ということです。他の重要な価値とは、「正義」、「階級」、「民
族」、「宗教」、「民主主義」、「国民の福祉」、「社会のニーズ」
等様々です。それらは当の社会が「是」として合意している建前で
あり、看板です。社会が学問の自由を尊ぶとは、ある問題に関する
事実が仮に社会的是にとって一時的な後退を意味するものであって
も、それを事実として認めようということであり、それを事実とし
て探求し、公開する人々の活動を社会全体で支援しようということ
です。いかなる問題に関しても、「本当の所はどうなのか」という
ことを決してないがしろにしないということです。「都合のよい事
実」を決して捏造しない、許さないということです。逆に学問の自
由を抑圧するとは、様々な大義のために、「都合の悪い事実」の公
開や探求を禁じたり、妨害したり、あるいは「都合のよい事実」の
捏造を強制したり誘引したりすることです。従って学問の自由は決
してファシズムによってのみ踏みにじられるのではなく、「社会の
ニーズ」や「国民の福祉」に対する自発的迎合や追従によっても踏
みにじられるものです。


<学問の自由は知の専門家である学者の集団としての学問共同体の
 自律的活動と評価によってのみ可能である>

 社会があらゆる判断の根底に真理を置き、「本当のところはどう
なのか」を可能な限り追求しようとすれば、学者が探求を職業的に
行う場としての大学と、ある事柄に関する真理が何なのかを判断す
る場としての学問共同体(学会)がどうしても必要です。例えば、
ある歴史的事件の真相が何であるのかを知るためには、原資料への
アクセス、それを分析する能力、そうした活動を支える時間と資金
が必要ですが、そうしたことは大学という探求の場を与えられた専
門家としての歴史家にのみ可能であり、その問題に関して対立する
様々な見解が存在する場合には、専門家集団の相互討議の場として
の学会においてのみ最善の結論に達することが出来ます。そして本
質的に発見的な学術活動はあくまでも学者個人の自発性に基づいて
のみ可能であるため、大学で研究する学者の活動は当人の学問的関
心、学問的価値観、学問的良心に基づいてのみ可能となります。言
い換えるなら学者が自分で興味深く価値あると考える研究テーマを
誰の評価も気にすることなく選び、自分の能力と良心にのみ基づき
自分が最も真理に近いと考える結論をその根拠とともに社会に公表
する、ことによってのみ可能です。他方、他の社会的に重要な価値
のために学問の自由を破壊する最も典型的な手段とは、その価値を
代弁する非専門家が社会を扇動し、学者の活動と判断を自らの支配
下に置くことです。戦前の滝川事件、ソヴィエト・ロシアでのルイ
センコ事件、そして中国の文化大革命、いずれにおいてもこの同じ
手段が用いられています。そして今回の東京都の都立大再編計画も、
本質的には社会をバックにしたかのような非専門家が「魅力ある大
都市Tokyo」という(おそらく石原都知事以外の人間には)大して
重要でも現実性もない価値に学者を従属させることにより学問の自
由を破壊しようとする行動です。


<石原都知事と東京都大学管理本部はどのようにして学問の自由を
 破壊しようとしているのか>

 2003年8月1日に発表された東京都大学管理本部の報道資料
「都立の新しい大学の構想について」第二項は次のように述べてい
ます。

「新しい大学は、大都市における人間社会の理想像を追及すること
を使命として、特に次の3点をキーワードに、大都市の現場に立脚
した教育研究に取り組みます。

1) 都市環境の向上

2) ダイナミックな産業構造を持つ高度な知的社会の構築

3) 活力ある長寿社会の実現」

 すでに様々な人によって指摘されているように、こうした大学像
が現行の都立大全体の研究領域とあまりにも無関係で、ほとんどナ
ンセンスなものですが、百歩譲ってこれが新設される大学であると
仮定しましょう。その場合大学の設置者である都は大学がカバーす
る研究領域を自由に設定することは出来ます。例えば、大都市を多
角的に研究対象とする、というように。しかしながら上記の文言は
大都市の(よりはっきり言えば石原氏が知事を務める東京の)現実
を肯定するような研究を暗に要求するものです。例えば大都市の環
境が本質的に非人間的であり、都市はは出来るだけ小さくあるべき
であり、従って首都機能も東京から移転すべきだ、という結論に研
究の結果到達した社会学者がいたとして、その学者は上記の文言に
何を感じるでしょうか。大学に残りたかったら研究テーマか結論の
いずれかを変えろ、というメッセージでしょう。このメッセージこ
そが学問の自由の破壊の本体なのです。

 しかし都立大が直面する現実はもっと深刻です。形式は何であれ、
「新生」都立大は新設されるのではなく、すでに自分自身の研究領
域とテーマを持った多くの学者を抱える現行都立大の再編でしかあ
りません。大都市と何のかかわりも無い研究をしている学者の感じ
る当惑と圧力は想像に難くありません。それが学問の自由の破壊な
のです。例えば大学管理本部自身がホームページに誇らしげに報告
している雑誌「ネイチャー」に掲載された石井助教授と片浦助手ら
の論文題目は「カーボンナノチューブにおける低温での朝永ーラティ
ンジャー液体状態の直接観察」です。これはいかなる意味において
も上記の「新都立大」の理念と何の内容的関係も無いものです。石
原都知事と大学管理本部は自らが大学の目玉として広報しているこ
の優秀な研究者達をどのように処遇しようというのでしょうか。ス
ターリン時代、学術論文の冒頭には論文内容と無関係に、この論文
が如何に社会主義にとって有益かということが力説されていたとい
います。石原都知事は同様の屈辱を学者に強いることを欲している
のでしょうか。

 このように学問の自由の破壊は常に学者に対する知的屈辱の強制
という形をとって現れます。そして今回都によるそうした学問の自
由の破壊を象徴するのが予備校への理念委託です。12月12日の東京
都文教委員会で明らかになったように、都は再編される都立大の主
要部分となる「都市教養学部」の理念設計を予備校の河合塾に3千
万円で委託しました。大学で研究にたずさわる学者に対する知的屈
辱としてこれより大きなものを想像するのは困難でしょう。明らか
に石原都知事は都立大の学者に対して、プライドと学問的良心を捨
てて自らの前にひざまづくことを要求しています。そして都立大に
おける学問の自由の破壊を日本の社会と学者が容認するということ
は、早晩同様の運命が日本の大学全体を襲うことだといってもよい
でしょう。


<四教授の行動は「敵前逃亡」ではなく、「勇気ある命令拒否」だ>

 同じ12日の文教委員会で自民党の山本議員は法学部四教授の辞任
を「敵前逃亡」と呼び、彼らの社会的孤立と石原知事の免責を図る
ような発言をしています。しかしながら軍隊にたとえるなら四教授
の行動は敵前逃亡ではなく、無抵抗の非戦闘員を無差別に銃撃しろ
という上官の不当な命令に対する良心に基づいた勇気ある命令拒否
です。彼らが直面したのは学者としての良心を捨て、学問の自由を
殺せ、という不当な命令であり、彼らは職を賭してその命令を拒否
したのです。我々すべての学者は彼らの行動を支持し、彼らを決し
て社会的に孤立させず、学問の自由を守る大学の意志を広く社会に
示す必要があります。責任を問われるべきは都大学管理本部と石原
都知事です。

 これは団体行動の呼びかけではありません。一人一人の学問的良
心に対する呼びかけであり、それぞれの身の回りで出来ることをす
る呼びかけです。彼らに対する応援のメール、東京都に対する抗議
のメール、教室での学生への説明と呼びかけ、職を辞する決意をし
なくとも我々に出来ることはたくさんあるはずです。ささやかであっ
ても持続的な意思表示が最も大切ではないでしょうか。学問の自由
は学者というカナリアにとっての酸素です。学者として命を保とう
とするなれら、私たちは酸素を求める当然の声を上げなければなり
ません。

<石原都知事による都立大再編に反対する人々への支援先>

『都立の大学を考える市民の会』ホームぺージ
http://www.geocities.co.jp/CollegeLife-Lounge/3113/index.html

<東京都への抗議先>

都民の声総合窓口 
https://aps.metro.tokyo.jp/tosei/aps/tosei/mail/koe.htm 

大学管理本部の連絡先:

 〒163-8001 東京都新宿区西新宿2−8−1
 東京都大学管理本部長 山口 一久 
 03-5388-1615(fax番号)
 メールアドレス:S0000677@section.metro.tokyo.jp

━ AcNet Letter 45 【2】━━━━━━━━━━ 2003.12.25 ━━━━━━

朝日新聞 2003.12.22 私の視点
阿部泰隆氏(神戸大学大学院法学研究科教授)
「教員任期制 大学研究の活性化は疑問」
http://www.shutoken-net.jp/web031224_4asahi.html   

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 大学教員任期法が制定されて6年になる。国公私立すべ
ての大学において、教授を含めた大学教員に任期制を導
入して、教員の入れ替えを進め、大学などへの多様な人
材の受け入れを図るものである。立法者はこれによって、
相互の学問的交流が不断に行われ、教育研究が活性化す
ることを期待した。

 そうした効果には疑問が多く、大学ごとの選択制であ
るため、これまではあまり活用されてこなかった。しか
し、来年4月の国立大学法人化を控え、大学改革の一環と
して導入の動きが強まっている。

 確かに、満足な研究、教育をせずに同じ大学に定年ま
でとどまる教員の対策は必要であろうが、任期制はふさ
わしくない。

 学問を発展させ、それを学生に教えるという大学教員
の任務は、一般社会とは異なり、同僚の学問とも対決す
ることによって初めて可能になる。それなのに教員に任
期を付し、再任審査をするのは同僚の教授会である。任
期制は、結局は、多数派に属さない教員を追い出すこと
に使われやすいだろう。

 京都大学再生医科学研究所で任期付きの教授が、外部
評価委員会で高く評価され全会一致、再任賛成とされた
のに、協議員会(教授会に相当)で再任を拒否され、今
年5月、任期満了で「失職」に追い込まれた。研究所内規
では、再任の判断は外部評価に「基づく」となっている
のに、「基づかない」理由は不明のままである。京都地
裁は執行停止(仮の救済)の申し立てを、任期満了によ
る失職にすぎないとして却下した。

 こうした状況の下で、再任を望めば、同僚と分野の重
なる研究を避け、人間関係を良好に保つことに専念する
しかない。教育研究の活性化というこの法律の目的とは
逆になり、憲法が保障する学問の自由も死んでしまう。

 大学教授には身分保障を与えるのが世界の常識である。
少なくとも、再任を拒否される教授には事前の聴聞と司
法審査の機会が与えられるべきである。再任審査は前記
の京大の例では、文部科学省令に基づく学則と研究所内
規によって行われた。再任申請者には、これらのルール
に従って合理的な判断を求める権利がある。合理的理由
のない再任拒否は、実質、免職処分といえる。従って、
司法救済は不可欠である。

 司法救済が未整備のまま、任期制を導入すべきではな
い。任期制が適用できるのは、任期法の上からも新たに
職に就ける場合とされ、研究助手や期限付きのプロジェ
クト参加者、「多様な人材の確保が特に求められる教育
研究組織の職」(流動化型)に限定されている。全学的
に任期制を導入することは違法と思う。

 日本の大学教員は国際的に比較すると流動性に乏しい。
このことが任期制導入の根拠になっているが、日本の社
会の中で大学ほど熾烈に引き抜き合戦をしている業界は
ない。また、任期制を導入しても、同じ学閥内での入れ
替えにとどまるなら意味はない。

 人事流動化のためには、任期制よりも新規採用時に他
大学出身者の割合を高めるよう各大学に目標値を設定さ
せる方が効果的だ。怠慢な教員対策としては学生による
評価や研究評価を行い、優秀な教員に対しては欧米のよ
うにスカウトマネー付きで誘致合戦ができるようにする
方が、教育研究の活性化につながろう。

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【4-2】元防衛庁教育訓練局長の警告
「シビリアンコントロールに対する信頼が失われます」
小池 清彦氏(元防衛庁教育訓練局長・新潟県加茂市長)
 「国を亡ぼし、国民を不幸にする 自衛隊のイラク派兵反対」(2003.11.22) 
 http://www.kokuminrengo.net/2003/20031122-kik.htm
 月刊「日本の進路」 2003.12月号
 http://www.ac-net.org/dgh/blog/archives/000400.html
 http://www.ac-net.org/dgh/blog/archives/000400.html
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#(国連の旗の下での派兵でも「世界の警察官」となることを警告.)

英霊の心を体現する憲法第九条は日本国の宝

・・・・・その後、PKO法案が通り、防衛庁におけるPKO
の副担当は教育訓練局長ということで、私がその副担当になり
ました。私は幕僚幹部の方々に「自衛隊員の血を一滴も流さな
い。その一事だけを頭に入れてやっていただきたい」と申し上
げました。PKOといえども、たびたび出すと世界の警察官の
道につながっていくので、極力出さないようにしなければなり
ません。現に、「今度はイラクへ」と言い出しました。自民党
の中でも大勢の方々がイラク出兵に反対していますが、その中
でもかなりの方が、国連の旗の下でならいいとお考えです。国
民もその考えに乗りがちです。・・・・・今はアメリカが世界
の警察官です。日本は絶対に世界の警察官になってはいけませ
ん。国民は大変な目にあい、あげくの果てに滅亡するのは、歴
史の示すところです。・・・・・日本はやがて、国連安保理の
常任理事国になることもあろうかと思います。その時は、「常
任理事国にはなるが、憲法第九条があるから派兵はしない」と
宣言すべきです。「それではダメだ」と言われたら、なる必要
はない。しかし、世界第二の経済大国を無視できませんから、
世界は「それでいい」と言うと思います。くそまじめな人は
「エゴイズムだ。そんなことで通用するか」と言うでしょうが、
国際政治はエゴイズムが渦巻き、燃えさかるところです。そん
なところで、日本だけが「エゴイズムを発揮しません」と言っ
ていたら、たちまち焼き殺されてしまう。そこは巧みに、日本
は憲法第九条を守ってやっていくことが大事だと思います。何
百万という英霊の方々、沖縄をはじめ全国の方々が大変な犠牲
を払って得た日本の宝は、なんとしても死守しなければなりま
せん。

平和愛好国民の名をイラク派兵で汚してはならない

・・・・・自衛隊は内閣総理大臣が命令すればどこへでも行き
ます。シビリアンコントロールをいいことに、「イラクへ行っ
て命を落とせ」などとやっていると、シビリアンコントロール
に対する信頼が失われます。やがてシビリアンコントロールの
根幹が崩れ、武力集団を統括することができなくなります。今、
二十四万自衛隊の中に、小泉総理に対する不満が浸透していま
す。ほとんどの自衛隊員が小泉総理を信頼していません。これ
は大変危険なことです。」

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【4-4】山口二郎氏「イラクへの自衛隊派遣に反対する」
山陽新聞 20.12.7
http://www.juris.hokudai.ac.jp/~jyam/library/sonotashinbun/sanyo2003-12.html
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(抜粋)

・・・・・本当にイラクの復興のために、日本が人道的な協力
をしたいならば、異教徒、異民族から攻撃を受け、大きな犠牲
を出したイラク人の立場に立って、治安の回復や民生の安定の
ために何が必要かを考えることから始めるべきである。そして、
そのためには、アメリカに対する軍事的な支援と、イラク人に
対する人道的な支援とを峻別し、大義のない戦争を支持したこ
とに対する反省から話を始めなければならない。

 今の日本を支配しているのは、アメリカがどんな失敗をして
も常にアメリカに追随することが日本の国益になるという思考
停止の対米協調論である。小泉首相が国民に対する説明責任を
果たしていないのは、この思考停止の故である。しかし、思考
停止のまま自衛隊をイラクに派遣し、不幸にして犠牲者が出た
ならば、外交・安全保障をめぐる国論の分裂は深刻なものとな
るであろう。今からでも遅くはない。日本がリスクを負っても
国際平和や人道支援のために行動するのはどのような場合か、
そうした意思決定を行うさいにはどのような手順を踏むのか、
国会の場で十分な議論を行うべきである。」

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編集発行人:辻下 徹 admin@letter.ac-net.org
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