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新首都圏ネットワーク


『東京新聞』2003年12月12日付

4教員 相次ぎ辞任

都立大・法科大学院

 新しい法曹養成機関として、来年四月に開学する東京都立大学法科大学院
(ロースクール、中央区)について、都は十一日、出願受け付けと試験を当面
延期すると発表した。大学院の専任教員に予定していた四人の教員が相次いで
辞職を申し出たため。一人は都の大学改革への強い不信感を辞職の理由にして
いる。都は都立大など都立四大学を廃止し、二〇〇五年春に新大学を開設する
大学改革を進めているが、大学側の反発の強さが異例の形で浮き彫りになった。

■出願、試験 延期決める

 全国で開学する法科大学院で、試験日程が変更されるのは初めて。

 都大学管理本部は、法科大学院の出願期間は十二月二十四日から一月七日ま
でで、書類審査の合格者を対象に実施する試験は一月二十四、二十五両日に実
施すると発表していた。

 ところが、都立大学から法科大学院の専任教員に予定していた法学部の教授
と助教授の二人が十一月に退職届を提出。今月九日には法学部の別の教授二人
も退職届を提出した。三人が民法、一人が行政法を担当することになっていた。

 このため都は、教員補充のために文部科学省との再手続きが必要だとして、
試験などの延期を決定。十日に教員人事の差し替えについて、同省に補正申請
した。

 都大学管理本部は、新しく選ぶ教員について、大学設置・学校法人審議会の
審査を受け、承認後に試験日程をあらためて公表するという。開学への影響に
ついては「間に合うよう文科省と相談しながら努力している」としている。

 辞職した教授の一人は本紙の取材に対し、「都は新大学についての議論を全
部ひっくり返した。その後の都の改革のやり方も、新大学の内容も、われわれ
の考え方と全く違う。気力がうせた。辞職は私なりのけじめのつけ方だ」と理
由を述べ、都の新大学構想を強く批判した。

 また、辞職する別の教授は「辞めるのはあくまでも健康の問題で、大学改革
とは関係ない」としながらも「現在の改革のあり方は、望ましくないと思って
いる」と話している。

 都の新大学構想は、都と四大学の学長らが昨年から検討を進めていたが、八
月に石原慎太郎知事がそれまでの検討内容を大幅に変更した新構想を発表。直
前まで変更を各大学に知らせない「トップダウン」の手法や教員任期制導入、
大手予備校への調査委託などに対し、都立大の教員や学生らから批判の声が高
まっていた。