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新首都圏ネットワーク


山形新聞 2003年12月12日 金曜日
山形大、教員養成を継続−県・山形市と合意

 南東北3大学の再編・統合協議に伴う教育学部の存続問題で、山形大(仙道富士郎学長
)は11日、「山形県の教員養成に関する懇談会」の第7回会合を山形市のオーヌマホテル
で開き、小学校教員50人、中学校教員(主要5教科)20人を計画的に養成していく方針を
提示、県と山形市の合意を得た。1年半以上に及んだ3者間協議が整ったことを踏まえ、同
大は年内に文部科学省との折衝に着手、早ければ2005年度の新学部開設を目指す。

 県の提案を受け、山形大が練った「6年間の一貫教育」は全国初の試み。文科省との折
衝がどう進展するかは不透明だが、仙道学長は「山形県の取り組みがきっかけで、文科省
が30人学級(の国庫負担)を認めるようになったように、山形大が突破口になるように頑
張っていく」と述べ、構想実現に向けて強い決意を示した。

 これで山形大は、宮城教育大、福島大との3大学連絡会議を離脱することが確定的とな
り、「山形県の担当校」(仙道学長)として独自の道を歩むことになる。

 計画によると、現在の教育学部は▽地域の教育課題や教員養成に貢献するA学科▽地域
の文化創造に貢献するB学科▽地域の生活課題に総合的に貢献するC学科―の3学科で構
成する新学部に移行する。学生定員240人、教官定員104人は維持する方針。

 県内の義務教育の核となる人材を育成することを目的としたA学科は、入学定員が70人
(小学校課程50人、中学校課程20人)で、教官は35人程度を見込む。

 県教育委員会が単年度で採用する教員数を念頭に置いた規模で、将来は需要に応じて入
学定員を弾力化させることを想定している。

 学部名と学科名、大学院の規模は未定。付属学校・園は大学本体に付属する選択肢も浮
上しているが、「その場合でもA学科とのつながりは強いものになっていく」(沼沢誠副
学長)という。

 粘り強く教員養成課程の存続を訴えてきた高橋和雄知事は「念願だった小中学校教員の
計画的な養成が可能になった」として、大学の案を高く評価。大学院に進む学生を支援す
るため、財団や基金を創設する考えをあらためて示した。

 ◆山形大教育学部の存続問題 文部科学省の意向を受けた南東北国立3大学の教員養成
課程再編・統合協議に伴い、山形大教育学部が昨年5月の教授会で、教員の計画養成を断
念。県、山形市、教育関係者などの強い反発で山形大は路線転換を強いられ、新しい学部
を開設して6年間の一貫教育を導入、小学校教員に続き、中学校教員も計画的に養成する
方針を決定。本県内の混乱で、昨年3月に始まった3大学間の学長協議は休止状態が続いて
いる。