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新首都圏ネットワーク

平成15年12月6日

文部科学大臣
   河 村 建 夫 様

          
運営費交付金の取り扱いについての要望

 このたびの国立大学法人制度の発足に関し、貴大臣におかれては、検討の段
階から法案の国会審議の全過程にわたり、国立大学への深い理解の下に、より
よい国立大学づくりにご尽力を賜わり、厚くお礼を申し上げます。

 来年4月からの国立大学法人化に向けての国立大学協会の要望は、平成15
年11月12日付け「国立大学関係予算の充実について」で既にお伝えしてい
るところですが、そこで言及した「運営費交付金の義務的経費としての取り扱
い、効率化係数の不適用」などに加えて、以下の事項について、特段の配慮を
要望します。

1.現在、貴省事務当局から平成17年度以降の運営費交付金の算定ルールに
ついての見直し案が示されています。

 それによると、平成17年度以降の運営費交付金の算定ルールについて、
(1)人件費・物件費の区分の廃止による教職員人件費の保証の放棄、(2)運営費
交付金の収支差補填機能の放棄、(3)大学附属病院への独立採算制の導入、(4)
附属病院に係る長期借入金償還金の交付金による財源保証の放棄など、法人化
の導入に際しての、貴省の大学関係者への説明や国会審議での貴省答弁とは全
く異なる内容の導入が提案されています。

2.私たちは、これらの提案内容は国立大学法人の財政制度をめぐる事務的・
技術的修正の範囲を大きく超えるものであって、国立大学法人制度の基本的な
枠組みを抜本的に変更することを意味する、極めて深刻かつ重大な内容である
と受け止めました。

 それにもかかわらず、年末の予算編成時までの限られた時間のうちに、貴省
の提案内容をベースにした最終的結論を無理にでも得ようとする事務当局の姿
勢は理解しがたいものであります。

3.今回の貴省提案は、来年度予算における運営費交付金の算定ルールではな
く、平成17年度以降の算定ルールの変更についてのものです。この点を踏ま
えると、事務当局が私たちに提示しているスケジュールに従う必要はないと思
います。このためまずは、提案内容について「年末の予算編成時期までに結論
を得る」という事務方の姿勢を早急に見直していただきたく、この点を要望し
ます。

4.また、そもそも今回の貴省の提案は極めて唐突で、その上、内容自体に、
従来の貴大臣及び貴省幹部の発言・説明と整合性に欠ける部分が多数あります。

 私たちは、国立大学法人化を行政改革の視点からは位置付けず、国立大学振
興の観点に立つという従来からの貴省の説明を踏まえ、法人化への円滑な移行
に向けて準備を進めてきました。

 しかし、今回の提案内容には、「はじめに経費削減ありき」の財政当局的発
想が横溢するだけで、文部科学省として本来堅持すべきである高等教育振興の
観点が欠落しています。

 これでは、私たちと貴省との信頼関係は傷つくことになります。

5.私たちは、既に貴大臣から来年4月より国立大学法人の学長となるべき者
として指名されています。しかし、以上のような私たちの要望にもかかわらず、
貴省提案のような変更を導入・実施するならば、私たちに対して学内外から寄
せられている期待に応えることは到底出来ず、業務の遂行に責任を負いかねる
事態を想定せざるを得ません。

 したがって私たちとしては、指名の返上をも念頭に置きつつ、重大な決意を
持ってこの文書を提出するものです。

 貴大臣におかれては、これらの点を十分お汲み取りの上、よろしくご対応い
ただくよう要望します。

国立大学協会理事会


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