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『毎日新聞』京都版 2003年11月28日付 長尾真・京都大学長退任会見 「大学も潰されぬ努力を」 12月で任期を終える長尾真・京都大学長(67)がこのほど、退任の記者 会見を行った。在任の6年間を振り返り、印象深いこととして国立大学協会長 として携わった国立大法人化や、今秋開学した桂キャンパス(西京区)の建設 を挙げた。 来春に迫った国立大法人化。「国大協は文科省相手に頑張ったが、独立行政 法人の枠の中でしか法律が出来なかった。妥協の産物だ」と指摘。「潰(つぶ) されると心配するより、潰されないように大学も努力しなければ」と話した。 ◇「世界で意見言える人に」 活発化する産学連携については「京大は今でも基礎研究第一の大学。ただ、 これまであまりにも社会との付き合いがなかった。大学の知的財産を提供すべ きだ」と訴えた。また、「理系学問でも重要なのは感性。いつか京大に芸術学 部を作ってほしい」とも。学生には「世界に目を向けて、世界のどこに行って も意見を言える人になってほしい」とエールを送った。 自身の今後については「ゆっくり本を読み、比叡山にも登って、という生活 がしたい。京大に40年以上お世話になった。もう卒業させてもらいます」と 笑わせた。 新学長には来月16日、尾池和夫副学長(63)が就任する。 【野上哲】 |