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新首都圏ネットワーク


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Academia e-Network Letter No 32 (2003.11.27 Thur)
http://letter.ac-net.org/03/11/27-32.php

━┫AcNet Letter 32 目次┣━━━━━━━━━ 2003.11.27 ━━━━

【1】京都地方裁判所への井上一知氏陳述書 2003.9.2
http://poll.ac-net.org/2/shiryou/030902-inoue.php

【2】「任期制と恣意的運用の問題−−放送大学の事例から−−」
石原剛志氏「大学教員の任期制を考える引用集(*)」より
(*)http://homepage1.nifty.com/scientist/2003ninkisei.htm

 【2-1】1997年04月25日衆議院文教委員会議事録より

【3】立元一彦氏(群馬大学生体調節研究所教授)の意見
京都地裁への大学界有志要望書サイトにおける「メッセージ」より

【4】永岑氏サイト「大学改革日誌」2003.11.27(3)
http://eba-www.yokohama-cu.ac.jp/~kogiseminagamine/SaishinNisshi.htm

【5】横浜市大学長に全学説明集会を求める教員組合要求書 2003.11.27
http://eba-www.yokohama-cu.ac.jp/~kogiseminagamine/20031127ZengakusetumeikaiYokyu.htm

【6】横浜市大 木原生物学研究所教授会決議 2003.11.13
  http://satou-labo.sci.yokohama-cu.ac.jp/031113kihara.htm

【7】 奈教大での過半数代表の「選出」
http://www.shutoken-net.jp/web031127_1yamamuro.html

 【7-1】 11/27 山形大学職員組合書記長 品川敦紀氏のコメント
http://www.shutoken-net.jp/web031127_3shinagawa.html

【8】11/26 名工大教授会で、学長の所信表明取りけしの要求を決
議(賛成122票、反対68票、白票10票)、学長辞任を表明。
http://www.shutoken-net.jp/web031127_2kyodo.html

【9】「都立新大学、教員の“主従関係”やめ職制簡素化」(読売11/21)の吟味
http://www.bcomp.metro-u.ac.jp/~jok/kiki-o.html#kyoin-jks
都立大の危機FAQより
http://www.bcomp.metro-u.ac.jp/~jok/kiki.html

【10】都民のための大学 問う 都立四大学 教員懇談会がシンポ
  11/27しんぶん赤旗2 
http://www.shutoken-net.jp/web031127_5akahata.html
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日本で初めて任期制を導入した放送大学では、最初の再
任期(1988 年)に、業績上は再任に何も問題がなかっ
た教授が、本人の意に反して再任されなかった事件があっ
た。関係者が詳しい記録を残しているが、それを見ると、
業績とは無関係に教員を定期的に入れかえるための制度
として任期制を定着させるために、再任の前例を作らな
いようにと強い政治的ないし行政的介入があったようで
ある。

今回も、任期制法に基く任期制度を大学教員の「新陳代
謝」のための制度として定着させるために、政治的ない
し行政的介入があった可能性が否定できない。特に、業
績上は全く問題のない人を再任しないことにより、任期
制における再任は業績とは関係がない、という前例を作
り、今後の任期制運用の「自由度」を高めようとする意
図が強く感じられる。裁判所がこの件の裁判を退けよう
としている真の理由は、立法・行政に対し「謙虚」な司
法が、立法や行政の介入があったことが明らかにするよ
うなことを回避したいから、というようなことはないの
だろうか。(編集人)

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京都地裁への大学界有志の要望書は、これまでに、56
大学の有志138名と、7都道府県の市民有志22名の
賛同が寄せられている。大学は以下の通り。署名は
http://poll.ac-net.org/2

東北大学(9名),北海道大学(8名),九州大学(7名),名古屋工業大
学(6名),神戸大学(5名),京都大学(5名),北九州市立大学(4名),
東京大学(4名),琉球大学(4 名),高知大学(4名),弘前大学(4名),
金沢大学(4名),富山大学(4名),大阪大学(3 名),鹿児島大学(3名),
横浜市立大学(3名),香川大学(3名),岐阜大学(3 名),新潟大学(3
名),横浜国立大学(2名),大阪教育大学(2名),岡山大学(2 名),
名古屋市立大学(2名),群馬大学(2名),追手門学院大学(2名),佐
賀大学(2 名),東京都立大学(2名),広島大学(2名),名古屋大学(2
名),京都教育大学(2 名),山形大学(2名),千葉大学(2名),北海
道教育大学(2名),山口大学(2名),大阪経済法科大学(1名),京都
工芸繊維大学(1名),小樽商科大学(1名),鳥取大学(1名),南山大
学(1名),お茶の水女子大学(1名),三重短期大学(1名),東京芸術
大学(1名),長崎大学(1名),九州工業大学(1名),文教大学(1名),
奈良教育大学(1名),東京海洋大学(1名),東京水産大学(1名),千
葉短期大学(1名),鳴門教育大学(1名),日本大学(1名),奈良女子
大学(1名),愛知大学(1名),東京工業大学(1名),奈良県立大学(1
名),京都府立大学(1名)


━ AcNet Letter 32 【1】━━━━━━━━━━ 2003.11.27 ━━━━━━

京都地方裁判所への井上一知氏陳述書 2003.9.2
http://poll.ac-net.org/2/shiryou/030902-inoue.php
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(抜粋)

「・・・・・・何回も再任拒否の理由を書面で示していただくよう
に求めましたが、返答をいただけませんでした。一流の専門家によ
り、満場一致で再任可と決定された外部評価委員会の結論をないが
しろにする理由をいろいろ探してみても、結局、書面に記載して公
にできるような理由が見当たらなかった、すなわち公平な立場の第
三者が見て納得できるような理由が見当たらなかったのでしょう。

こういう人の道をはずれることが、なんのお咎めも無く平気で世の
中をはびこってはいけないのは当然でありますが、残念なことに、
現状では何のお咎めも無く、しかも憲法で保障されているはずの救
済の道を、京都大学内においてはまったく見いだせませんでした。
そこで、真っ当な人の道を求めるために、公正で気高い御見識と御
裁断を信じて裁判の道を選択いたしました。・・・・・・」

「・・・・・・前最高裁判所判事で京都大学御出身の園部逸夫先生
は、今回のご自分の母校で勃発した井上事件を、戦前の大学の自治
に関する沢柳事件、そして滝川事件と続くいわゆる京大事件に匹敵
する、あるいは、それ以上に重大な事件、すなわち、大学の自治と
学問の自由を踏みにじり、行政法の視点からみても到底放置し得な
い重大な社会的事件と、判断されました。

園部逸夫先生を始め、行政法をご専門とする諸先生方が一同にご指
摘されましたように、今回の一件は、わが国における教官任期制度
の運命を決定・左右するきわめて重大かつ深刻な問題であることに、
異論のある方はおられないと思います。新しい治療を待ち望んでお
られる多くの患者さんのために、大学の自治が正しく運用されるた
めに、そして学問の自由を守るために、是非、適正な御裁断をお願
い申し上げる次第です。・・・・・・」

━ AcNet Letter 32 【2】━━━━━━━━━━ 2003.11.27 ━━━━━━

「任期制と恣意的運用の問題−−放送大学の事例から−−」
石原剛志氏「大学教員の任期制を考える引用集(*)」より
(*)http://homepage1.nifty.com/scientist/2003ninkisei.htm
───────────────────────────────

・・・・・・放送大学では教員を再任する手続きとして、専攻ごと
に該当する教員の業績などを審査して、再雇用が適当かどうかを決
め、その結果を学長に報告し、学長は評議会に再任の可否を問う形
をとることになっていた。そして、該当する三人について、それぞ
れの専攻ごとに審査が行われ、『適』の結論が得られた。そして、
三人を含めて、学内では再雇用の問題はクリアした雰囲気だった。

 一九八八年五月に学長から呼び出しを受けた。評議会で筆者の業
績を説明するのに不明のところでもあるのかと出向いてみると、
『理事会の中に先生の再雇用に反対する動きがある。研究者として
のキャリアに傷がつくといけないから、再雇用を辞退してはどうか。
その代わり、私立A大学にポストを用意した』という内容だった。

 文字どおり寝耳に水だった。評議会に反対があるという話は聞い
ていなかったし、放送大学教授として、やることはきちんとしてき
た自信がある。それだけに、再任拒否は理解できなかった。話のあっ
たA大学に不満があるわけではないが、そ[p.22]れこそ筋がちがう。
そう考えて、再任を評議会にかけてほしいと頼んだ。・・・・・・
(深谷昌志「任期制導入の問題点は何か」)」


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【2-1】1997年04月25日衆議院文教委員会議事録より
http://www.ishii-ikuko.net/kokkai/gijiroku/970425.htm
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○石井(郁)委員 今の説明ではどうもよくわかりません。なぜ再
任されなかったかというふうに私は聞きましたし、そのためになぜ
再任の審査をされなかったのか、この理由も述べられませんでした。

 それで、この問題については当事者の先生方がこういう本を書か
れていますよね。「放送大学で何が起こったか あらためて「大学」
を問う」という本がありますので、その中に基づいてちょっと私は
質問したいわけですけれども、再任がされないということを学長が
その先生方に通告されるわけですよね、学長からの申し出というか。
その理由はこういうものでありました。「懇親会などの酒席に出席
する率が低い。」二点目に、「研究業績があまりに多いのは、自分
で論文を書かずに、名前だけつけているのではないかという人もい
る」、三つ目には「卒論をあなたのもとで書く学生が多い」、こう
いうことが言われたそうです。

 一体、こういうことは理由になるんだろうか、私は驚くべきこと
だというふうに思うのですが。ですから、この人事というのは非常
に恣意的なものではないのか、客観性もなければ透明性もないとい
う点でもそう言わざるを得ないわけですけれども、文部大臣はこの
事態をどのようにお考えでしょうか。・・・・・・」

━ AcNet Letter 32 【3】━━━━━━━━━━ 2003.11.27 ━━━

立元一彦氏(群馬大学生体調節研究所教授)の意見
京都地裁への大学界有志要望書サイトにおける「メッセージ」より
http://poll.ac-net.org/2/2poll-5-iken-hyouji.php
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「この大学通信において教員の任期制導入に関する意見がいくつか
取り上げられていますが、阿部泰隆氏の論文は傾聴に値すると思い
ます。阿部氏は、京都大学再生科学研究所で起こった任期制教授の
再任拒否事件について、「少なくとも、再任審査のルールを公正に
つくり運用しなければ違法違憲であると確信するに至った。しかし、
京大にはそのようなしくみもなく、これを公正に運用しようとする
理性もない。しかも、これは井上教授一個人の問題だけでなく、大
学の崩壊をもたらす重大事件である」と述べている(大学通信
2003.06.02  http://ac-net.org/kd/03/602b.html)。私は、任期
制導入そのものに反対するものではないが、「再任審査のルールを
公正につくり厳正に運用」しなければ、任期制が大学教員の自由な
研究や教育に対する意欲を著しく阻害し、「大学の崩壊」さえもた
らすものであることを十分に認識している。

 そもそも、現行の大学教員任期制施行およびその運用に関する規
則は、各大学部局の教授会によって決定されるため、同じ大学内で
さえも部局によってバラバラで統一されていない。しかも、「学問
の自由」と「部局の独自性」を建て前としているため、文部科学省
や大学学長さえも一部局で決定された「内規」を変えることはでき
ず、その決定を覆すこともできない。このような状況では、大学教
員は実質的な再任審査の権限を握る部局教授会などの意向を恐れて、
自由に研究を行ったり自由な意見を述べたりすることを控えるよう
になるかもしれない。大学教員に限ったことではないが、ただでさ
え「長いものにまかれろ」や「事なかれ主義」などが横行している
大学の現状を考えると、現行の教員任期制のもつ危険性を無視すべ
きではない。京大再生研の例が示すまでもなく、法律的には問題が
なくても公正な運用がなされたかどうか疑わしい大学人事など別に
珍しいことではない。表面では公明正大を唱えながら、実質的には
「談合」や「裏取引」で教官人事を決定している例など枚挙にいと
まがないだろう。このことは、大学当事者なら誰でも知っているこ
とではないだろうか。再任審査の権限が大学の部局教授会等に委ね
られるとしたら、阿部泰隆氏の言うように「恣意的な免職制度」と
して悪用される危険性が大きく、今後、京大再生研のような事例が
増えることは明らかである。

 これら任期制に係わる問題は、任期制導入を押し進めようとした
過程で、ことが反発の強い人事問題だけに、とりあえず個々の部局
に責任を「丸投げ」して、なし崩しに任期制を実行させようとした
文部科学省の狡猾な「及び腰」のツケが回ってきたのではないのか。
本来なら、文部科学省と大学当局が責任をもって抜本的な大学人事
制度の改革を行い、任期制に対する統一指針を打ち出すべきである。
大学の「外部評価制度の導入」に関しても同様な過ちがあったため、
現在では国によって定められた「客観的な評価制度」に改められて
いることを思い起こしてほしい。任期制導入のような個々の教官の
将来に直結する重大な制度は、大学の一部局教授会の「内規」など
に委ねるのではなく、せめて、大学全体の制度改革の一環として検
討して公正なしくみを構築するべきではないだろうか。現行のよう
な中途半端な任期制では文部科学省の目指す「研究教育の活性化」
など望むべくもなく、「百害あって一利無し」といわれてもしかた
がないのではないか。」
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━ AcNet Letter 32 【5】━━━━━━━━━━ 2003.11.27 ━━━

横浜市大学長に全学説明集会を求める教員組合要求書
http://eba-www.yokohama-cu.ac.jp/~kogiseminagamine/20031127ZengakusetumeikaiYokyu.htm
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教員に対する全学説明集会の開催を要求する

横浜市立大学学長 小川恵一殿

2003年11月27日
横浜市立大学教員組合 執行委員長 藤山嘉夫

 10月29日、横浜市立大学の小川学長は、横浜市大学改革推進本部
会議において「横浜市立大学の新たな大学像について」(以下、
「大学像」)を提出した。

「大学像」(案)を検討した10月22日の臨時評議会においては、と
りわけ人事委員会と全教員への任期制の導入に関しては、多くの評
議員からの反対意見や疑問の表明が行われ、これに反対した者の氏
名を議事録に残すべきこと、さもなくば反対意見を付帯意見として
つけること、または、上記2点に関して評議会での採決をとること
の提案がなされた。それにも関わらず、いずれに関しても評議会議
長である学長によって拒否され、一方的に評議会の終了が宣言され
た。本学の最高の意思決定機関としての評議会の議長たる小川学長
は、評議会運営上の手続民主主義において重大な誤りを犯している。
この事態に対して、10月28日の国際文化学部臨時教授会、11月6日
の商学部教授会、11月13日の木原生物学研究所教授会において教授
会の遺憾表明決議がなれている。

本「大学像」とその伏線となってきた諸案(「あり方懇」答申、
「大学改革案の大枠の整理について」、「大枠(追加)」「横浜市
立大学の新たな大学像について(案)」)に関して、本質的な諸論
点に対して学内で厳しい批判が相次いできた。この半年余において
さえ、各学部の教授会、臨時教授会、付置研究所の教授会、評議会、
臨時評議会、プラン策定委員会などにおいてそれらに対する極めて
厳しい批判が続出した。学部教授会、大学院研究科委員会、研究所
教授会においては都合10件を超える反対決議や教授会見解が表され
ている。これは尋常ならざる事態である。教授会と多くの教員の意
見表明にもかかわらず、小川学長の秘密主義と乱暴なトップダウン
によってそれらはほとんど改革案に反映されずに来た。今回の改革
案は学内の総意を結集したものとは決して認めがたい。

文科省は、大学の人事に関しては「教育・研究にたずさわる者が責
任を持つべきである」と明言している。

今後は、この指摘を踏まえて「大学像」における「人事委員会」は、
根底からの見直しがなされねばならない。

また、文科省は、全教員への「一律」任期制の導入に関して、移行
型独立行政法人における「大学の継続性」という性格を強調し、
「一律に任期制をしき、誰を採用し誰を採用しないかというような
ことを行うのは公権力の介入という視点からよいこととはいえない
のではないか」、と明言している。

任期制の導入には本人同意が前提となる。それは、「誰を採用し誰
を採用しないか」という「公権力の介入」を意味することになる。
とりわけ移行時に現職の全教員へ任期制を導入することは、乱暴の
極みであり、現行法や文科省見解に照らしても不可能である。「大
学像」の現職全教員に対する任期制の導入は直ちに撤回されるべき
ものである。

学長は、あまたの問題点を内含する「大学像」に対し、どれだけの
教員が諸手を上げて賛意を表明していると考えるのであろうか。
「大学像」は新たな大学像として教員に希望を与えるものでは決し
てなく、教員を落胆と不安の底に引き込み、転職をも考え出すもの
まで出てきている状況にたいして、学長は、いかなる責任をとるの
であろうか。学長は、すべての教員を痛みもなしに正視できるので
あろうか。「大学像」によって市大の従来の水準を低下させること
になったら、学長はいかなる責任を取るのであろうか。その予兆は
既に見られる。仄聞するところ、30日に行われる推薦入試の志願者
は、大幅に減じているのである。

審議の過程が不透明極まりなく、学長が教員の前で説明責任を果た
すべきだと求める教員の要求には学長はこれまで一切答えていない。
学長は教員の前に立ち納得のいく説明を直接に行うべきである。こ
こに、学長による教員に対する全学説明集会の開催を要求する。

     12月5日までに文書で回答されたい。


━AcNetLetter32【8】━━━━━━━━━━2003.11.27━━━━━━

11/26 名工大教授会で、学長の所信表明取りけしの要求を決議。
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共同通信2003.11.27 によれば、200名が出席した2003.11.26の名工
大教授会で、「七月の学長の所信表明は(教授会の役割の重要性に
十分な配慮を促している)国会決議を無視している」として所信表
明の取り消しを求める動議が提出された。投票結果は、賛成122票、
反対68票、白票10票で、所信表明取り消しの要求が決議された。こ
れを受けて柳田学長は辞任を表明。

━AcNetLetter32【9】━━━━━━━━━━2003.11.27━━━━━━

読売記事「都立新大学、教員の“主従関係”やめ職制簡素化」の吟味
http://www.bcomp.metro-u.ac.jp/~jok/kiki-o.html#kyoin-jks
都立大の危機FAQより
http://www.bcomp.metro-u.ac.jp/~jok/kiki.html
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疑問O−6「都立新大学、教員の“主従関係”やめ職制簡素化」
(11/21) というタイトルの記事を読売新聞で読んだんですけど,画
期的な制度だという 感じで書かれていたと思うんですが,本当に
そうなんですか?

ポーカス博士 「・・・問題点はたくさんあるがその内の主なもの
だけをピックアップしてみよう。

(1)現在の教員と所属大学の契約をいきなり一方的に反故にして,
2つの制度のどちらか一方を選べ,というのは違法である。教員側
の意思も尊重されねばならないが,これでは完全な選択科目である
はずのものを,選択必修にしておいて,「ああ,どちらも選択だか
ら同じだよ。好きな方を選べるからね。」と言うようなものだ。

(2)旧制度を選ぶと,一方的に不利な労働条件を押しつけられる。
最悪のケースは,助手の人が,63歳まで助手,給与も63歳まで同じ,
ということが起こる。

(3)新制度を選ぶと,その都度「公募・審査」が行われて再雇用さ
れるか否かが決まるが,その審査のシステムが日本には確立してい
ない。任期が来て,再審査を受ける時に,誰がどのように審査をす
ればよいのか,そのシステムをいかに公平に作り上げるかが大問題
なのじゃ。京都大学の医学部教授の件が問題になっておるが,まさ
にこの「審査システム」ができていないからこういうことになるの
じゃ。この新制度自体,アメリカの制度を猿まねしただけで全然画
期的なシステムじゃあないぞ。旧制度は,東京都が独自に考えた有
効なリストラ法かもしれんが...」


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編集発行人:辻下 徹 admin@letter.ac-net.org
ログ:http://letter.ac-net.org/index.php
趣旨:http://letter.ac-net.org/intro.php
#( )の中は編集人コメント、「・・・・・」は編集時省略部分