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新首都圏ネットワーク


『埼玉新聞』2003年11月22日付

「地理的に遠くメリットない」
埼玉大新学長、群大との統合白紙へ
 

 埼玉大学(さいたま市桜区)で二十日行われた学長選考会で新学長に同大名
誉教授の田隅三生氏(66)が選出された。任期は来年四月から二○○八年三
月三十一日まで。田隅氏は選考に当たっての所信表明で「(群馬大学との)統
合は現時点でいったん棚上げすべき」と述べている。群馬大学との統合、来年
四月に控えた独立法人化などについて聞いた。

 ―群大との統合は棚上げするのか

 田隅氏  時期は分からないが、群大に棚上げを申し入れする。

 ―理由は

 田隅氏  理由というかそれが現実。これまで正式な学長懇談会だけで二十
回以上やっている。学部長レベルでも五、六十回やっているのに、何も決まっ
ていない。袋小路に入ったのが本当のところだと思う。私は単に現状を代弁し
ているだけだと思う。

 ―なぜ難しいのか

 田隅氏  机上論としては悪くない。だが地理的に離れすぎているのはまず
い。メリットを出すのは難しい。統合するなら会社のように一方をつぶし、土
地を売るなどメリットを出す必要がある。だが教育学部の集約は(群大が)反
発した。

 ―現在、実施されているワーキンググループや懇談会は続けるのか

 田隅氏  棚上げになるだろう。情報交換は続けてもいいが、今のような頻
度でやる必要はない。

 ―独立法人化後の埼大をどう変えていくのか

 田隅氏  研究強化よりも教員の数を確保して、質の高い教育を前期(一、
二年生)にやることが大事。そのためには一生懸命やっている先生が報われる
方法を考えたい。だが独立法人化は分からないというのが正直なところ。法律
には細かいところまで何も書いていない。

 ―力を入れたい分野は

 田隅氏  理学部、工学部の中に優れた研究をしているところがある。そこ
をもっと伸ばしたい。教育学部は地域密着型で、その方針に反対しているわけ
ではない。

 ―埼大をどんな大学にしたいか

 田隅氏  何か光るもの、専門に関してはどこにも負けない大学にしたい。
独立法人化を機会として新大学をつくるような気持ちで頑張りたい。