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違憲の就業規則には特別の関心を
                       佐賀大学 豊島耕一

国専協による国立高専の就業規則案に驚きます.

   第35 条 教 職員は、次の事項を守らなければならない。
   六 機構内で、宗教活動、選挙運動その他の政治活動をしてはならない。
   七 理事長の許可なく、機構内で放送・宣伝・集会又は文書・図画の配布・回
   覧掲示(インターネットその他の高度情報通信ネットワークを通じるものを
   含む。)その他これに準ずる行為をしてはならない。

木更津高専教職員組合委員長の田村氏がこの2項目の削除を主張していますが,当
然です.日本国憲法21条が保障する集会・結社・表現の自由と検閲の禁止は,国家
機関だけでなくすべての私人,団体が遵守する義務を負っています.職務専念義務
だけで十分であり,休み時間に職員が何をしようと勝手です.掲示物が職務の妨げ
になるという証明がない限り,これも自由でなければなりません.上のような規則
を考え出す人の頭の構造がどうなっているのか,全く不思議です.どうして隣の独
裁国家* を手本にしたいと思うのでしょうか.ぜひ憲法学者の発言をお願いします.
また,他の条項と違って,いやしくも憲法的権利にかかわることにはもっと重大な
関心が持たれて然るべきです.

いくつかの独立行政法人の就業規則をネットで調べてみました.その結果,どうや
ら文部科学省系だけにそのような規定があるようです.イデオロギー官庁(儒教官
庁)の面目躍如というところでしょうか.

   大学入試センター 2001年4月1日制定
   規則第37号 (職場の秩序維持)
   第26条 職員は、理事長の許可なく、センターの施設内で業務外の文書若し
   くは印刷物を配付し、掲示を行ない、又は業務外の集会、演説、放送若しく
   はこれに類する行為を行なってはならない。

   国立青年の家 2001年4月1日制定
   第35条  職員は,次の事項を守らなければならない。
   七 理事長の許可なく,青年の家内で放送・宣伝・集会又は文書画の配布・回
   覧掲示その他これに準ずる行為をしてはならない。

   国立美術館 2001年4月2日制定
   第21条  職員は,理事長の許可なく,国立美術館構内で,業務外の文書若
   しくは印刷物を配布し,掲示を行い,又は業務外の集会,演説,放送若しく
   はこれらに類する行為を行ってはならない。

以下の独立行政法人の就業規則には該当する規定はありません.国立特殊教育総合
研究所だけが文科省系です.

   国立公文書館,工業所有権総合情報館,国立特殊教育総合研究所,
   経済産業研究所,建築研究所

大学入試センターは国立大学と密接な関係を持つ組織ですが,このような規則が作
られるのを許したのは迂闊ではなかったでしょうか.組合や連合体など,規則ウオッ
チャーは何をしていたのでしょうか.

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* もちろん朝鮮(いわゆる北朝鮮)を指しています.蛇足ですが,この国の独裁体
制を引き合いに出すことは排外主義とは関係ありません.北東アジアで最も重大な
人権侵害が行われている地域であり,関心を持ち,批判するのは当然です.この地
域での戦争を防ぐためにも.なお, 北朝鮮の略称は明らかに差別的であり,かといっ
て「共和国」も略称とは認めにくいので,正式国名の冒頭の2文字,すなわち「朝
鮮」がふさわしいのではないでしょうか.

840-8502 佐賀市本庄町1
佐賀大学理工学部  豊島耕一
http://pegasus.phys.saga-u.ac.jp
職場電話/ファクス 0952-28-8845