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新首都圏ネットワーク


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Academia e-Network Letter No 24 (2003.11.14 Fri)
http://letter.ac-net.org/03/11/14-24.php
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96国公私立大学の教員有志269名から東京都議会と横浜市議会への要請

11/10に横浜市議会大学教育委員に第一回送付
11/12に東京都議会文教委員に第一回送付
参加受付中:http://poll.ac-net.org/1/

北海道大学(19名),岩手大学(10名),東京都立大学(10名),九州大学(9名),
名古屋大学(9名),筑波大学(8名),愛知教育大学(8名),神戸大学(7名),
金沢大学(7名),富山大学(7名),横浜市立大学(7名),横浜国立大学(6名),
新潟大学(6 名),東京大学(6名),広島大学(5名),岡山大学(5名),
東北大学(5名),北海道教育大学(4名),琉球大学(4名),佐賀大学(4名),
名古屋工業大学(4名),高知大学(4名),岐阜大学(4名),大阪教育大学(3名),
大阪大学(3名),大分大学(3名),山梨大学(3名),お茶の水女子大学(3名),
奈良教育大学(3名),東京学芸大学(3名),京都大学(3名),早稲田大学(2名),
群馬大学(2名),小樽商科大学(2名),椙山女学園大学(2名),香川大学(2名),
福島県立医科大学(2名),千葉大学(2名),茨城大学(2名),東京工業大学(2名),
東京農工大学(2名),信州大学(2名),日本大学(2名),山形大学(2名),
奈良女子大学(2名),弘前大学(2名),長野大学(2名),鳥取大学(2名),
東京海洋大学(2名),熊本大学(2名),東京外国語大学(2名),福島大学(2名),
立教大学(2名),秋田大学(1名),鶴見大学短期大学部(1名),札幌医科大学(1名),
京都府立大学(1名),追手門学院大学(1名),愛知県立大学(1名),
九州工業大学(1名),龍谷大学(1名),鳴門教育大学(1名),甲南大学(1名),
室蘭工業大学(1名),鹿児島大学(1名),島根大学(1名),札幌学院大学(1名),
埼玉大学(1名),明治大学(1名),兵庫教育大学(1名),東京工芸大学(1名),
長岡技術科学大学(1名),福井大学(1名),長崎大学(1名),山口大学(1名),
千葉短期大学(1名),神奈川大学(1名),北見工業大学(1名),京都教育大学(1名),
帯広畜産大学(1名),東京女子大(1名),(1名),静岡大学(1名),東洋大学(1名),
名古屋市立大学(1名),三重大学(1名),成城大学(1名),関西学院大学(1名),
明星大学(1名),一橋大学(1名),中京女子大学(1名),大東文化大学(1名),
大分工業高等専門学校(1名),明海大学(1名),埼玉短期大学(1名),電気通信大学(1名)

━┫AcNet Letter 24 目次┣━━━━━━━━━ 2003.11.14 ━━━

【1】9.27多分野シンポ「大学界の真の改革を求めて」の発言と記録
http://www003.upp.so-net.ne.jp/znet/znet/sympo030927/sympo927index.html
http://pegasus.phys.saga-u.ac.jp/znet/sympo030927/sympo927index.html

 【1-1】前号で「校正未了」とした成嶋氏の発言は既掲載:
http://pegasus.phys.saga-u.ac.jp/znet/sympo030927/session3p.html#Anchor30750217

 【1-2】 田中広允氏(前鹿児島大学長) 「学問は必ず勝つ」
http://pegasus.phys.saga-u.ac.jp/znet/sympo030927/session2p.html#Anchor30739212

 【1-3】 田原博人氏(宇都宮大学学長)
議論の少ない国大協/個人と学長の狭間で
http://pegasus.phys.saga-u.ac.jp/znet/sympo030927/session2p.html#Anchor30740576

 【1-4】井上淳氏(東工大教授)
http://pegasus.phys.saga-u.ac.jp/znet/sympo030927/session2p.html#Anchor30805917

【2】 首都圏ネット声明 国立大学関係予算の削減計画について
http://www.shutoken-net.jp/web031112_4kyodo.html

【3】 共同通信ニュース速報:松山大学長が12月に退任へ
http://www.shutoken-net.jp/web031112_4kyodo.html

【4】伊豆利彦氏メールマガジン「日々通信 いまを生きる」より
http://homepage2.nifty.com/tizu/tusin/@nt@.htm

 【4-1】第1号 2001年9月22日
http://homepage2.nifty.com/tizu/tusin/nt1.htm

 【4-2】第80号 2003年11月11日
http://homepage2.nifty.com/tizu/tusin/tu@81.htm
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━ AcNet Letter 24【1】━━━━━━━━━━ 2003.11.14 ━━━━

9.27多分野シンポ「大学界の真の改革を求めて」の発言と記録(2)
http://www003.upp.so-net.ne.jp/znet/znet/sympo030927/sympo927index.html
http://pegasus.phys.saga-u.ac.jp/znet/sympo030927/sympo927index.html
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【1-1】前号で「校正未了」とした成嶋氏の発言は既掲載:
http://pegasus.phys.saga-u.ac.jp/znet/sympo030927/session3p.html#Anchor30750217
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【1-2】 田中広允氏 「学問は必ず勝つ」
http://pegasus.phys.saga-u.ac.jp/znet/sympo030927/session2p.html#Anchor30739212
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(抜粋)

【田中】 ご紹介いただきました鹿児島大学の田中です。司会の小
沢先生から過分なご紹介を頂きました。本日はこのような機会を与
えていただき、豊島先生はじめ関係者の方々に感謝申し上げます。

●学問は必ず勝つ

 教育あるいは大学の問題というのは、短期的にはしばしば政治や
経済の力に押し潰されますが、歴史の流れのなかで長期的に見ると、
真理に立っている限り、学問は必ず勝つんですね。政治、経済はも
のすごく強い権力を持っていますが、学問、哲学、思想は連綿と受
けつがれていくわけです。 そうした意味で、今の時点で独法化問
題を総括しておくのは非常に大事なことだと思います。そういうこ
とをきちんとおやりになったということに対して敬意を表したいと
思います。・・・・・・

●国大協の方針転換

●学長有志による動き--「有馬大臣の決定を白紙に戻せないか」

●自民党に呼ばれる

 第1回学長研修会の少し前ですが、私に、自民党政務調査会文教
部会から、高等教育政策について議論を行なうため、特に国立大学
の独法化について意見を開陳してほしい旨の要請がありました。そ
れで学長研修会で皆さんのご意見をうかがってから意見開陳を行い
ました。3名の講演者はいずれも旧帝大以外の国立大学長でありま
した。1人10分ぐらいずつ話をしたあと質疑応答がありました。参
加者は数名の文部大臣経験者を含めて40名ぐらいだったと思います。

 A学長は、通則法のままではないということを条件に賛成論をぶ
ちました。「護送船団方式のために国際競争力が低下している。競
争原理を取り入れるべきだ」という主張であったわけです。B学長
は、「独法化はやむを得ないところもあるが、百年の大計が果たし
てそれでいいか。悪くなったら、あなた方の責任ですよ」という趣
旨の話をしました。会議の後で私が「先生、あんな考えだったら反
対してくれたらよかったのに」と言いましたら、「いや、あの人た
ちの前ではできない」というような返事でした。基本的には中立の
意見表明だったのでしょうか。私はもちろん独法化反対論をはっき
り述べました。「日本の高等教育における地方国立大学の意義」と
いう題で、国立大学の独法化は高等教育・学術研究の衰退とともに、
国力の衰退をきたすので反対であるということを、はっきり申し上
げました。有馬前文相からもいくつかの質問がありました。その1
つは、「なぜ独法化が悪いのか。独法化すると自由にやれるのだか
ら、鹿児島大学にノーベル賞受賞者を招へいすることもできるでは
ないか」といった主旨でした。私は反論して、「ノーベル賞受賞者
を招へいするには、相応の財政負担が必要となるので、相当な教官
職などを犠牲にしなければならず、非現実的である」と述べました
が、理解してもらえなかったように思います。

●旧帝大には独法化の是非は訊かず

 実はその1週間前にも、旧帝大の総長3名が同じように文教部会
に呼ばれて意見を述べていました。あとで記録を取り寄せて見てみ
ますと、この時には、高等教育政策についての意見陳述が求められ
ていましたが、独法化については全く意見を聞かれていないのです。
われわれ3人だけに独法化についてどうかということで、旧帝大の
総長には全く独法化についての質問もなければ、話題もされなかっ
たと、こういうことのようであります。これは、注目すべき大きな
問題であります。

 以上のことからわかったことは、国大協の学長の間にも、全く異
なる考えがあったということです。これはもう皆さんにはっきりと
認識していただきたいと思います。それからもう1つは、旧帝大総
長には独法化についての意見を聞いていないということです。これ
は陰に隠れた大きな意図があったことを示しています。その後の流
れを見ても、政治の世界にはこういうふうな極めてどろどろしたも
のがあるという感じを強く受けたのです。そういう意味から、われ
われはよっぽどチェック機能を十分発揮させなければいけないので
はないかということ、きょうのこのような会議は、そのチェック機
能を果たす意味で大切な会であろうということを強調したいと思い
ます。

●自民党政務調査会、文部大臣表明、「賢人会」をターゲットに

●「地域交流ネットワーク」の提唱

●市場原理主義思想のバブル

 国会議員の方々や政財界の人たちとの懇談の中で感じたことは、
それは大学人の場合もそうですが、時代の流れであります。それは
何かというと、多くの人達が新自由主義の流れの中で市場原理主義
という考えに一様に陥っている。みんなが1つの方向だけにしか向
いていない。つまり思想バブルに陥ってしまっているのではないか
ということです。もういろんな人と話をしました。例えば国会議員
の方々とは、十数枚の資料を用意して行って、1人につき数時間に
わたって議論しました。マスコミの方々にも興味を持っていただい
て、全国紙や地方紙の記者とも大いに弁じたわけでありますが、知
識人として、あるいは知的なものが中心であるべき職業の人たちが、
独自の考えをもたず多くの人々が新自由主義、それから市場競争原
理、一定の方向に向かっている。そういうふうな印象を受けたので
す。もちろん大方の政治家の方々の意見もそうであります。私は、
バブルですから早晩これははじけるだろうと思っていますが、ソ連
邦崩壊後の世界のなかにおいて、大きなこういう流れがあるという
ことを、われわれはきちんと認識しなければならないと思います。
今から先、こういう世紀の世界的潮流について、みんなで検討して、
情報を共有していかなければいけないというのが重要課題の1つで
あると考えます。

●現場主義の教育研究を

 もう1つ感じたことを申し上げますと、この国立大学法人法の問
題は、これで終わったわけではありません。歴史のなかの一コマで
あり、問題はこれから始まるわけです。問題は必ず出てくるはずで
す。大学人が、学問の本質に沿って理性の目でそれをきちんと見分
けることができるかどうか。それから権力、暴力に対して、それを
きちんと跳ね返せる力があるかどうか。そこでもって決まってくる
と思うわけです。そのためにはまず時代の流れ、現実をふまえた教
育のありかた、教育哲学をしっかり確立しなければなりません。

 そこで先ほどの現場主義が出てくるわけですが、教育の上での現
場主義。教育を巡る社会環境は時代とともに急速に変わりました。
18才人口の50%もの人たちが大学に入ってくるので、そういう学
生たちのモチベーションがない状態がある。ダブルスクールの問題
がある。いろいろな問題がある。それをわれわれ、高等教育を行う
者として何をやるべきか。そして実際に、お題目ではなくて、具体
的に何をすればいいのか。今まではお題目ばかりだったと思うんで
す。私どもが提案したのは、大学の学生や教育、研究者が、社会の
現場に行って、そこでもって問題をとらえ、解決する、モチベーショ
ンを高めるということです。考えてみると、学生は、大学で勉強し
ていますが、実際身をもって問題に対処するのは社会に出てからで
す。社会に出て現場を経験するということは、彼らのモチベーショ
ンを高めることにもなるのです。

 大学人が国立大学法人制度の運用においてチェック機能を果たす
ためには、時代にふさわしいしっかりした高等教育、あるいは学術
研究に対する哲学をもたなければならないと思います。

●分断に抗するネットワークを

 もう1つ大事なことは、独法化が今後だんだん具体的に進むこと
によって、いろんな問題が出てくる。それは大学、学部、学科によっ
て、ケースバイケースで違ってくるわけです。そういうことを考え
ますと、お互いが問題を共有化することが大事だと思うんです。も
し、仮に私が制度の管理者、支配者だとすると、各大学を分断して
支配することが一番楽なわけです。分断して競争させて支配する。
これはだれでもできるわけです。この国の高等教育制度とその運用
は、意図した結果かどうかは別として、そういう方向にもう既に進
みつつあるのです。

 それに対抗するには今日のこのような会議が重要です。豊島先生、
小沢先生、辻下先生をはじめ、問題意識を持った人、意欲のある人、
そしてしかも問題を世界的なレベルでとらえる、そういう核になる
人、あるいはグループ、そういう人たちが、北は北海道から、南は
沖縄、鹿児島に至るまで、いろんなところにそういう役割を果たす
人達がいて、お互いにネットワークをつくる。それぞれ活性化した、
そして高い立場からものを見る形でネットワークをつくって、それ
をリナックス型のようににどんどん育てあげ、皆さんにそれを自由
に使っていただくことが必要ではないか。私も皆さんからの情報を
利用させてもらっており感謝しています。

 そろそろ時間がまいりましたので終わりますが、私たちは忍耐を
持って進まなければなりません。真理に基づく学問は、政治、経済
の変動の中にあっても必ず勝つということを念頭にしっかり頑張っ
ていく。その核になる方々がきょうお集まりになっているんじゃな
いかと思います。

 以上、独法化問題に関する活動の一端をご報告し、あわせて皆さ
んへのメッセージを述べさせて頂きました。ありがとうございまし
た。(拍手)

【1-3】 田原博人氏(宇都宮大学学長)
議論の少ない国大協/個人と学長の狭間で
http://pegasus.phys.saga-u.ac.jp/znet/sympo030927/session2p.html#Anchor30740576

【田原】   宇都宮大学の田原です。ひと言というと、何をひと言と
難しいですけれど、田中先生の話とオーバーラップしないような話
で、ひと言付け加えさせてもらいたいと思っております。私自身は、
まだ学長になってから2年もたっていません。マスコミの中にはす
ともう随分古くから学長やっているという感じのことを言う人がい
ますけれど、学長になってすぐいろいろ発言していたので、そうい
う印象を持たれたのかと思っています。 私は地方の小さい大学で
すから、田中先生は理事だとかいろいろ、国大協の中枢にもかかっ
ておられたかもしれませんが、私たちはどちらかと言ったら一般大
学で、国大協の動きのなかで、総会等を通じて発言するしか機会が
なかったんです。国大協についての皆さん方のここでの話を聞いて、
ある意味で針のむしろに座るような感じでずっと聞き入っていたわ
けです。

議論の少ない国大協

 田中先生と私とは、半年くらいオーバーラップして、その間国立
大学の在り方について田中先生の考え方には、非常にぼく自身一致
するところがあるものですから、いろいろと先生とお会いしたり、
お話ししたり機会が多かったんです。そういう意味で、田中先生の
後任者のような感じで国大協の方々が思っていますけれど、恥じな
いように頑張っていかなきゃいけないかなというふうに思っており
ます。

 ただ、国大協のこの間の動きですが、私が学長になって、もちろ
ん法人化の方向が確定したなかでの学長ですから、そこを蒸し返す
ような発言はほとんどできませんでした。従って反対というか、反
対運動を展開するというような状況のなかではなくて、要するに国
立大学はなにも発言していないというふうにぼくには思われていた
し、ましてや社会に対して、何も責任を取っていない、大学として。
こういう理由で法人化になるんだという意見も聞いていないという
ようなことがありましたので、少なくとももう少し学長が意見を出
し合いながら、どういう部分が反対で、どういう部分が賛成、ある
いは今の制度のなかで、一体何ができて何ができなかったから法人
化になったら何ができるんだというふうに、もっとものごとの分析
をきちっとして、そのなかで法人化が本当にいいのかどうかという
のを議論すべきであるんだということを思って、いろいろと発言を
させてもらったりはしているんですけど、何せ、非常に意見が少な
いです。

 田中先生、それからまたさらには静岡大学の佐藤先生達が、辞め
られたということで、論客がどんどん少なくなり、それで余計目立
つような状況になっているわけですけれど。ただ、じゃ孤立してい
るかというと、そうでもないんですね。発言したあと、懇親会等が
あると「田原先生の発言に賛成なんですよ」というふうに言われる
学長もたくさんおられますので、賛成だったらなんで総会のときに
発表してくれないんですかというふうに思うのですけれど、何かわ
からないのですが、要するにやっぱり発言をするというのが怖いの
かどうかわかりません。

個人と学長の狭間で

 実は、そこが非常に大きな問題があって、学長、私もそうですけ
れど、例えば国会なんかで野党側の参考人はどうですかという話、
私のところにいくつか来ました。いくら私でもちょっと、現職の学
長が、野党側の代表でやるのはということでちょっとびびって、結
局は出席はしませんでしたけれど。結局みんなといろいろ相談する
と、何かやっぱり怖いんですね。何かそういう国の方針に反対をす
ると、しっぺ返しがあるんではないかというのが、ひょっとしたら
幻想かもしれませんけど、強く抱く。周りも抱くんですね。従って、
私は個人的ならいくらでも発言するんですけれど、学長という立場
は大学を代表しておりますから、その大学にどういう被害が被るか
というふうになると、不安があって、なかなか発言できない。とい
うことで、多くの学長が発言をほとんどしないという状況は、共通
的にはそういうことがあるのかなという気はしています。

 しかし、そう言ってもおられないので、話が冗長になってしまい
ますけれど、いろいろな段階でやらなきゃいけないと思います。た
だ、そうは言いながら、ぼく自身がちょっと矛盾を感じているのは、
法人化になると問題がありますよというふうに展開してきたんです
ね。実際法人化になってまずくなったら、学長でなかったら、それ
見たことかというふうに言えるんですがね。ですけど学長となると、
頑張らなきゃいけないですね。それで今以上に大学を発展しなきゃ
いけないんです。そうするとその意味では、それ見たことか、法人
化になったために、非常に大学がよくなっているんではないかとい
うふうに言われます。

 ぼくが学長になってすぐ、地域関係のいろいろな人たちと話をし
たりします。その時期と、法人化になるというタイミングが合って
いるものですから。大学をどうしましょう、こうしましょうといろ
いろ話す。別にぼくは法人化になろうがなるまいが、全然関係なく
やるべきことを言っているんですけれど、社会の受け取り方は、大
学は法人化になるので、非常に頑張っているんだなというふうに理
解されるんですね。

    (中略)

 しかし、失敗することはできませんので、いい形でどう進むかと
いうことについては、限られた任期のなかで頑張っていくしかない
ということがあります。ただそのときにいつもバランス感覚を失っ
てはいけないということです。こういう機会にも、本当は学長だっ
て参加してもおかしくない。実際こういう会があるということを知っ
ておられないからかもしれませんけど。私はよく知っている田中先
生だとか、池内さんとか、いろいろおられますので、そういう意味
も含めて参加させてもらいたいと思いました。こういうような席で
のいろいろな考え方のなかで、大学の運営とか、あるいは国大協の
今後の在り方とかに参考させていただき微力を尽くしてやっていき
たいなと思っております。以上です。ありがとうございました。
(拍手)

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【1-4】井上淳氏(東工大教授)
http://pegasus.phys.saga-u.ac.jp/znet/sympo030927/session2p.html#Anchor30805917
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「・・・・・・今の話で、そのジレンマのことですね。その部分と
いうのは、実は多分、最後の戦艦大和の出撃、空気の支配(*1)
という話がありましたが、そういう問題だと思うんですね。あるい
は中野不二男という人がいて『カウラの突撃ラッパ』(*2)とい
うやつを書いているんですね。同じパターンなんですね。結末はど
うなるかというと、それについて早くからわかった人ほど早く殺さ
れるんです。ただ『カウラの突撃ラッパ』のときは自殺させられる。
それが日本の社会なんです。全然変わってないんです。今まで過去
のそういう歴史を見る限り、このままいってつぶれるまでは、「ど
う生きるか、駄目かもしれない」ぐらい今は本当にひどいことだと
僕は思っているんですね。

 それはなぜかというと、その大本をたどりますと、結局大学とは
何かということも全部遡って(考え)なきゃいけない。例えば大学っ
てなぜ中世において認められたかというと、反対意見というものを
温存していかないと、最終的には結局社会にとって損であるという
ものが、民衆を含めて、全部のなかに出てきたわけですね。それは
多分スコラ哲学を通して、多分教会のなかで出てきた。日本では教
会もないし、何もないし、みんな受け入れてやってきたんですね。
そうするとこういう(社会からの必然性)の(部分)が非常に弱い
わけで、例えば今言われたようなことが起こるということも、大正
デモクラシーがなぜつぶれたかという(事柄とも)、みんな似てい
ると思うんですね。全然僕は変わってないと思うし、今唯一変わっ
たのはインターネットだけです。だから要するに情報を密にする可
能性があるというだけなんです。ほかのことは何も変わってない。
全然変わってない、メンタリティーも変わってない、民主主義も何
もできてない。その状態のときにどうするか。だから、私はもしそ
の学長の立場だったら辞めますね、もう。ほかに方法がない。あと
はいいものを残すためには、アメリカが嫌いであっても、(アメリ
カにでも送って)温存するために残しておく、そういう操作をして、
ともかく被害を最小限に食い止めるための努力をどうしたらいいか
ということしか考えられない。今は遼源の火が燃えわたるようにずっ
といってるわけね。それを止めることは多分難しくて、絶対(発言
すべき時でも)発言しないです。・・・・・・」

#編集人註
(*1)http://www5a.biglobe.ne.jp/~NKSUCKS/kuuki.html
「空気の研究」/山本七平/1983年、文春文庫 より

「・・・むしろ日本には『抗空気罪』という罪があり、これに反す
ると最も軽くて『村八分』刑に処せられるのであって、これは軍人・
非軍人、戦前・戦後に無関係のように思われる。『空気』とはまこ
とに大きな絶対権をもった妖怪である。一種の『超能力』かも知れ
ない。何しろ、専門家ぞろいの海軍の首脳に、『作戦として形をな
さない』ことが『明白な事実』であることを、強行させ、後になる
と、その最高責任者が、なぜそれを行ったかを一言も説明できない
ような状態に落とし込んでしまうのだから、スプーンが曲がるの比
ではない。」

「われわれは常に、論理的判断の基準と、空気的判断の基準という、
一種のダブルスタンダードのもとに生きているわけである。そして
われわれが通常口にするのは論理的判断の基準だが、本当の決断の
基本となっているのは、『空気が許さない』という空気的判断の基
準である。大和の出撃はそのほんの一例に過ぎない。」

(*2)「カウラの突撃ラッパ  零戦パイロットはなぜ死んだか」
中野不二男著 1984 文芸春秋社
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4167279061/
参考:http://www1.odn.ne.jp/kminami/sub16.html


━ AcNet Letter 24【2】━━━━━━━━━━ 2003.11.14 ━━━━

首都圏ネット声明2003年11月13日 
国立大学関係予算の削減計画について
http://www.shutoken-net.jp/web031112_4kyodo.html
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━ AcNet Letter 24【3】━━━━━━━━━━ 2003.11.14 ━━━━

共同通信ニュース速報:松山大学長が12月に退任へ
http://www.shutoken-net.jp/web031112_4kyodo.html
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関連記事:2003.8.19
http://www.ac-net.org/dgh/blog/archives/000093.html

━ AcNet Letter 24【4】━━━━━━━━━━ 2003.11.14 ━━━━

伊豆利彦氏メールマガジン「日々通信 いまを生きる」
http://homepage2.nifty.com/tizu/tusin/@nt@.htm

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【4-1】第1号 2001年9月22日
http://homepage2.nifty.com/tizu/tusin/nt1.htm
───────────────────────────────

「私が生きているうちにこんな時代を迎えようとは思わなかっ
た。そして、私はやがて七十五才になろうとしている。・・・
いま始まったこの時代の行く末を、その結末にいたるまで見
極めることは出来ない。

このような時にめぐりあって、いままで読んできた漱石や啄
木、芥川、その他多くの作家たちの言葉が新しい意味をもっ
てよみがえってくる。歴史や人間があらためて新しく見えて
くるような気がする。

・・・・・・ホームページという自由な言説な空間は私の精
神を解放し、新しい可能性を開いてくれた。そして私は、さ
らに日々の断片的な思いを、断片的に書き記し、人びとに伝
えたいと思うようになった。ご迷惑かも知れないが、随時私
の思いを書き送りたいと思う。もし、感想や意見を寄せてい
ただければありがたい。なお、私にこの決心をさせたのは、
日文協近代部会の「葦の葉」がメルマガの形式で発行される
ようになったことである。

この通信を受取った方がお友達に広げていただければありが
たい。紹介してくださるかたのメールアドレスを知らせてい
ただきたい。皆様のご支援で読者を拡大し、出来るだけなが
くこの仕事を続けたいと思う。よろしくお願いします。

私のメールアドレス fwie8781@mb.infoweb.ne.jp
ホームページ http://homepage2.nifty.com/tizu/

───────────────────────────────
【4-2】第80号 2003年11月11日
───────────────────────────────

「・・・・・・そして、いまは思うのだ。いくら批評しても、
意見を述べても、ほとんど、彼らは聞く耳をも持たないのだ。
馬耳東風というのだろうか、蛙の面になんとかというのだろ
うか。

 某教授はいくらいっても聞かれないのだから、自分は隠者
になって、ひたすら論文を書くのだと言っていた。

 つまり、こうした無気力感が教師たちを支配している。

 この<改革>の進め方が、<生まれ変わった>大学のやり
方なのだ。そして、教員は無気力になり、ひたすら、自分の
業績つくりに集中する。どんな改革でも、その当初はもっと
勇み立つものがあるのではないだろうか。この無気力化こそ、
この改革の本質なのだ。

私は1933年の滝川事件を思い出す。
あれから、どどっと戦争の泥沼に突入したのだ。
大学の自由が奪われるのは、国民の自由が奪われることなのだ。
自由のない大学、国家や、行政に従属するとき大学は死ぬのだ。
・・・・・・

市大改革について(大分前に書いた私の意見です)
http://homepage2.nifty.com/tizu/keireki/kaikaku.htm

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編集発行人:辻下 徹 admin@letter.ac-net.org
ログ:http://letter.ac-net.org/index.php
趣旨:http://letter.ac-net.org/intro.php
#( )の中は編集人コメント、「・・・・・」は編集時省略部分
登録と解除の仕方:http://letter.ac-net.org/s.html