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『沖縄タイムス』社説 2003年10月21日付 国立大法人化 見直しへ道筋まだ見えぬ 国立大学はどう生まれ変わるのか。来春から法人として再スタートする国立 八十九校の、六年間の教育研究や組織運営の指針をまとめた中期目標・中期計 画の原案が出そろった。 法人化が大学改革への正念場となるのは間違いあるまい。少子化が進んで受 験志望の数は確実に減ってくる。一方で、進学率は50%に近づき学生の多様 化も著しい。 すでに始まっている私立や公立を含めての、「生き残り」をかけた学生の獲 得競争が激しくなるのは避けられないだろう。 時代や地域にマッチする大学像をどう打ち出し、実現に向けた試みを積み上 げていくのかが大学には問われる。国立というだけではくくられない、独自の 大学カラーがこれまで以上に求められるのではないか。 確かに、法人化は原案をもとに文部科学相が各大学の中期目標を策定し、そ れに基づいた計画も認めるシステムだ。計画の達成度が評価対象となって国か らの予算配分にも影響する。 今までにも増して文科省の締め付けが強まる、との懸念も根強いものがある。 法人化で大学がよくなるかとの質問に、半数近い国立大学長が「分からない」 と答えているのも現場の不安を反映したものであろう。 しかし法人化は目前に迫る。どう研究水準を維持し多様化する学生への教育 に取り組むかも急がなければならない。見直しへ手をこまねいては厳しさを増 す現実に取り残される。 各大学の中期目標の原案からは、権限が強化される学長のリーダーシップを てこに大学運営と研究・教育の見直しに取り組む意図が浮かび上がる。 その手だてとして挙げるのが、八割の大学が導入する学生の授業評価や地域 に密着した研究・教育の推進であり、「飛び入学」の拡大、論文や面接などで 人物重視の選抜をする「AO(アドミッション・オフィス)」の採用など入試 制度の見直しである。 琉球大学は、亜熱帯や島しょ・海洋性という地域特性と、英語教育に力を入 れ国際性に富んだ世界水準の教育研究を創造する大学を目指すという。 高い理念を掲げるのは良いことだ。だが、重要なのはそれを実現する道筋と 具体的手だてである。教職員の意識改革や学生の理解を得るのも必要だ。地域 社会の協力も欠かせない。 法人化は半年後に迫っている。大学当局は、どのように大学改革を進めて未 来の大学像を実現しようとしているのか。生まれ変わる大学の姿を、もっと受 験生や県民、地域にアピールするのも大学の大切な責務である。 |