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新首都圏ネットワーク

毎日教育メール 2003年10月31日付

 国公立大学の再編統合 関西地区の情勢


 国立大学の独立行政法人化に伴い、国立大学の再編統合が本格的に動き出し
た。10月1日付で、全国20の国立大学が統合され、新たな10大学として
発足した。その多くが香川大学+香川医科大学、島根大学+島根医科大学など
のように、昭和50年代の1県1医大構想で設立された医科大が地元の国立大
と統合したケースだ。

 関西では、神戸大学と神戸商船大学が統合し、新しい神戸大学が誕生した。
新生神戸大は旧神戸商船大を引き継ぐ海事科学部が新設され、全11学部に。
海事科学部は旧神戸商船大のキャンパス(神戸市東灘区)をそのまま引き継い
だ。

 国立大学の統合に歩調をあわせて、公立大学でも統合が始まった。兵庫県の
神戸商科大学、姫路工業大学、兵庫県立看護大学の三つの県立大学が来年4月
に統合され、兵庫県立大学(本部・神戸市中央区)として発足する。3大学5
学部の現体制から6学部、5キャンパス、学生数約1250人の総合大学にな
ることによって、情報化、産学連携など新しいニーズに対応し、大学間競争の
生き残りを図る狙いだ。

 同じような目標を掲げて、再編統合を進めているのが、大阪府立大学。昨年
12月、大阪府は2005年4月開学をめざして、大阪府立大学、大阪女子大
学、大阪府立看護大学の3大学を統合、“公立大学法人”の新生府立大学とし
て発足させる「大学改革基本計画」をまとめた。現府立大キャンパス(大阪府
堺市)を本拠に7学部・6研究科でスタートする予定で、基本計画では、大学
院を重視した高度研究型大学としての展開を図るという。

 国公立大学の再編統合は来年度以降も続く見通しで、京都府立大学と京都府
立医科大学のようにまだ構想段階のものや、既に実現に向けた協議が進められ
ているケースなどさまざまな動きが出ている。

 統合協議がスタートしながら、合意形成が難航しているのが京都工芸繊維大
学、京都教育大学、滋賀大学、滋賀医科大学の4大学。滋賀大と滋賀医科大の
統合構想が発展したかたちだが、それぞれの思惑が絡んで、実現のめどが立っ
ていない。とくに京都教育大と滋賀大にはそれぞれ教育学部があるため、その
再編が焦点となっている。

 文部科学省は国立大学の再編統合を進めるにあたり、教員養成大学の学部再
編を重点課題としている。京都教育大と滋賀大の統合もその方向に沿ったもの
だが、統合した場合の教育学部キャンパスをどちらに置くか、教員養成のため
地元の学校現場との連携をどう維持するかなどで意見がまとまっていない。さ
らに京都教育大などの付属学校の位置づけも議論となっている。