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新首都圏ネットワーク


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Academia e-Network Letter No 12 (2003.10.018 Sat)
http://letter.ac-net.org/03/10/18-12.php

━┫AcNet Letter 12 目次┣━━━━━━━━━ 2003.10.18 ━━━━

【1】 89国立大の中期目標・中期計画原案公表
http://www.ac-net.org/dgh/blog/archives/000217.html

【2】 名古屋大学平和憲章(1987.2.5制定)
http://village.infoweb.ne.jp/~fwkh0237/kensho.htm
http://www.ac-net.org/dgh/blog/archives/000218.html

【3】朝日:「大学改革―危機を抜け出せるか」より
連続シンポジウム「転機の教育」第3回2003年9月26日
全記録:http://www.asahi.com/sympo/kyoiku3/index.html

【4】アレゼール日本編「大学界改造要綱」の紹介 3. 抜粋 2/2
「科学・社会・人間」2003年4号(No 86、2003.9.15発行)p44-52、
http://ac-net.org/doc/03/826-areser.php

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━ AcNet Letter 12 【1】━━━━━━━━━━ 2003.10.18 ━━━

89国立大の中期目標・中期計画原案公表
http://www.ac-net.org/dgh/blog/archives/000217.html

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北海道新聞10/17:国立大法人化 数値目標明示は少数 道内は地域連携重−中期
目標原案
http://www.hokkaido-np.co.jp/Php/kiji.php3?&d=20031017&j=0046&k=200310176886

読売新聞10/17:国立大89校、医師合格率など“公約”の中期計画素案
http://www.yomiuri.co.jp/main/news/20031017i201.htm

asahi.com 10/16 国立大、「飛び入学」など法人化機に一段と多様化へ
http://www.asahi.com/national/update/1016/037.html


━ AcNet Letter 12 【2】━━━━━━━━━━ 2003.10.18 ━━━

名古屋大学平和憲章(1987.2.5制定)
http://www.ac-net.org/dgh/blog/archives/000218.html

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http://village.infoweb.ne.jp/~fwkh0237/kensho.htm
http://kyoshoku.coop.nagoya-u.ac.jp/kakehashi/0201/36p.html
#(現在、名古屋大学の公式ホームページには置かれていない。)

「・・・・・大学は、政治的権力や世俗的権威から独立
して、人類の立場において学問に専心し、人間の精神と
英知をになうことによってこそ、最高の学府をもってみ
ずからを任じることができよう。人間を生かし、その未
来をひらく可能性が、人間の精神と英知に求められると
すれば、大学は、平和の創造の場として、また人類の未
来をきりひらく場として、その任務をすすんで負わなけ
ればならない。」

冨田宏治氏サイトより:
http://village.infoweb.ne.jp/~fwkh0237/

「この「名古屋大学平和憲章」は、1987年2月5日、
名古屋大学全構成員の58 %の批准署名に基づき、全
構成員の名において制定されました。当時法学研究科の
大学院生であった私は、制定実行委員会事務局長として
制定に関わりました。この憲章は、今でも私の研究生活
の「生きてはたらく規範」でありつづけています。」

━ AcNet Letter 12 【3】━━━━━━━━━━ 2003.10.18 ━━━

朝日:「大学改革―危機を抜け出せるか」より
連続シンポジウム「転機の教育」第3回2003年9月26日
テープリライト記録:http://www.asahi.com/sympo/kyoiku3/index.html
http://www.ac-net.org/dgh/blog/archives/000213.html

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川本八郎氏(立命館理事長)
「・・・・・少なくとも日本国憲法の前文に書かれているここを、
私、これから読みますから、反対の方は日本の国民には誰一人いな
いと思う。それは、「われらは、平和を維持し、専制と隷従、圧迫
と偏狭を地上から永遠に除去しようと努めてゐる国際社会において、
名誉ある地位を占めたいと思ふ」と言っているんです。
 まさに、国際的観点で、日本の国民がこれから社会をつくってい
く、国際社会をつくろう、どういう位置を占めようかということを、
憲法の前文は言っとるんです。
 この観点から照らして、私ども大学人は、本当にそういう具合に
大学のありようと運営と改革を議論しているのか。・・・・・」
http://www.asahi.com/sympo/kyoiku3/09.html

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清成忠男氏(法政大学理事長兼総長)「・・・・・多分、今回の法
人化が到達点ではなかろう。むしろ、旧帝大とか一橋とか東工大と
いう大学に蓄積された人的資源やストックを十分に活用するには、
やはりより民営化を進めるべきだろうと思います。・・・・・」
http://www.asahi.com/sympo/kyoiku3/12.html

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川本八郎氏「・・・・・私は、私学で実際やってきて、あまりにも
もろもろの差別がひど過ぎる。もっと本気で、日本の国全体で高等
教育を活性化させようとしたら、その点を改善していくということ
をしなければ、日本の大学全体が燃えない。改革ということは、私
は燃えることだと思うんです。そういうぐあいに音頭を取るのが本
来、文科省でなければならない。ここに文科大臣がいないのに、あ
んまりこんなことばかり言ってもあれですが、おまえ、ひとりよが
りで怒っとるなと言われるかもしれませんが......。しかし、率直
に言ってそう思います。ちょっと皆さん、応援頼みますよ。・・・
・・」 http://www.asahi.com/sympo/kyoiku3/13.html

━ AcNet Letter 12 【4】━━━━━━━━━━ 2003.10.18 ━━━

アレゼール日本編「大学界改造要綱」の紹介 3. 抜粋 2/2
「科学・社会・人間」2003年4号(No 86、2003.9.15発行)p44-52、
http://ac-net.org/doc/03/826-areser.php
cf: 1: http://ac-net.org/kd/03/930.html#3
2: http://letter.ac-net.org/03/10/04-1.html#2

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■大学間格差 p96 (水島和則)

「米澤らの分析では、学生一人あがりの消費支出では国立大学の分
布と私立大学の分布とが重なり合っていて、国立/私立といった設
置者の違いは、大学の経済的な教育条件を示す指標として十分なも
のではなくなっているのである。したがって、「国立大と私立大の
格差を解消する」といった粗雑な問題設定は現実から乖離しており、
大学改革の指針とならないことは明らかである。むしろ先の非常勤
講師の例でいたように、格差の歪みによって誰がしわ寄せを受けて
いるのかを明確にすることこそ大きな課題である。」

■大学人の不平等 p102(藤本一男)

「専業非常勤講師問題と並んで、日本の大学政策の矛盾が顕著に
現れているのが、大学院生(とりわけ後期博士課程およびオーヴァー
ドクター)問題である。1980年代に準備され1991年から推
進された大学院重点化方針の結果、大学院生の数はこの10年で倍
増したが経済合理化政策の同時的導入で教員ポストの量自体は縮減
されている。つまり大学教員市場の需給バランスが完全に崩壊して
いるのだが、この国家レベルの失策を文部科学省や経済産業省は認
識していない。」

■大学人の不平等 p104(藤本一男)

「以上のような苦労のゴールにあると期待されている専任教員の現
状がどうかと言えば、これまた市場圧力によるさまざまな困難に直
面している。任期制導入、教職員削減と改革業務による労働強化
(教育・研究への足枷)、トップダウン方式による人事権・自治権
の弱体化および剥奪(教授会、教室などの中間集団の弱体化・崩
壊)、学生評価・外部評価の導入による教育・研究への近視眼的業
績圧力、大学院重点化がもたらす指導学生の過剰、大学院教授昇格
にまつわる大学間格差ーーその他、学問の自由の「理念」を脅かす
数多くの問題が山積みであるが、枝葉末節をあえて暴力的に捨象し、
その根幹的問題だけを抽出すれば、そこに見られるのは、新自由主
義へと傾斜した政官財癒着構造が押し付ける、公正な競争とは程遠
い不平等競争、安上り教育研究政策であり、さらにその「安上り不
平等政策」を糊塗する市場合理性と評価性と不均衡な説明責任(中
下層の人々には説明責任を義務つけながらも、その義務を課す上層
部は説明責任を実践しない)などの新自由主義的イデオロギーであ
る。また、このイデオロギーは、上述してきた大学空間を構成する
各階層のルサンチマンのリアリティを原動力にもち、各大学人の意
識下レベルで分断統治のヘゲモニーを起動させるだけになおさら始
末におえない。」

■研究者養成に絡む諸矛盾 p112 (中村征樹)

「長期的な視野と展望を欠落した、場当り的な高等教育政策の一
番の犠牲者となっているのが、若手研究者、あるいは研究者予備軍
の人々である。日本の高等教育システムは、彼らに矛盾を一元的に
押し付けることによって成立している。」

■研究者養成に絡む諸矛盾 p121 (中村征樹)

「そのような政策のなかでも、非常に優秀なポスドクを対象に
「助教授なみ」の待遇を提供するものとして2003年度から設置
されることになった「スーパー特別研究員制度」(研究奨励金月4
6万8千円、研究費年間300万円以内)は、問題の所在を根本的
に見誤っているというほかない。その恩恵を蒙るとができるのは、
新規採用者でわずか12名に過ぎない。しかしむしろ目指されるべ
きは、そのようなかたちでごく少数の人々に格別の研究環境を提供
するとよりも、支給額を多少、圧縮するとしても、より多くの人々
がその恩恵をこうむることができるような制度を構築することでは
ないだろうか。・・・競争とは、わずか6%の人だけが恩恵を蒙れる
のではなくして、せいぜい3〜5倍程度の競争率でより到達可能な
目標として設定されている場合にこそ、その効力を発揮する」

■職業専門教育への傾斜と就職問題 p156 (大前敦己)

提言「大学教育は、一元的な市場原理に委ねた企業側の経済要求に
従属する「改革」を受け入れるのでなく、より高度で成熟した多元
的価値の尊重に基づく民主社会形成を目指して、「知識」を基盤と
する対話を可能にする中心的役割を担うこと。そうした対話を通じ
て自立した思考力を持つ個人を育てることにより、大学はもとより
企業や社会も刷新していくことができる場を整備する必要がある。
従来型の「会社人間」ではなく、角は立つが真に個性的で創造的な
人材が求められるようになれば、大学教育への期待はいっそう増す
であろうし、学生のモーティベーションも見違えるほと高まるであ
ろう。これが建前に終始したまま、もっぱら需給関係に頼る市場主
義に移行することほど最悪の選択はない。」


■生涯学習 p160 (藤本一勇)

「生涯学習概念の多様化は市民社会の成熟にとって重要である。大
学はみずからをも含めた一部の業界利益に内向・閉鎖することなく、
外部の市民社会との接点と境界で絶えずみずからの存在理由を再確
認しなければならない。産学連携やリカレント教育だけに特化した
大学はもはや大学ではなく、研究所や専門学校である。むろん、そ
れらの政策的、経済的機能の一翼を担うことも大学の役割の一つで
あろう。しかし、もし大学が大学たろうとするならば、それ以外の
社会関係資本や文化資本上の役割、あるいは、理念的公共空間とし
ての役割を放棄してはならないのではなかろうか。前者のために後
者を縮小したり抹消するのではなく、両者をともに確立・発展させ
てゆくことこそが、大学本来の機能であろう。生涯学習もそのよう
な多角的な観点から大学空間の公共性の問題として理解され、実際
的、個別的に展開されてゆく必要があると思われる。」

■あとがき p338 (岡山 茂)


学界が抱えるさまざまな問題について議論をした。そして官僚と結
んでいまのばらばらな大学界を牛耳っている「ビッグ・ブラザー」
に対抗できるような、真の意味で自律した大学界を創造するにはど
うすればよいかを議論した。そしていま、この「アレゼール日本」
を広く社会に向けて開かれた運動としていくために、出会いの環を
さらに拡げていくことを考えている。大学関係者、つまり教員、職
員、学生、その父母ばかりでなく、本書を、文部科学省の方々にも
読んでいただけたら幸いである。・・・2003年3月26日」

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編集発行人:辻下 徹 admin@letter.ac-net.org
ログ:http://letter.ac-net.org/index.php
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#( )の中は編集人コメント、「・・・・・」は編集時省略部分
登録等:http://letter.ac-net.org/s.html