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国立大10組20校が10月統合 県境越えの再編はなし


共同通信ニュース速報

 国立大二十校が十月一日、十校に統合される。文部科学省が再編
・統合を強く促したことを受けた動きで、昨年の二組四大学に続く
統合となる。しかし、同じ県内の総合大と単科大の組み合わせが多
く、県境を越えた統合は地元の調整が難航、まだ実現していない。
 今回の統合で、現在九十七校の国立大は八十七校になる。今回の
十組のうち、総合大と医科大の組み合わせは七組に上っている。
 「大学の名前がなくなる心理的影響は大きい。学内調整に苦しん
だ」。九州大と統合する九州芸術工科大の滝山龍三学長は振り返る

 国立で唯一の芸術工学部を持ち、卒業生は設計やデザイン、音響
など多彩な分野で活躍している。「学内のまとまりや風通しの良さ
はどこにも負けない」と滝山学長。
 しかし「小大学の悲哀もあった」と言う。教員数は九州大の約二
千二百人に対し約百人。「少人数では研究が狭い分野にこもりがち
。規模を大きくすれば、学生も幅広く学べる」と力説する。
 旧帝大として初めて統合する九州大の中野仁雄副学長も「感性に
根差す芸工大の教育を全学に広げたい」と期待する。
 一方、九州芸工大の学生からは「実感がわかない。キャンパスも
離れているから」(四年女子)と冷めた声もある。
 文科省が再編統合を打ち出したのは二○○一年六月。昨年十月に
山梨大と山梨医大、筑波大と図書館情報大の二組が、国立大として
戦後初めて統合した。
 山梨大の吉田洋二学長は「研究が幅広くなり、教員の一体感も出
てきた。大学としての総合力はアップした」と話す。
 今回の統合以降、再編が具体的に決まっているのは富山大、富山
医科薬科大、高岡短大の三国立大が○五年十月に統合することだけ

 ○四年十月の統合を予定していた埼玉大と群馬大は、○五年十月
に目標を延期。初の県境越えの組み合わせで注目されたが、教育学
部を埼玉大に集約する案に群馬の教育界が反発し、調整が続いてい
る。
 滋賀大、滋賀医大、京都教育大、京都工芸繊維大の四大学も協議
中だが、関係者は「来春の法人化準備で手いっぱいで中断している
」と明かす。
 文科省も当初の強い姿勢から「地元感情を無視できない」(幹部
)と協議を静観する方針に転じており、「統合は今後はあまり広が
らない」との推測も出ている。
(了)
[2003-09-28-15:51]