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国立大病院の事故報告39件 02年度、文科省が開示


共同通信ニュース速報

 全国に四十二カ所ある国立大病院から二○○二年度に報告された
医療事故は三十九件で、前年度の四倍に急増したことが十二日、共
同通信の情報開示請求に対し、文部科学省が公開した医療事故報告
書で分かった。患者への影響が軽微なケースも含まれていたが、患
者の死亡につながったケースも六例に上った。
 鼻から入れた気道チューブが脳に刺さった琉球大のほか、金属製
ノミの破片を頭がい骨内に置き忘れた高知医大など、重大なミスで
も公表していないものも目立った。国立大病院は○一年に「明白な
ミスは原則公表」との指針を作成したが、透明化が徹底されていな
い実態が浮かんだ。
 文科省医学教育課によると、国立大病院に事故報告の義務はない
が、一九九九年に起きた横浜市大の患者取り違えなどをきっかけに
報告されるようになった。二○○○年度は十四件、○一年度は九件
で、○二年度になって急増した。
 高知医大では○二年九月、脳外科手術中に頭がい骨に刺したノミ
の先端部を破損、破片(幅約二ミリ、長さ約八ミリ)を頭骨内に残
すミスがあった。再手術で破片を摘出したが「患者の承諾が得られ
ない」との理由で公表されなかった。
 秋田大では別の患者用の麻薬を誤って注射した患者が一時呼吸停
止し、大阪大は脳外科手術で頭がい骨の左右を間違え穴を開けた。
これらも公表されていなかった。
 患者の死亡例は、弘前大と三重大の薬の過剰投与、名古屋大で起
きた腹腔(ふっくう)鏡手術での血管損傷などで、六例とも公表さ
れていた。
 国立大病院の指針は患者への影響が軽微な場合を除き明白なミス
を原則公表としたが、五件も報告した大学がある一方、「報告ゼロ
」も二十四大学あり、報告基準のばらつきを示した。厚生労働省は
○四年度から医療事故報告を義務化する方針で、明確な基準作りと
報告徹底が急務となる。
(了)
[2003-09-13-07:41]