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<特殊法人>「人員減」10法人のみ 独立行政法人化の32


毎日新聞ニュース速報

 小泉改革の柱である特殊法人改革で「廃止」され、今年10月から無駄を省い
 た独立行政法人として再出発する32法人の人事計画案が30日、明らかにな
 った。発足前も含め、今後3〜5年の間に常勤職員の削減数を明示しているの
 は、3分の1に満たない10法人。残りは「検討中」「抑制に努める」などと
 ぼやかしており、中には人員増を予定している法人もある。官業の肥大化を食
 い止めるというふれこみの独立行政法人だが、体質は特殊法人のまま。小泉純
 一郎首相は「すべての特殊法人の廃止・民営化」を強調するが、実態は看板の
 かけ替えにすぎない改革の本質が問われている。

 32法人は、3〜5年ごとの経営方針を示す中期目標・計画案を、9月1日の
 特殊法人等改革推進本部参与会議(飯田亮座長)に報告することになっている。
 人事計画は、その核心部分だ。

 はっきり「職員数を減らす」としたのは10法人。10月の発足前から削減に
 取り組むのは「通関情報処理センター」など3法人で、7法人は発足後、中期
 計画期間の3〜5年のうちに減らす計画だ。

 ただし、大規模リストラは管理部門で60人以上減らす方針の「宇宙航空研究
 開発機構」くらい。3年6カ月かけて3人しか減らさない「国際交流基金」な
 ど、ほとんどは数人程度にとどまる。

 その他は、そもそも削減数や期間を明らかにしていない。内訳は、「検討中」
 7法人▽「抑制に努める」7法人▽「今までと同程度か上回らないようにする」
 5法人。どこまで実現するか疑問が残る中身になっている。

 また、農水省所管の海洋水産資源開発センターの「廃止」後にできる「水産総
 合研究センター」は、「技術開発や開発調査などの業務を実施するため」とし
 て今より126人増やし、計783人に膨れ上がる予定だ。

 組織のスリム化に後ろ向きな各法人に業を煮やし、参与会議は7月に「人件費
 も削減対象」とするよう指示。「努力、検討といったあいまいな表現では事後
 評価は不可能」とクギも刺していたが、出そろった人事計画案の多くは、政府
 の指示を真っ向から無視した内容となった。【平元英治】



[2003-08-30-15:00]