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国立大学法人法の廃止を求める声明 地学団体研究会 先の国会において国立大学法人法および関連法が成立した.衆議院の文部科学委員会, および参議院の文教科学委員会での審議では文部科学大臣や政府側の答弁不能や訂正, おわびがくり返され,最終的に参議院で23もの付帯決議がつけられるなど,法律の不 備を残したままの強行決議であった.この国立大学法人法は,憲法23条に保障された 学問の自由を蹂躙するものであり,我が国の歴史においても,また先進諸国において も例をみない希代の悪法である. 国立大学法人法は,国立大学の設置者を法人とすることによって,国の費用負担の 責任を後退させ,文部科学大臣が定める中期目標などを通じて大学の研究・教育の内 容を国家統制しようとするものである.法人化により,各国立大学法人は研究・教育 よりも経営的観点を優先させざるをえず,授業料の引き上げや,大学間・学部間格差 を避けられないものとし,研究・教育の質の低下をもたらさざるをえない.国立大学 の法人化は直接金儲けにつながる研究ばかりを優遇し,研究者や大学は競争的資金獲 得にはしることになる.そして基礎的研究や教育がおろそかになり,長期的視野に立? て行われるべき地球科学をはじめとする基礎科学の教育・研究 の発展に,重大な支 障をきたすものである.基礎研究・教育の停滞や後退は,日本の将来に大きな損失を もたらすものであることを強く危惧する. 大学は本来,「学問の自由」と「教育を受ける権利」が十分保障されたなかで,自 由で活発な教育研究活動が行われることが必要である.政府は憲法23条および教育基 本法第10条の精神に基づき,大学に対する不当な支配をやめ,現在主要国中で最低ラ ンクにある高等教育費の国庫負担の大幅な増額をはじめ,教育や基礎研究を充実させ るための教育研究条件の整備・拡充に努めるべきである. 創立以来,学問の自由を守り,「国民のための科学」を求めて,地域に根ざした活 動を行ってきた地学団体研究会は,国立大学法人法の廃止を強く要求する. 2003年8月9日 地学団体研究会第57回総会 |