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新首都圏ネットワーク

大学非常勤講師の平均年収290万円、経営合理化でしわ寄せ

『京都新聞』2003年8月21日付

 関西や首都圏の大学で教える非常勤講師(専業)の平均年収は約290万円
で、3人に1人は200万円を下回っていることが、非常勤講師でつくる労働
組合の調査で分かった。次年度の再契約を断られる「雇い止め」を経験した人
も半数にのぼっており、学生数の減少などで各大学が進める経営合理化のしわ
寄せが非常勤講師の待遇に及んでいる。

 調査は京滋地区私立大学非常勤講師組合と阪神圏大学非常勤講師労働組合、
首都圏大学非常勤講師組合が2002年11月から03年3月にかけアンケー
ト方式で実施した。年収や賃金単価、担当授業数、健康保険や年金などについ
て聞く内容で、計483人から回答を得た。

 02年の平均年収は、大学教授や予備校講師などと兼業している人を含めた
全体では464万円。しかし、専業の非常勤講師(297人、平均年齢42歳)
に限ると287万円に大きくダウンする。このうち48%が250万円以下、34%
は200万円以下だった。

 一方、研究に必要な書籍や機材、学会への参加費用などはすべて自腹で、年
収の10%を支出していた。国民健康保険料も年収の9・7%にのぼるなど、自己
負担が多く、福利厚生の充実を求める声が多かった。

 専業の非常勤講師の経験年数は平均10年。3人に1人は専任教員の公募に
5回以上応募しており、「大学冬の時代」の到来で、専任ポストの門戸が一層
狭くなっている実態も浮き彫りになった。