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新首都圏ネットワーク

<国立病院>独立行政法人化で看護師らに雇用不安


毎日新聞ニュース速報

 厚生労働省もリストラするの――。来年4月の国立病院の独立行政法人化移行
 に伴い、国立病院で働く看護師など6555人の定員外職員の間に雇用不安が
 広がっている。国家公務員法の定員外のため、移行後は雇用の保証がない。看
 護師らは20日、東京都内で集会を開き「厚労省は雇用責任を果たしてほしい」
 と訴えた。

 現在国立病院には約5万人の職員が働いており、このうちハンセン病の療養所
 などを除き、来年4月に独立行政法人に移行する154の国立病院では655
 5人の定員外職員がいる。内訳は、看護師が約3600人、看護助手や調理師
 などが約2000人、薬剤師、放射線技師などが約250人、保育士326人
 などになっている。

 定員外職員は、1966年から続けられている。国家公務員の定員が総定員法
 で定められる中、人手不足だった国立病院が定数を増やさず予算措置で労働者
 を確保したため生まれた苦肉の策。定員職員と同じ週40時間労働で、夜勤や
 超過勤務も含めて同じ仕事をこなしている。定員に不足が生じた場合、定員職
 員となるケースも多いが、定員外として20年近く働く職員もいるという。

 ところが、移行に際して、定員職員はそのまま雇用されるが、定員外職員に関
 して厚労省は「独立法人の理事長が決めること」など雇用の継続を明言してい
 ない。全日本国立医療労働組合の保木井秀雄委員長は「独立法人化は経営の効
 率化などが狙いだが、定員外職員を排除したら、病院は即回らなくなる。国立
 病院を支える職員の雇用に責任を持つべきだ」と言う。

 この日の集会で、都内の国立病院で15年間定員外職員として働く保育士の亀
 田みち子さん(52)は「定員職員と給与の差はあったが、医療を支える気持
 ちで同じように働いてきた。15年も働き続けリストラされるのであれば、ま
 さに弱い者いじめだ。独立行政法人移行後もこれまでのように働きたい」と話
 した。【東海林智】

[2003-08-20-21:22]