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<非常勤講師>3割が年収200万円以下 大学経営難で 毎日新聞ニュース速報 大学や短大の専業非常勤講師の34%が年収200万円以下で、5割近くは契 約打ち切りの経験を持つなど厳しい待遇を受けていることが、非常勤講師が加 盟する3組合による初の共同アンケートで分かった。大学経営は少子化による 入学者減少などで冬の時代を迎え、そのしわ寄せを受けている格好だ。組合側 は「不安定な労働条件では教育や研究活動の質が低下する」と国に待遇の改善 を求めている。 アンケートは、首都圏大学非常勤講師組合、阪神圏大学非常勤講師労働組合、 京滋地区私立大学非常勤講師組合が昨年11月〜今年3月に実施。非常勤講師 482人が回答し、うち他大学の教授職や弁護士など本業を持たない専業非常 勤講師302人の回答から平均像をまとめた。 平均年齢は42・4歳で経験年数は10・3年。2・7校を掛け持ちし、週の 授業数は9・1コマ(13・7時間)だった。平均年収は287万円だが、3 4%は200万円以下で、教授や助教授など専任教員との賃金格差は5倍近い という。大半の大学は非常勤講師への研究費補助がなく、資料購入費などで1 人年平均29万円を持ち出していた。 また、「授業数が減った」などの理由で契約を打ち切られた経験のある人は4 8%、教授や上司らの嫌がらせ(アカデミック・ハラスメント)の被害に遭っ た人も34%いた。「担当授業を突然取り上げられた」「無理な要求を断ると 、 解雇をにおわされた」などと立場の弱さにつけ込まれたケースが目立つという 。 文部科学省によると、専業非常勤講師は全国に延べ約6万6000人、実数は その3分の1程度と推測している。非常勤講師の多くは1年契約で更新。専門 性の高い科目は他大学の専任教員を非常勤として招くことが多いが、語学など 授業のコマ数が多い科目は賃金の安い非常勤講師を公募などで採用する傾向が 強い。私立大学は授業数の4割を非常勤講師が担当しているという。 阪神圏大学非常勤講師労働組合の内藤義博書記長は「学生が、専任教員と非常 勤講師に求める授業のレベルは変わらないのに、賃金などの格差が激しすぎる 。 非常勤講師を安価な労働力として扱う大学教育の構造が問題」と話している。 【宇城昇】 [2003-08-18-03:02] |