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新首都圏ネットワーク

都立大に吹き荒れるファシズムの嵐

皆様、

このメーリングリストで流れた8月3日付「国公私立大学
通信抄」でも、都立の新大学に関する情報が紹介されました。


受信日時:2003/08/03 17:51:50 東京 (標準時)

tujisita@math.sci.hokudai.ac.jpからの引用:

[3] 「単位バンク」で柔軟カリキュラム 統合後の都立新大学
http://www.ac-net.org/dgh/blog/archives/000057.html

この「都立の新しい大学の構想について」(以下参照)
http://www.metro.tokyo.jp/INET/KEIKAKU/2003/08/70d81100.htm
が出された経緯は異様なものです。

これまで都立大学では、2〜3年以上の年月をかけて、都当局
と大学側が交渉し、(都当局主導で大学側の意向が必ずしも
十分に反映されたとは言えないものではありましたが)とにかく
都当局と大学側の共同作業の結果ほぼ改革案がまとまりつつあり
ました。

それが今年の6月末になって、大学管理本部長(私たちの大学は、
キャンパスではなく新宿都庁内にあるこの「大学管理本部」と
いういやな名前の部署の下に属する「二級事業所」(!)という
扱いです)が任期途中で解任され、新しい本部長が送り込まれて
きました。前本部長が解任されたのは彼が大学側の意向に一定の
理解を示して、結果として「生ぬるい」改革案を作ったからで
ある、と噂されました。選挙で300万票を得て気をよくした
知事が、「まったく新しい大学をつくる」と意気込んで投入した
のが現本部長で、「今まで『やる』と言って実現しなかったこと
はひとつもない」と豪語している、とかいう人物でした。

そして新本部長が着任して1ヶ月程度で、突然出てきたのが
この「都立の新しい大学の構想について」です。これが突然
プレス発表(知事の記者会見は以下をご覧ください)

http://www.metro.tokyo.jp/GOVERNOR/KAIKEN/index.htm

されるまで、大学側は学長以下まったく何の情報もなく、
大学管理本部のお役人でさえ下の方は何が起こっているの
かわからない、というような密室の中で作られた案が、
大学側にひとことの相談もなく突然プレス発表された
わけです。しかも(上記の記者会見を見ていただければ
わかりますが)、「いやならおやめになったらいい」と
いう知事のやくざまがいの恫喝のおまけまでついています。
これがファシズムでなくていったい何でしょうか?

その内容も、(「ちゃぶ台をひっくり返す」という噂通り)
今までの数年間の積み重ねを完全に反故にした滅茶苦茶な
ものです。はっきりしているのは管理強化、人件費削減、
労働条件悪化の意図だけで、あとは、(1ヶ月で「まったく
新しい大学」の構想をゼロから作る、などという荒唐無稽
な話ですから必然ではありますが)実にお粗末きわまりない
出まかせアイデアのオンパレードです。

これから何とかこの滅茶苦茶な案を、全学で一致団結して
押し返していかなければなりません。このような案がこの
まま通ってしまえば、それが全国の国公立大学の改革・
法人化に与える悪影響は甚大だと思います。教職員組合
中央執行委員会としての抗議声明を以下に貼り付けます。
どうか皆様のご支援のほどどうぞよろしくお願い申し上げ
ます。

東京都立大学  長谷川 宏
____________________________________________________

「都立の新しい大学の構想について」に対して抗議する
  
2003年8月4日  東京都立大学・短期大学教職員組合中央執行委員会

石原都知事は、8月1日の定例記者会見で、「都立の新しい大学の構想について」を発表した。都立の大学関係者に事前に一言の通知・協議もなしに発表されたその内容は、これまで都立の4大学と大学管理本部との間で合意され、準備されてきた新大学構想とは、学部構成もキャンパス配置も、全く異なるものとなっている。よりよい新大学のため、計画を改善・修正すること自体を私たちは否定するものではない。しかし、新大学開学まで1年余りとなったこの時期に、このような根本的な変更を、大学関係者抜きに一方的に行おうとすることは、新大学の設立そのものを危ぶませる無責任な行為である。さらにその内容についても、以下のような重大な問題を含んでいる。
1)「都立の新しい大学の構想について」の内容について
「まったく新しい大学」を標榜しながら、その内容は、「都市」、「教養」等、さんざん取りざたされてきたキーワードのつぎはぎと、「観光・ツーリズム」、「メディア・アート」、「産業系デザイン」等、各種専門学校等でなされてきた教育の「剽窃」に過ぎない。結局、予算削減、大学教職員の労働条件の悪化をねらいとする「改悪案」そのものであり、本質的な「改革」の名に値するものは、どこにも見当たらない。
2)「都立の新しい大学の構想について」が出された経緯について
組合は大学管理本部主導で策定された「大学改革大綱」に反対してきた。それはそれとして、今までの大学「改革」案は、きわめて不十分ながらも、大学側が意向を表明する場が設けられ、そこでの意見を多少なりとも踏まえて作成が進められてきた。しかし今回出された「構想について」は、執行部を含め当事者である大学を完全に閉め出した「密室」で作成され、大学側に何の相談もなくいきなり出されたものである。もし今までの「改革」案に問題があるというのなら、問題があると考えた側が大学側とひざを突き合わせてどこに問題があるのかを話し合った上でその解決をはかるべきである。これまで検討されてきた大学「改革」は、都立4大学の統合・改組であった。今回発表された「都立の新しい大学の構想について」は、当事者である大学にひとことの相談もなく出され、手続き的にも正当性があるとは到底認められない。大学管理本部は、このような乱暴なトップダウン方式で、大学改革が本当にうまくいくと考えているのであろうか。
3)一方的な賃金・労働条件の変更は認められない
 「都立の新しい大学の構想について」では、教員の任期制や年棒制の導入と業績主義の徹底が盛り込まれている。また、「大学改革大綱」とは、全くことなる学部構成とそれに伴うキャンパス配置も発表された。教員の任期制や年棒制の導入、新たなキャンパス配置に伴う勤務地の変更などは、賃金・労働条件の著しい変更であり、労働組合との協議すら開始しない段階で、一方的に発表することは許されない暴挙である。大学管理本部に対して、厳重に抗議する。
4)政治的、社会的、法的問題について
7月1日参議院総務委員会における「地方独立行政法人法案」の採決にあたり、以下のような付帯決議がなされた。
 二、地方独立行政法人への移行等に際しては、雇用問題、労働条件について配慮し、関係職員団体又は関係労働組合と十分な意思疎通が行われるよう、必要な助言等を行うこと。
 六、公立大学法人の設立に関しては、地方公共団体による定款の作成、総務大臣及び文部科学大臣等の認可等に際し、憲法が保障する学問の自由と大学の自治を侵すことがないよう、大学の自主性・自律性を最大限発揮しうるための必要な措置を講ずること。
新構想は新大学の根幹をなす学部構成や、教職員の労働条件等について、当事者である大学側の意向を形式的に聞くことさえせずに出されたもので、以上の付帯決議の趣旨に違反することは明白である。「地方独立行政法人法案」や「国立大学法人法案」の国会審議で指摘された問題点を、全く顧みないものであり、大学関係者のみならず、良識ある多くの国民・都民の批判は免れることができない。
以上の点から、私たち都立の大学に働く教職員は、「都立の新しい大学の構想について」の撤回と、都立4大学教職員との協議と合意に基づく、新大学設立準備を、強く求めるものである。