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  新首都圏ネットワーク

「磁力と重力の発見3 近代の始まり」(みすず書房)を、
(きちんと読了してはいませんが)パラパラと読んでいます。

私はこの分野は全く門外漢で、数式などはからきしダメなの
ですが、それでもコペルニクス、(磁気学の)ウィリアム・
ギルバート、ケプラーと(その理論の元になる観測データを
提供した)チコ・ブラーエ、ガリレオ・ガリレイ、そして
ニュートンと、人々が物理学上の真理を解明していく過程、
そしてそのためにこれらの人々が(実際に、あるいは書物を
通して)出会い、刺激を与え合い、たがいの知を受け継ぎ
発展させていったそのダイナミズムの素晴らしさに、溜息が
出ます。

これに比べて(比べるのもばかばかしいのですが)、自分
たちがこれから6年間どのような研究をし、どのような成果
を上げる予定であるかをあらかじめ書類にして「お上」に
提出してお伺いを立て、6年後には、6年前に出した書類
通りに目標が達成できたかどうかをまた書類にして「お上」
に差し出し審判をあおぐ、などということの機械的な繰り返し
を学問にたずさわる者に一律に強制しようとする現代の某
「先進国」のやり方は、自然科学上の画期的な新発見を次々
に生んでいった学問の素晴らしいダイナミズムから何と遠い
ことでしょう!(そしてそのような「先進国」の学問の未来
はどうなっていくのでしょうか?)

私たちにそのようなことを強制しようとしている方々に、
上記の本を読んでいただきたいと思うのですが、そういう
方々はきっと読んでも何も感じないのでしょう(感じるよう
な心を持っていればこんな愚かな強制はしないでしょう)
し、「山本義隆」という著者名を見ただけで鳥肌が立って
しまうのでしょうね。

東京都立大学 長谷川 宏

追伸:上記の本の存在を私に教えてくれた「朝日新聞(の書評欄)」
には感謝せざるを得ません...