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 社説[大学研究評価]「世界的拠点形成の“公約”果たせ」


読売新聞ニュース速報03/07/18


 選ばれた大学は、世界最高水準を目指す研究拠点にふさわしい成果を上げねば
 ならない。

 文部科学省による「21世紀COEプログラム」の二年目の審査結果が発表さ
 れた。

 全国の大学から優れた研究実績とテーマを持つ研究科などを選び、五年間、重
 点的に予算配分する。これで、予定されていた十分野の選考はすべて終了し、
 計二百四十六件が選ばれた。

 当初、「国による研究評価は、大学の自治を侵す」と、反対も強かった。だが
 最終的には、二年間で千七十五件もの申請が出された。

 研究評価は、大学に大きな変革も、もたらした。各大学はこの流れを大切にし
 て、研究戦略の構築を進めてほしい。

 申請に当たって、分野やテーマを決めるため、各大学は学内の研究成果を厳正
 に評価する必要に迫られた。大学の将来構想も問われた。学内の研究分野に甲
 乙をつけることを避けてきた大学人にとって、初めての体験だった。

 国際的な研究競争に勝ち抜くには、それぞれの大学が得意分野を伸ばすことが
 求められる。今回の体験を、今後の大学活性化に生かさねばならない。

 文科省は研究拠点の形成を大学の構造改革の一環として位置づけ、当初は研究
 業績を中心にトップの三十大学を選ぶ構想だった。それが、「ランキング化に
 つながる」との反発を受け、今後の可能性も含めた研究組織の選考に変更した。
 現実的な措置だったと言ってよい。

 当初、懸念されたのは、大学評価の歴史が乏しい日本で、研究評価が客観的に
 できるかどうかだった。

 昨年、今年の審査には、ともに千人を超える研究者が当たった。その結果、最
 先端の研究はほぼ網羅された。同じ分野の研究者による「同僚評価」が有効な
 ことが、証明されたと言ってよい。法人化後の国立大学の評価にも参考になる。

 選ばれた研究組織は、旧帝大を中心とする国立大学に多いが、研究条件に恵ま
 れない私大や地方大学が少なからず入っていることも注目される。それぞれの
 特色を生かした研究成果を期待したい。

 選定されたことは、欧米の最高水準の大学にも伍(ご)する拠点となることを
 公約したことになる。重点分野とした以上、その成果に大学の責任も問われる。

 行政のバックアップも求められる。今年、補助金総額は減額された。安定した
 予算配分の維持が、研究組織が公約を果たすための最低条件である。

 競争的な環境を育てるため、五年後の再募集は不可欠だ。規模を縮小し、毎年
 実施することも検討されてよい。

[2003-07-18-08:46]