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独行法反対首都圏ネットワーク


> 『熊本日日新聞』2003年7月10日付
>
> 国立大法人法成立に抗議の緊急声明 熊大教職員組合
>
という記事が載りました.遅くなりましたがこのときの声明文をお送りします.

熊本大学教職員組合 

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 緊急声明:「国立大学法人法案」の強行採決に断固抗議する

2003年7月9日
熊本大学教職員組合
 本日7月9日、参議院本会議において「国立大学法人法案」ならびに関係5法案が強
行可決された。これは、長年の大学人たちの闘いを通じて獲得され、維持されてきた
大学の自治と学問の自由を破壊し、憲法・教育基本法の理念を根本から踏みにじる暴
挙である。とりわけ教育研究内容に対する行政介入の仕組みは、1886年に公布された
帝国大学令でさえ認めていないものであり、その意味で法案の可決は、戦前・戦後を
通じた日本の大学の歴史における最大の汚点である。今後、この法律に基づいて、官
僚の統制のもとに大学「改革」が進められることになれば、国立大学のみならず日本
の大学全体の学問と教育研究に取り返しのつかない災禍をもたらすことになろう。
 この間、法案の国会上程の期間だけでも、国立17大学人文系学部長会議、全国農
学部系学部長会議をはじめ、多くの教職員組合、さらには学部教授会、研究科委員
会、学生自治会、院生協議会が、要望や反対の声明を公表し、法案の賛否を問うレ
ファレンダム(電子投票による)においては投票者の97%が反対の意思を表明した。
また1300人をこえる学者・文化人が「法人法案反対アピール」に賛同を寄せ、「意見
広告の会」は全国カンパによる意見広告を4度にわたり実施するなど、大学教員・研
究者のみならず、多くの市民が反対の声をあげ、多様な運動が展開された。
 私たち熊本大学教職員組合も、国立大学の「独立行政法人化」の問題が浮上して以
来、その時々の局面において問題点を分析し声明を公表するとともに、全国の運動に
連帯しつつ全力を挙げて反対運動に取り組んできた。
 こうしたわれわれの運動を背景に、国会の場では、野党各党が一致して政府・文科
省の追及を行ない、その結果、法案の矛盾と問題点、国会を無視した準備作業やごま
かし答弁が次々に明らかとなった。また、労働安全衛生法の適用など法人化への移行
に伴う種々の問題にどういう措置が講じられるのか、授業料はどうなるのか、国立大
学評価委員会と総務省評価委員会において何がどう評価されるのか、等々、更なる審
議の必要性がいよいよ明らかになってきた。また通常の会期内で成立しなかった以
上、本来ならばこの法案は審議未了で廃案とすべきものであった。にもかかわらず、
採決を強行したことは、審議過程で政府自らがこれ以上墓穴を掘ることを恐れたがゆ
えに他ならない。
 たしかに「国立大学法人法」は成立したものの、評価委員会の構成、運営費交付金
の算出基準等、重要な部分は政令、省令にゆだねられたままである。また就業規則の
作成、雇用の継承、役員人事、中期目標・計画の作成など不透明な部分はいまだに多
い。今後、非公務員化のもとで、「効率化」や「流動化」を口実にした教職員に対す
る攻撃も強められるだろう。また業績主義と競争原理の徹底が大学の教育研究内容を
ゆがめ、学費の高騰や大学の統合・再編によって国民の等しく高等教育を受ける権利
が著しく侵害されることになろう。私たち熊本大学教職員組合は、こうした攻撃を許
さず、国民ならびに大学でともに働く仲間の権利と福利、大学の自治と学問の自由を
守り、学問研究の健全な発展をはかるため、引き続き奮闘する決意である。