独行法反対首都圏ネットワーク |
国立大学法人―待ちの姿勢を捨てよ 朝日新聞ニュース速報 国立大学を政府の行政組織から切り離し、自立性の高い法人に変えようとする 国立大学法人法が成立した。 各大学にみずから責任をもって教育や研究の将来像を描いて実行してもらう。 それが法人化のねらいだ。 しかし、教育研究や組織運営の方向を示す「目標」や、目標を実現するための 「計画」について、原案は大学がつくるものの、最終的な決定権は文部科学相 に委ねられた。これでは大学が自立できるどころか、文科省の統制が強くなり かねない。審議の過程で私たちは修正を求めたが、そのままになったのは、残 念である。 こうした批判は文科相も気になっていたのだろう。目標や計画は「原案をもと に決める」「法人になっても、大学の意図は生かされる」と国会で答弁した。 ならば、大学の自由な発想を尊重し、無用な介入を控えるべきである。天下り 人事の慣例化などは論外だ。 大学には、待ちの姿勢を捨ててもらいたい。みずからの手で原案をつくり、そ れを公表したうえで、文科相に認めさせる努力をする。両者はその過程を公表 することで、不当な介入や指導がなかったことを世に示すべきである。 多くの大学に共通する課題があれば、結束して文科省と交渉してもいい。 社会や地域で大学がどんな役割を果たそうとするのか。どんな人材を育てるの か。国際的な競争にどう立ち向かうのか。めざす方向をはっきりさせることが 大切だ。 これまで大学は社会に役立とうという意識よりも、横並びで文科省の顔色をう かがう傾向がなかったか。外部には見えにくい閉鎖空間だ、との批判も絶えな い。 そうしたことはもはや許されない。法人化を古い体質を変える好機とすべきだ。 学長は教育研究のみならず、経営、人事の責任者となる。権限は飛躍的に強ま る。新しい方針の決定も実行もしやすくなる。その大学なりの手法で力量のあ る学長を選べば、これまでどこにもなかった独自の大学をつくることも可能に なるのだ。 国から配分される運営費は、大学が自由に使えるようになる。債券を発行した り、借金をしたりすることもできる。必要な分野に資金を集中的に振り向けれ ば、大学を大きく変えることができるだろう。 教職員は公務員でなくなる。不安に思う人もいるようだが、企業やNPOとの 連携はもっとやりやすくなる。工夫次第で、いろいろな可能性が開かれている のだ。 すでに東大は、「憲章」でこれからの教育研究の目標や理念づくりを終えてい る。学長は法人化を前に自分の信任投票を求め、準備を急いでいる。ほかの大 学もこうした例を参考にすべきである。 法律を使いこなし、明快な大学像を自信を持って描き、社会に対し説明責任を 果たす。それが本当の自立につながる。 [2003-07-17-00:09] |