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社説 [独立行政法人]「看板の掛け替えで済ませるな」

読売新聞ニュース速報  03/07/12


 単に、看板が替わっただけに終わらせてはなるまい。

 政府の特殊法人等改革推進本部参与会議が、独立行政法人の中期目標・計画に
 対する「指摘事項」を小泉首相に提出した。独立行政法人に対し、改めて厳し
 い意識改革を求めている。

 独立行政法人は一昨年四月、特殊法人改革の一環としてスタートした。業務の
 有用性や民業圧迫の観点から、特殊法人の業務を見直し、廃止や民営化が困難
 なものに限り独立行政法人に移行した。

 独立行政法人は、国から運営費交付金を支給される。一方、主務大臣に三―五
 年間の中期計画を提出し、計画終了後、所管官庁の独立行政法人評価委員会な
 どによって業績を評価され、事業継続の是非が判断されることになっている。

 中期目標・計画の策定は、参与会議が位置づけるように、「主務大臣が独立行
 政法人との間で交わす、いわば業務契約に相当する重要な行為」である。

 しかし、今年十月に発足する三十二の独立行政法人を対象とした「指摘事項」
 によると、「促進する」「努力する」といった抽象的、定性的表現にとどまる
 法人が少なくなかった。数値目標が設定されないと、事後の評価ができない。

 経費削減の目標についても、多くの法人は「毎年度1%減とか、期間中5%減
 という目標」にとどまった。参与会議が「期間中一、二割の削減」という目標
 設定を求めたのは、当然だろう。

 業務内容を問われた法人もある。

 日本貿易振興機構(ジェトロ)には、「その役割は経済産業省や外務省が直接
 果たすべきで、調査研究、情報提供などに特化すべきだ」と注文がついた。

 労働政策研究・研修機構は、業務内容について、「本当に独立行政法人として
 やらなければならないことなのか」と根本的な疑問を突き付けられた。

 こうした法人については、単なる数値目標の問題ではなく、将来の廃止も視野
 に入れるべきだろう。

 総務省の政策評価・独立行政法人評価委員会のデータによると、独立行政法人
 は、依然として、特殊法人時代の旧弊を残したままだ。

 昨年七月までに発足した五十九の独立行政法人を見ると、昨年九月現在、常勤
 役員百七十九人のうち、百三人が省庁からの天下り組だった。理事長の報酬が
 省庁の局長級と同水準の法人が三十四法人もあった。

 独立行政法人には、国民の目もなかなか届かない。それを幸いに、説明責任を
 怠ってはならない。自らを律し、民間に学ぶ姿勢で意識改革を進めるべきだ。

[2003-07-12-09:09]