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独行法反対首都圏ネットワーク

国立大学法人化法案の採決強行に抗議する(声明)
 
日本高等学校教職員組合中央執行委員会
 
 本日7月9日、参議院本会議で国立大学法人化法案が自民党・公明党など与党3
 党の賛成で可決、成立しました。私たちは、日本の知的基盤を掘り崩し、将来
 に禍根を残す国立大学法人化法案の採決強行に対して厳しく抗議するものです。
 
 この法案は、国会審議の中でだされた多くの問題点や疑問に対して文科省が答
 弁不能に陥ったまま、採決されました。法案のもつ重大な問題に加え、このよ
 うな国会の役割を放棄して採決を強行した与党三党の責任は重大です。
 
 審議の中で明らかにされた問題点は、第一に大学の中期目標を文部科学大臣が
 決めること。
 第二に、文部科学省に設置された、国立大学評価委員会が、国立大学法人の業
 績実績の評価をすること。その上、総務省の政策評価・独立行政法人評価委員
 会の評価も受け、大学の改廃についての審査を行い、文部科学大臣に勧告ずる
 権限を与えていることです。
 第三に、学長が法人の長として、「経営協議会」と「教育研究評議会」を主宰
 し、しかも「経営協議会」は、学外有識者が二分の一以上でなければならない
 として、学長権限の肥大化と多数の学外者で大学運営が決められること。また、
 文科省の天下りと大学の国家統制に人的な道筋をつけることです。
 第四に、教職員の身分が非公務員となることで、身分保障があいまいになるこ
 と。
 第五に、学費の高騰につながり、高等教育の機会均等を損なうことです。
 このような問題点は、「大学の自治・学問の自由」を奪い、国民のための大学
 を、政府・財界のための大学にかえるものと言わざるを得ません。審議では、
 これらの疑問や問題点に答弁できないまま、23項目の意見が盛り込まれた付帯
 決議(与党3党、民主党の共同提出)を出して、つじつまをあわせざるを得な
 い事態になっています。
 
 日高教は、高校生が、高校教育の出口で、深刻な就職難に遭遇している下で、
 もう1つの出口である大学進学も、今以上の激しい受験競争を強いられると同
 時に大学学費の高騰に立ち尽くす事態にさらされかねないとして、国立大学法
 人化法案に反対してきました。そして、この間、日本科学者会議が呼びかけた
 「大学問題各界懇談会」に参加するとともに、全国大学高専教職員組合(全大
 数)が呼びかけた「国立大学、国立高専の法人化反対、大学・高等教育の充実
 をめざす連絡会」に参加するなど共同のとりくみの一翼を担ってきました。ま
 た、地方でも大学人の呼びかけにこたえ、共同のたたかいをすすめてきました。
 
 
 国立大学の法人化は、小泉「構造改革」の一環であり、義務教育費の国庫負担
 削減、地方交付税化や、高校の公設・民営化や市場化、新たな「高校再編」と
 一体のものです。それは、憲法・教育基本法の改悪を先取りするものです。
 私たちは、憲法・教育基本法を守り、生かすたたかいをすすめるとともに、引
 き続き、「学問の府」にふさわしい大学改革、国民のための大学をめざす大学
 人との共同を重視したたたかいをすすめる決意を明らかにするものです。
 
二〇〇三年七月九日