国立大学法人法等関連六法案の可決・成立にあたって

 

2003年 7月 9日

 全日本教職員組合中央執行委員会

 

政府・与党は、7月9日、国立大学法人法案等関連六法案を参議院本会議で可決しました。憲法23条が保障する学問の自由と大学の自治を乱暴に踏みにじり、「経済再生のため・・・世界で勝てる大学」への根本的な転換をはかる悪法を、十分な審議もつくさないままに可決したことに、怒りを込めて抗議するものです。

 

国会審議は、法案が持つ重大な問題点を改めて浮き彫りにしました。

大学の中期目標を文部科学大臣が決め、中期目標や中期計画を国立大学法人評価委員会などが評価し、予算配分に結びつけることに見られるように、戦前の大学でも行われなかった例を見ない大学への国家統制法案であること、1兆3000億円もの付属病院の長期借入金を各大学法人に肩代わりさせ、世界一高い授業料をさらに引き上げる道を開くなど、新たな国民負担増を強いる法案であること等々、その重大な問題点は、大学関係者を始め多くの国民に急速に広がりました。

一方、委員会審議は紛糾・停止を重ね、文部科学大臣は不穏当な答弁を追及されて3回も陳謝する事態となりました。最後の審議の場となった9日の参議院文教科学委員会でも、文部科学省は13万人に及ぶ大学、高専の教職員を一方的に非公務員にする根拠を示せず、またしても回答不能に陥る事態となりました。にもかかわらず、政府・与党は数を頼んで法案を強引に可決したのです。私たちは、このような強行可決を断じて認めることはできません。

 

大学にかけられている攻撃は、小学校・中学校・高校にかけられている攻撃と軌を一にするものです。また、今国会での法案の成否は教育基本法改悪法案の今国会上程問題と深く関わっていました。私たちはこのことを重視し、「国立大学等の法人化反対連絡会」の一員として、学問の自由、大学の自治を守り、教職員の暮らしと権利を守る立場から、大学関係者とともに、たたかいを広げてきました。そのなかで、当初の5月連休前には法案の成立をはかるとしていた政府・文部科学省の目論見は崩れ、本来の6月18日という会期末であれば、法案は審議未了・廃案になっていたところまで追い込みました。

今後、たたかいは各大学でのたたかいに移行していきます。

私たちは引き続き、国立大学法人法等関連六法の各大学での具体化を許さず、学問の自由、教育研究の自由を守るとともに、教育基本法改悪を許さない取り組みと固く結んで自主的・創造的大学改革をめざして、大学関係者とともに取り組みを強める決意です。

 

以上