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独行法反対首都圏ネットワーク


『沖縄タイムス』社説  2003年7月10日付

国立大法人法成立
独自性の発揮は難しい


 国立大を独立した法人にする国立大学法人法など関連六法が九日、参院本会
議で可決、成立した。

 これにより、明治以来国の機関だった国立大は国の直轄から切り離され、来
年四月には八十九の国立大学法人が誕生することになる。

 法人化には懸念が残るが、「いかに独自性を発揮するかの勝負だ」(森田孟
進琉大学長)と前向きに受け止める声もあり、大きな転機を迎えたことには間
違いない。

 国立大学法人では、学長の権限が格段と強化され、大学運営形態が学長中心
の「トップダウン」経営に転換される。

 経営を審議する協議会には過半数の学外委員を置き、「開かれた大学」を目
指す。

 予算の基本となる運営交付金は、文部科学省に設置する「国立大学法人評価
委員会」が中期目標をどの程度達成したのかを評価し、反映させる。

 授業料は現行の五十二万八百円を標準額とし、一定の範囲内で各大学が決め
る。

 おおむねそんなことが柱である。

 だが、本当に大学が自立し独自性を発揮できるのか、むしろ国の介入が強ま
るのではないか、大都市と地方の大学の格差が拡大するのではないか―などと
いった疑問は消えない。

 例えば各大学の意見を聞いて最終的には文科相が中期計画を決定、文科省に
置く評価委員会が研究実績などを評価し、交付金に反映させるというのもそう
である。

 大学の目標を国が決め、その通りにやったかどうかを国の機関が審査する、
ということになる。これでは、大学が自主性を発揮できる余地はほとんどない
のではないか。

 大学の自主性を重んじるとともに、運営交付金の算定根拠などの公表を求め
た付帯決議が盛り込まれたのもそのためだと受け止めるべきである。

 文科省は決議を重く受け止め、独自性を発揮しやすくすることが大学改革の
狙いであることを忘れてはならない。