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独行法反対首都圏ネットワーク


asahi.com 2003年7月8日付

89国立大法人、来春に誕生 9日に法案成立へ

 
 国立大学を法人化して国の組織から独立させる国立大学法人法案とその関連
法案が、8日の参院文教科学委員会で、与党の賛成で原案通り可決された。9
日の本会議で成立する見通しで、来年4月、全国に89の国立大学法人が誕生
する。各大学に学長のリーダーシップを生かす運営組織をつくり、学科の編成
や授業料などを独自に定める裁量や、使い道を自ら決められる資金を与える。
より自由にして「個性化」を進めるのがねらいだ。

 文部科学省による「護送船団」方式での運営からの大きな転換。国立大の歴
史上、1886年の帝国大学令公布や1949年の新制国立大発足以来の改革
といえる。

 法人化により、大学運営は学長を中心としたトップダウン型に変わる。これ
までは教授会を軸としたボトムアップ型で、「意思決定に時間がかかりすぎる」
「思い切ったことができない」といった指摘が絶えなかった。「国立大は閉鎖
的で意思決定も不透明だ」との批判にも応えるため、役員などに学外の有識者
を必ず加えることになる。

 文科省が各大学の細かな予算要求をたばねていた仕組みも変わる。大学ごと
に運営費交付金を渡し、その中で自由に使うことができるようにする。有識者
らによる文科省の「国立大学法人評価委員会」が業績を評価し、その結果が交
付金の額に反映される。

 学校間の競争も激しくなることが予想され、それぞれの大学には、自主性や
自律性を高めて教育や研究を活性化することや、国際的な競争力を付けること
などが強く求められる。学長の責任は格段に重くなり、経営手腕が問われる。

 国立大は短大、大学院大を含めて計99校あるが、今秋に20校が10校に
統合するため、来春は89校が法人化する。各大学と関連する機関の教職員ら
13万人余は公務員ではなくなり、それぞれの法人職員になる。

 野党側は、各大学の運営の指針となる「中期目標」を文科相が定めるとの政
府案に「国の統制を強める恐れがある」などと反発。民主党は中期目標を大学
側が届け出る制度にする修正案を提出したが、否決された。

 採決後、委員会は法の施行にあたって、文科省と大学側のやりとりを公表す
るなど透明性を確保することを主眼とした23項目にわたる付帯決議をした。

 関連法案には、全国に55校ある国立高等専門学校を一つの独立行政法人の
下に設置して法人化する独立行政法人国立高等専門学校機構法案も含まれてい
る。