独行法反対首都圏ネットワーク |
日経BizTech 2003年7月5日付 経産省が「産学連携の深化に向けた10の提言」 経済産業省の産業構造審議会産業技術分科会傘下にある産業連携推進小委員 会(小委員長=東海大学教授の黒川清氏)は、「産学連携の深化に向けた10の 提言」を7月上旬に公表する。この提言は、2004年4月に国立大学が独立行政法 人化する大きな節目以降の、大学の研究成果を企業に技術移転する産学連携の あり方を10項目にまとめたもの。「大学は技術移転の専門知識・実務経験に優 れたTLO(技術移転機関)が大学教員の研究成果の評価・選別の判断を最大限 尊重する」などのように、大学とTLOの望ましい連携モデルを示し、「学」か ら「産」への技術移転が成果を上げる体制づくりを具体的な提言としてまとめ ている。 提言の中で注目されるのは「特定技術分野重点TLO(スーパーTLO)の整備」 の項目。ある専門分野で優れた技術移転実績を持つTLOは、その分野でTLOを持 たない大学の教員に対して技術移転機能を果たすことで地域性を補完すると同 時に、ある専門分野に強くない他のTLOの専門性を補完する存在になることを 提言する。有力TLOがスーパーTLOとして他のTLOなどを補完することで、日本 全体の技術移転システムを拡充し、技術移転が加速する仕組みを提案している。 独法化すると国立大学は法人格を持つため、教員の研究成果から生まれる特 許などの知的財産の所有者(組織帰属)となる。独法化以前は、大学教員の研 究成果の大部分は教員個人の所有(個人帰属)となっていたために特許の出願 費用や維持費用は個人など(実質は教員個人が親しい企業)が負担していた。 これに対して、独法化以降は大学が特許出願などの経費を負担することになり、 その経費の確保が急務となる。 当然、特許活動経費は予算面で上限があり、大学教員の研究成果を特許出願 するかどうかを評価・選別する能力が求められる。特に、日本の大学教員から 生まれた独創的な研究成果は、国内に加えて外国に出願しないと、日本の国際 競争力を確保できない。PCT(国際特許)などの外国出願は、1件当たり1000万 円弱程度の経費がかかる場合が多いため、どの研究成果をPCT出願するかとい う選別と経費の確保が求められる。今回の提言では、大学・TLOに対して特許 活動経費を国が直接補助すると同時に、外国出願の補助を特に拡充する方策の 必要性を訴えている。(丸山 正明=編集委員室編集委員) |