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独行法反対首都圏ネットワーク


日本科学者会議は本日下記の声明を参議院文教科学委員及び関係者に送付しました。
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              国立大学法人法案の廃案を求める

  国立大学法人法案は、かねてより各方面から厳しく批判され、反対の意見が表明されてきたが、今国会の審議を通じて、看過できない多くの重大な問題点が明らかになった。
  文部科学大臣はたびたび答弁不能に陥り、謝罪を繰り返すなど、異常な審議が続いているにもかかわらず、政府・与党は、8日には参議院文教科学委員会において強行採決に持ち込もうとしている。
 本法案の如く、独立行政法人通則法の枠組みを基本的に適用し、文部科学大臣が中期目標を定め、それに基づき各大学が作成する中期計画は大臣の認可を受け、計画終了後に政府の評価を受け、それに応じて資金配分が行われるという制度設計は、「学問の自由」(憲法23条)や、これを大学において制度的に保障する原理である
「大学の自治」と根本的に相容れないことが、国会審議においていっそう明確になった。
  この法案が成立・施行されれば、大学を代表する学長は、文部科学大臣の監督・支配に服し、法人の役員や基幹的職員は、文部科学省の官僚の天下りや関係法令等により中央集権的に統制される。新たに設けられる法人の経営権限は、教授会の権限を圧迫し、大学本来の使命である教育・研究を規制する。法人の経営効率主義の観点から、学費の著しく大幅な値上げや学部間格差の導入は避けられず、教育の機会均等の形骸化は免れない。
 このように法案の予想される弊害は計り知れないものがあり、まさに「国家百年の計を誤るもの」と言っても過言ではなく、我が国の歴史においても先進諸国においても例をみない悪法である。
  本来、大学においては、人類の普遍的原理である「学問の自由」、「教育を受ける権利」が十全に保障され、その下で、国民・人類全体に奉仕する立場から、自由で活発な教育研究活動が行われることが必要である。これこそが「知の世紀」と言われる21世紀の大学のあり方であり、それはユネスコの諸勧告、宣言にも明示されている。これがグローバルな世界の流れである。
 政府はこの立場をふまえ、教育基本法第10条の精神に基づき大学に対する不当な支配をやめ、現在、主要国中最低ラ ンクの高等教育費の国庫負担の飛躍的増額をはじめ、教育研究条件の整備・拡充に全力をもって傾注することを要求する。

 2003年7月7日
                             日本科学者会議
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