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独行法反対首都圏ネットワーク

☆参議院・文教科学委員への要請  
 .2003.6.30 東京大学職員組合
 

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 東京大学職員組合(東職)です。
 東職は6月30日、下記のメールを野党の参議院・文教科学委員に送付しました。
 明日(7/3)予定されている参院・文教委員会にあたっての再度の要請は現在検討中です。

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                           2003.6.30
 親愛なる議員のみなさまへ

                          東京大学職員組合

 突然のメールを再びお許し下さい。
 日頃の国会議員としてのご活躍に敬意と感謝の念を表します。
 私たち東京大学職員組合は、先日お送りしましたメールの第4弾としまして、下記のとおり国立大学法人法案により国家公務員が非公務員となる法的根拠と手続きについて、あらためて論点をまとめましたので、追及の参考としていただければ幸いです。

 突然の非礼を重ねてお詫び申し上げますとともに、今後のご活躍をご期待申し上げます。

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質問要請事項
国立大学法人法案により国家公務員が非公務員となる法的根拠と手続きについて」(再)

 非公務員型にした理由について文科大臣は「学長等を含めて優れた外国人の登用が可能になる。」と述べていますが、現在でも一般教員は外国人の登用が可能で、本学にも外国人教授・助教授・講師が現に存在しております。また民間企業との兼業が可能になることも理由の一つに上げていますが、これも現在ではかなり可能となっており、非公務員型になっても急に増えることはあるまいといわれております。こういった理由は全て教員について言われていることであり、その他の職員(事務官、技官、看護師、司書、航海士等々)を非公務員とする理由は述べられておりません。教員は教授会による協議採用・選考採用ですが、その他の職員の大半は国家公務員試験の合格者です。したがって、外形上は公務員試験を受けていない者の兼業等の自由度を増すために、公務員試験合格者がせっかく得た公務員の身分を失うということになります。
 そこで、質していただきたいのは、「公務員の身分を失うのは国家公務員法の(本人の意に反する降任及び免職の場合)の免職(第78条第4号)に当たるものではなく、同法第82条第2項の規定(懲戒の場合)の特別職公務員等への移行なのかどうか」ということです。国立大学法人法案では附則第二条に後者であるように規定していますので、当然そう答えると思います。そこでさらに、「これは本人の承諾なしに移行できるものかどうか」、「法人化に伴う免職により国家公務員の身分を失う者のうち、一種合格者は何名で、全体の一種合格者のうちの何%か?二種合格者についてはどうか?三種合格者はどうか?」と具体の数字を質し(別添資料の表を完成させる)、「なぜ二種、三種合格者が圧倒的に多く、なぜ一種合格者が少ないのか。理由はなにか。」と質問していただきたいと存じます。
 これはこれ以上の追究には発展しないかも知れませんが、法人化により如何に一種合格者が文科省に温存されているかが判り、理事・監事の数を増やし、天下り先を確保しようとしている意図が暴露されるのではないでしょうか。
 次に、「非公務員への移行に伴って、適用除外となる国家賠償法をはじめとする国の機関および国家公務員に関連する法律の代行措置として、新たに雇用保険、労災保険、医療補償保険等々、多様で多額の経費が必要となるが、どのような事項にどれくらいの経費が必要とされ、その財源措置はどのようにされるのか」と質していただきたいと考えます。現在、東京大学では総長サイドに財務に関する検討委員会を設置し、必要な経費を試算しておりますが、相当多額になることからその財源について苦慮しているようです。

*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*(参考)6月9日にお送りした第3弾のメール

質問要請事項
国立大学法人法案により国家公務員が非公務員となる法的根拠と手続きについて」

 前回の請願で、国家公務員の身分を奪われる法的根拠は、国家公務員法第78条第4号の「官制の廃止に伴う廃職」なのか、と問いただすことをお願い致しましたところ、林事務所から、国立大学法人法付則第4条及び第5条で、国家公務員法第82条第2項の規定(懲戒の場合)によるとされてるのではないかというご教示を受けました。

 付則第五条の条文の表記の問題点は別にして、要するところ、国家公務員としての身分を失うのは、「官制の廃止に伴う廃職」ではなく、従来、放送大学や日本学術振興会との人事交流の際に行われていた「任命権者の要請に応じた退職」とみなすというものです。

 確かに、学校教育法では、大学に教授、助教授、助手、事務職員、技術職員等々を置くことが規定されておりますので、廃職にはあたらないことになります。従って、国家公務員の身分を失うことは、任命権者の要請に応じて退職したこととする以外に方法がなかったと考えられます。そこで問題になるのは、本人の意思確認の必要性との手続きの問題です。

 このことについて、衆議院の総務委員会における地方独立行政法人法案の審議(6月3日)の中で、以下のような質疑がなされています。

 (公立大学関係質疑要点)(全大教国会速報第9号より抜粋)
【共産・春名議員】独法化で労働条件は承継されるものに含まれるのか。
【総務省】労働条件は労使交渉事項で、当然には承継されない。
【春名議員】公務員から独法職員への移行は大幅な身分変更だが、本人意思に基づかない身分変更は許されないのではないか。
【総務省】同意不要で身分変更ができるように条文を入れてあるが、共済や退職金など経済的不利益がないようにしている。ただ、本人がどうしても法人職員になるのがいやだという場合には、任命権者の問題はあるが労使交渉事項としてではなく管理運営事項として扱い、配置転換させることも考えられる。法案の施行までにまだ時間があり、国家公務員との均衡もあるので研究させていただきたい。

 総務省の答弁では、「同意不要で身分変更ができるように条文を入れてあるが、本人がどうしても法人職員になるのがいやだという場合」があると述べており、意思確認の手続きは当然のこととしてあると認識されています。さらに、「労使交渉事項ではなく管理運営事項として扱い、配置転換させることも考えられる。」としていることは、管理運営事項として本人の意思に基づかない身分変更はありえないことを示しています。
 また、公立大学に比べ国立大学の国家公務員の場合には、文科大臣の任命により文科省に戻る可能性のあるごく僅かの職員を除いて、国家公務員としての配置換えができる可能性はありません。従って、「引き続いて当該退職を前提として職員として採用される」(交流人事として、任命権者の要請に応じて退職した形で出向し数年後に元の国家公務員の職に戻る)ことはないのであり、事実上は、国家公務員としては免職にあたるものであります。なぜなら帰るべき元の職が既に非公務員になっているからで、国家公務員法第82条第2項の規定により「任命権者の要請に応じた退職」とみなすことが不合理であることになります。
 総務省は、最後に「法案の施行までにまだ時間があり、国家公務員との均衡もあるので研究させていただきたい。」といっています。国立大学法人法案の審議の過程で、国家公務員については何の質疑もなく承認されたとなると、「13万人の国家公務員が同意不要の身分変更を認めたのだから、地方公務員も準じたらどうだ」という「行政的指導」がなされるのではないかと懸念されます。

 良識の府である衆議院において、法治国家としての「国家公務員が非公務員となる法的根拠と手続きについて」真摯な審議を心から期待致します。

 なお、本来であれば、国会にお伺いして請願いたさねばなりませんが、職員組合として行動する場合には休暇を取らねばならず、既に衆院からの傍聴行動により相当の休暇を費やしてしまっておりますので、Eメールによる請願で失礼することをお許しください。

                          東京大学職員組合

(参考)
国立大学法人法付則
(職員の引継ぎ等)
第四条 国立大学法人等の成立の際現に附則別表第一の上(左)欄に掲げる機関の職員である者(独立行政法人日本学生支援機構法(平成十五年法律第 号)附則第二条又は独立行政法人海洋研究開発機構法(平成十五年法律第 号)附則第二条の規定により、独立行政法人日本学生支援機構又は独立行政法人海洋研究開発機構の職員となるものとされた者を除く。)は、別に辞令を発せられない限り、国立大学法人等の成立の日において、それぞれ同表の下(右)欄に掲げる国立大学法人等の職員となるものとする。

第五条 前条の規定により各国立大学法人等の職員となった者に対する国家公務員法(昭和二十二年法律第百二十号)第八十二条第二項の規定の適用については、各国立大学法人等の職員を同項に規定する特別職国家公務員等と、前条の規定により国家公務員としての身分を失ったことを任命権者の要請に応じ同項に規定する特別職国家公務員等となるため退職したこととみなす。

国家公務員法
(懲戒の場合)

第八十二条  職員が、次の各号のいずれかに該当する場合においては、これに対し懲戒処分として、免職、停職、減給又は戒告の処分をすることができる。
一  この法律若しくは国家公務員倫理法 又はこれらの法律に基づく命令(国家公務員倫理法第五条第三項 の規定に基づく訓令並びに同条第四項 及び第六項 の規定に基づく規則を含む。)に違反した場合
二  職務上の義務に違反し、又は職務を怠つた場合
三  国民全体の奉仕者たるにふさわしくない非行のあつた場合
2  職員が、任命権者の要請に応じ特別職に属する国家公務員、地方公務員又は公庫の予算及び決算に関する法律 (昭和二十六年法律第九十九号)第一条 に規定する公庫その他その業務が国の事務若しくは事業と密接な関連を有する法人のうち人事院規則で定めるものに使用される者(以下この項において「特別職国家公務員等」という。)となるため退職し、引き続き特別職国家公務員等として在職した後、引き続いて当該退職を前提として職員として採用された場合(一の特別職国家公務員等として在職した後、引き続き一以上の特別職国家公務員等として在職し、引き続いて当該退職を前提として職員として採用された場合を含む。)において、当該退職までの引き続く職員としての在職期間(当該退職前に同様の退職(以下この項において「先の退職」という。)、特別職国家公務員等としての在職及び職員としての採用がある場合には、当該先の退職までの引き続く職員としての在職期間を含む。以下この項において「要請に応じた退職前
の在職期間」という。)中に前項各号のいずれかに該当したときは、これに対し同項に規定する懲戒処分を行うことができる。職員が、第八十一条の四第一項又は第八十一条の五第一項の規定により採用された場合において、定年退職者等となつた日までの引き続く職員としての在職期間(要請に応じた退職前の在職期間を含む。)又は第八十一条の四第一項若しくは第八十一条の五第一項の規定によりかつて採用されて職員として在職していた期間中に前項各号のいずれかに該当したときも、同様とする。

*-*-*-*-*-*-*-*-*(参考)衆議院の総務委員会における地方独立行政法人法案の審議(6月3日)

 ○春名委員 六十六条に、「政令で定めるところにより設立団体の長が定めるものは、当該移行型地方独立行政法人の成立の時において当該移行型地方独立行政法人が承継する。」というふうになっているわけですね、六十六条、公務員部長。だから、この政令の中に、今までの労働条件というのは当然私は入っているという認識をしているんですが、それでいいかどうかをもう一回確認しておきます。
森政府参考人 その条項の中には入っていないということでございます。
春名委員 そうしたら、これからの議論になるということですね、労使交渉で。そういうことですね。
 それで、私、ちょっと根本的な問題を聞きます。
 これまで地方公務員はその身分を保障されて、法定の事由がなければ、その意思に反して身分を失うことはないとされてきました。ところが、移行型の独立行政法人の場合は、その設立と同時に法人の職員になります。それが、非公務員型、つまり一般独立行政法人でありますと、公務員の身分そのものを一方的に奪われることになってしまいます。
 そこで質問です。労働者の意思に基づかない身分の変更は許されないのではないでしょうか。今までの考え方と整合性がないように思いますが、いかがでしょうか。
森政府参考人 この地方独立行政法人法第五十九条の規定は、一般地方独立行政法人への移行に伴いまして、設立団体から地方独立行政法人に業務を引き継ぐ場合には、設立団体の条例で定める一定の内部組織の職員は、別に辞令を発せられない限り、自動的に当該地方独立行政法人の職員になる、こういう仕組みを定めているところでございます。
 これは、設立団体の業務と同一の業務に従事する者については、当該一般地方独立行政法人の職員として引き続き身分を自動的に保有し続けることができるということを法律上措置するということでございます。同意を不要とするこの取り扱いにつきましては、国の独立行政法人に係る各個別法における取り扱いと同様の取り扱いとなっているものでございまして、法律的な問題はないものと考えております。
春名委員 私、聞いているのは、移行型一般地方独立行政法人、五十九条の二項のところで、非公務員型になるでしょう。非公務員型は、さっき言った五万四千施設、五十万人職員、極端に言ったら全部ですね、非公務員型でもあり得るという制度設計なんですよ、これは。この二項のところでそういうふうになっている。
 つまり、地方公務員として、憲法擁護義務をしっかり受けて、そして全体の奉仕者として任用された、そういう身分を持った人が、自分の同意もなしに、知らないうちに公務員でなくなってしまうということがあり得るわけですね、この制度設計は。それは、そんな話はおかしい話じゃないですか。今までと整合性がないことないかということを聞いているんで、そこを、身分というのは変わるんですよ、公務員じゃなくなるわけでしょう、そこのところ。
森政府参考人 繰り返しになりますけれども、そういう身分は変わるわけでございますけれども、そういうことを可能にする法律条項を今回新たに立てているということでございまして、これは国の独法の場合の扱いとも同様でございます。
春名委員 国の独法のことはいいんですよ。
 身分が変わる。しかし、それを可能にする条文を、「相当の職員となる」というのを、五十九条の一項と二項で一行加えているので、それでいいんだということなんですが、私が問うているのは、地方公務員として、公務員として、全体の奉仕者として、住民の福祉のために、また命を守るために働きたい、そして試験を受けて、そして合格をして、そうやって働き始めた職員が、自分が知らないところで、知らない間に、独法になれば必然的に、その公務員としての誇りも、誇りは残りますけれども、持っていますけれども、身分はこの制度ではなくなるでしょう。そんなことをやって本当にいいんですかというふうに言っているんです。
森政府参考人 そういう仕組みを導入しようとしているわけでございますし、ちょっと余談になりますけれども、公務員であったときの共済とか退職金なんかの通算もされますし、そういう経済上の不利益はないわけでございますけれども、要するに、いいか悪いかということじゃなくて、制度としてそういう仕組みを導入しようとしているということを申し上げたわけでございます。
春名委員 大臣、どう思いますか、私のこの問題提起。
片山国務大臣 大きな制度を変えるときは、いろいろあるんですよ。だから、こういう法律の手当てがあるということで、そのまま身分を保有するということはあるんですよ。
 ただ、どうしても嫌だという。しかし、任命権はあるんですよ。任命権はあるんですから、そこの議論はあるんだけれども、しかし、本人がどうしても嫌だというなら、またそこは人事配置上の話し合いで、いろいろな手があるんですよ。法律ができて、施行までに少し時間がありますから、委員が言われたことは言われたこととして受けとめて、一つの検討課題にいたします。
春名委員 自分が瑕疵もないのに一方的に公務員でなくなることが突然ある、これは許されないことだと思いますし、中沢委員も言われていましたけれども、こういう問題は労使協議によってしっかり合意をしながら当然進めていくということだと思うんですね。これは大臣、もう一回、確認ですけれども。
片山国務大臣 国の場合も同じなんですよ。国の場合は同じだと言うと、こういうときにはそれは理由にならないと言われるのが春名流でございますけれども。
 これは任命権のあれがありますし、それから、全部通算の規定もあるんですよ、いろいろな。だから、そういうことで個々人の不利益はないようなことは手当てしているんですが、しかし、それでも本人がどうしても嫌だなんというような場合には、それは事実上、運用上、いろいろな工夫の余地が私はあると思いますし、管理運営事項ですから、労使交渉の対象にはならないと私は思いますが、労使交渉そのものの。しかし、話し合うことは結構ですよ。
春名委員 管理運営事項じゃなくて、さっき言ったでしょう、労働者との話し合いによってこういう問題もきちっと決めていくと、当然ですね、非公務員型、公務員型になるかを含めてということを。それは確認しておきたいと思うんで、もう一回答弁してください。
 ただ、今の議論を聞いていて、民間だって、会社分割のときには労働契約は継承されて、転籍の場合は、民法であるように、本人同意が必要ですよね。当然そうなっているわけですよね、民間では。それから、公益法人等への一般職の地方公務員の派遣等に関する法律、その二条の二項では、職員の派遣に当たっては、あらかじめ、当該職員に取り決めの内容を明示し、「その同意を得なければならない。」と、同意を得なければならないということにもなっているわけで、そういう点から見ても、この制度設計そのものに非常に無理があるというふうに私は感ぜざるを得ません。