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独行法反対首都圏ネットワーク
 
 新潟大学理学系教職員有志60名(理学部教員37名、その他理学系教職員23名)は、参議院文教科学委員会理事にファクシミリ、メールにて以下のような要請文を送りました。   
             新潟大学    谷本盛光
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参議院文教科学委員         議員殿
                                              平成15年7月1日

国立大学法人化法案に関する要望書

新潟大学 理学系教職員有志60名(理学部教員37名、その他理学系教職員23名)

 参議院文教科学委員委員の議員の方々には、日頃からわが国の教育と研究に関する国政に多大なご尽力をいただき、感謝申し上げます。とりわけ今国会においては、いったん衆議院を通過した国立大学法人法案を、参議院にて慎重なご審議されておりますことは、「良識の府」としての参議院の役割をあらためて認識させるものであり、敬意を表します。

 私たちは、日本の高等教育と基礎科学を継承、発展させるという責任と自負をもって、教育と研究に日夜励んでおります。もとより私たちは、現在の国立大学が抱える多くの問題を深刻に認識すればこそ、これまでも大学改革をおこなってきました。その立場を今後も貫いてゆく所存です。もちろん、より抜本的な国立大学の改革が必要なことは、申すまでもありませんが、その改革の方向は日本の社会と国民への透明性を高めながら、自由で創造的な教育研究を発展させてゆくものであろうと考えています。

しかしながら、今回の法人化に対しましては、各界識者が、今日までの日本の研究・教育に重要な役割を果たしてきた国立大学の機能が失われるのではないかと危惧の念を表明されています。私たち教育研究の現場に身を捧げる立場からも、この点に関しまして深い危惧を禁じえません。国の長期展望の基本の一つは、科学技術立国を支える人材の高等教育による養成であり、いま一つは国の経済と産業の土台を深部で支える基礎科学の創造的な研究活動の活性化であります。この高等教育と学術研究は、国家百年の計のもとで成り立つものであり、「中期目標・中期計画」という近視眼的な視点では、とうてい律し切れるものではありません。しかも、文部科学省による「中期目標・中期計画」の決定と認可という法案は、教育と研究の現実を無視したものと言わざるを得ません。

 今回の法案では、将来に深刻な影響を及ぼす可能性のある数多くの重大問題が、未解決のまま積み残されています。国家百年の計を無視して平成16年から法人化を強行しますと、これまで営々として築き上げられてきた、世界に誇る日本の高等教育と学術研究の体制は危機に瀕し、わが国の将来に対し、とり返しのつかない重大な過誤を招くと危惧します。

もちろん私たちは、いかなる場合にも、教育と学術研究という使命に全力を尽くすものですが、良識の府参議院の議員の皆様方には、ぜひとも叡慮を尽くして頂き、国家の未来をこのような危険に曝すことのないようご尽力頂きますようお願い申しあげます。
法案の十分な審議が尽くされることなく強行採決に至る事態が決しておこらないよう、ここに強く要望いたします。

代表者  田澤純一(地質学) 谷本盛光(物理学) 小林昭三(物理学)
          ほか理学系教員57名