トップへ戻る   東職HPへ戻る
独行法反対首都圏ネットワーク

 
2003年6月28日  asahi com

4分の1の国立大、法人化後「学費上がる」 本社調査

 朝日新聞社は全大学の学長を対象に、国立大が法人化された場合の影響や、大学の将来像などについてアンケートした。法人化後、国立大は各大学で学費を決められるようになる。国立の4分の1の24校の学長が「全体として上がる」と回答、教育の機会均等を目指して続いてきた国立大授業料の横並びは崩れると予測した。法人化などの大学改革で「大学がよくなっていくか」では、「わからない」が多く、進む改革へのとまどいものぞかせた。

 アンケートは、この4月から6月にかけて郵送方式で実施。701校中、国立96校(97%)、公立73校(96%)、私立451校(86%)の計620校から回答を得た。

 国立大に対しては、学費について聞いた。国会で審議中の国立大学法人法案が成立し、04年度から法人化すると、文部科学省の定める「下限」と「上限」の範囲で自由に決められるようになる。

 法人化後、学費が「全体として上がる」と予想した学長は24校(25%)。「上がると思わない」が38校(40%)、「わからない」は32校(33%)だった。学部ごとに学費を設定することもできる可能性が出てくるが、21校(22%)の学長が学部間の差を肯定した。

 現在、国立大の授業料は一律52万800円。「下限」と「上限」は法案成立後に決まるが、「上限」は、大幅な値上げになるような水準にはならないとみられている。

 法人化されると、大学の予算は評価と連動する。アンケートで、法人化後の心配事として「予算をどこまで維持できるか」をあげた学長は55%に上った。「上がる」という予想には、こうした背景があるとみられる。

 「法人化などの大学改革で日本の大学がよくなっていくか」については、「わからない」と答えた国立大学長が47%を占めた。「はい」は44%だった。

 私立大には、国立大の法人化が影響を与えるか尋ねた。9割近くが「与える」と答えた。18歳人口の減少などで「10年前と比べて経営が厳しくなった」と答えた私立大は8割を超えた。

 国公私立共通で聞いたのは、「研究」「教育」「地域貢献」の何を重視するか。私立の8割、公立の6割近くが「教育」としたのに対し、国立は38%。ただ「研究」(32%)を上回り、これまで「研究重視」とされた国立も教育に力を入れていく姿をうかがわせた。

 学生の学力も共通で聞いた。全体の8割が「低下している」と回答。小中学校での学習内容が約3割減った新学習指導要領で学んだ高校生が入学してくる06年度以降、「より低下する」と見る学長も8割近かった。