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6/27/03 山形大学理学部 品川敦紀 先般ご紹介させていただいた「国立大学法人教職員数試算基準(案)」ですが、山形大 学理学部、人文学部以外に試算をしてみましたところ、やはり重大問題であることが明ら かになりましたので、ご紹介いたします。 一つは、文科系学部中心の地方大学には、極めて厳しい「標準教職員数」<参考1参照 >となることです。 例えば、商学部一学部の小樽商科大学の場合を試算しますと教員も、職員も現員のほぼ 2/3しか「標準教職員」扱いにならず、残り1/3は、「特別教職員」となります。 今ひとつは、今全国で文部科学省主導で「教員養成系学部、大学の再編・統合」が進め られようとしていますが、この前提条件が、反古になりかねないと言うことです。 山形大学でも、ご承知のように、教育学部問題にかんして、大学執行部は文科省方針の 方向で動こうとしています。 ところが、もし一般学部化するとどうなるか試算しましたところ<参考資2>、「標準 教員数」は、大幅減となることが判明しました。当面は、「特別教員」として予算配置さ れるでしょうが、いずれ削減の圧力がかけられることは明らかでしょう。 そうしますと、ほぼ現員が確保されることを予定して、新学部構想など様々な計画を練 っているところが多いでしょうが、そうした計画はすべて画餅になってしまいかねません 。正しく、前提条件が全て崩れ去ることにもなりかねません。 また、同じ学内からは、医、理工系学部など博士課程大学院をもち、「標準教員」を厚 く配置される学部から、みすみす「特別教員」とされて削減対象にされるくらいなら、自 学部へよこして大学院充実に使わせるようにという圧力もかけられかねません。 こうなると、仮に新学部移行後も教員養成機能を残そうと思っても不可能です。 文部科学省は、新学部移行を進めるというなら、少なくとも、その後の教員数の保障を しっかりとしていただかなくてはならないでしょう。 しかし、実際には、それは期待できず、正しく、「教員養成学部、大学」の実質的リス トラのレールが引かれようとしているといわざるをえません。 ************** <参考1> 小樽商科大学の場合の試算 ************** 教員に関して 教員数 現員 132 人 学生収容定員 2270 人 学部教育分 分野2の計算で 2270 X 0.025 =57 (43%) 共通教育分 分野2の計算で 2270 X 0.0125 = 29 (22%) 大学院修士課程分 分野2の計算で 40 X 0.050 = 2 (2%) 支援教員加算分 分野2の計算で 40 X 0.50 x 0.5 = 1 (2%) 「標準教員数」試算合計 89 人 (現員の67.4%) ************* 職員に関して 職員 現員 67 人 学部、大学院の教育に必要な職員数 学部学生分 分野Aの計算で 2270 X 0.01 = 23 人 (34%) 大学院学生分 分野Aの計算で 40 X 0.025 = 1人(1%) 管理運営に関わる職員数 学生あたり分 2310 X 0.005= 12 人(18%) 教員あたり分 89 X 0.1 = 9 人(13%) 「標準職員数」試算合計 45 人 (現員の67%) **************** <参考1> 山形大学教育学部の場合 教員現員101人 ************************ 学部収容定員960人 計算上の定員 小学校課程 960X0.75=720 当該分教員数 25人 中学校課程 960x0.25=240 当該分教員数 50人 特殊学校加算 3人 養護教員加算 3人 合計 81人 大学院収容定員 学校教育専攻 12 当該教員数 9人 教科教育専攻 66 当該教員数 76人 合計 85人 学部分と大学院分のいずれか多い方が標準教員数なので、85人 共通教育分 960X0.0125=12 12人 合計 97人 全学教養教育担当分 10人前後 合計 107人 ************************* 一般学部化すると 学部学生定員960人 分野1(文学、教育学など)、分野2(法、経済学など)、分野3(理学、工学など)、 分野4(家庭、美術、音楽)が混在したものとして 960X((0.03+0.025+0.05+0.0375)/4)=35 当該教員 35人 大学院学生収容定員 78人 大学院修士課程 分野1〜4混在 78X((0.05+0.0714)/2)=5人 支援教員加算 78X((0.05+0.0714)/2X0.5)=3人 共通教育分 960X0.0125=12 12人 合計 55人 全学教養教育担当分 10人程度 合計 65人 ************************* |