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独行法反対首都圏ネットワーク

四国新聞』一日一言 2003年6月23日付  
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『四国新聞』一日一言 2003年6月23日付


 国立大学法人化法案の国会審議がヤマ場を迎えている。法人化で大学は生ま
れ変わるのか、それとも官僚支配が強まるのか。与野党がつば競り合いを続け
る中、大学は奇妙に静かだ。

 法案の問題は各大学の中期目標を大学側の意見を聞いた上とはいえ、最終的
には文部科学相が決めることだろう。中期計画も文科相の認可が必要で、計画
終了時に文科省の評価委員会が採点する。

 国立大学の目標を国が決めるのは当然と考える人は少なくない。決めた通り
にやったかどうか、国の機関が審査するのもある意味では当然。しかしそれで
大学の自律性が高まるという文科省の論理に納得する人は少ない。

 むしろ大学は国の一機関、というこれまでの在り方には多くの異論があった。
今回の法案のように入り口と出口を国ががっちりコントロールするやり方で果
たして、これまでの問題点を解消できるかどうかはいぶかしい。

 大学の運営交付金についても十分な説明はない。大学評価もだれがどんな基
準でやるのか、それをどう資金配分につなげるのかも分かっていない。官僚支
配が強まると恐れる理由はいくらもある。

 こんな状況にもかかわらず、大学の周辺は奇妙な静けさに覆われている。教
授たちは白熱の論議や大騒動を口にするが、外には少しも聞こえない。改革の
責任者が集まる国立大学協会さえ法案に対する見解を表明しない。

 先日の総会で一部学長から「見解を示さないのは不見識」と批判も出たが、
執行部は取り合わない。その閉鎖性には改革を強行する文科省の官僚さえあき
れている。その象牙の塔には世間知らずの魔術師たちが住んでいるようだ。